• ホーム
  • トレンド
  • JR東日本の「Beyond Stations構想」、駅は「暮らしのプラットフォーム」へ

JR東日本の「Beyond Stations構想」、駅は「暮らしのプラットフォーム」へ

経営戦略

2021/04/02 06:30

 JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」における「くらしづくり」を実現すべく、「Beyond Stations構想」を推進していく。鉄道の「駅」のあり方を変革するこの構想は、オンラインとリアルの連携や、さらなるチケットレス・キャッシュレスの普及を前提にしており、注目に値するだろう。

「Beyond Stations構想」のイメージ

 具体的には、社会課題を解決する人材の育成を目指す「エキナカカレッジ」を開校するほか、ネットショッピングの利用の増大に代表される消費行動の変化を踏まえ、エキナカにOMOモデルの店舗を展開する。
 
OMOに対応したベルメゾンの新業態を出店

 さらに、JRE POINTがたまる・つかえるECモール「JRE MALL」やエキナカで注文したベルメゾン商品を駅改札で受け取れるサービスを開始し、ECサイト「ネットでエキナカ」で購入した商品を、店舗だけでなく駅改札で受け取れるサービスも展開する。
 
コンセプトは“つながる”駅

 そのほか、JR東日本の通勤定期券利用者を対象に、上野駅、秋葉原駅、八王子駅ではコーヒーと駅そば、全ての「STATION BOOTH」でシェアオフィスのサブスクリプションサービスや割引サービスのトライアル提供を6月に実施予定。定期券をプレミアムパスポートに位置づけ、将来は鉄道サービスを含む対象サービスの拡大を検討していく。

 駅利用者を対象とした飲食のサブスクリプションサービスは、小田急電鉄が既に3月からサービスを開始。Maasアプリ「EMot」で利用できるサブスクリプションチケット「EMotパスポート」として、定期券保有の有無に関係なく提供している。
 
定期券をプレミアムパスポートに位置づける試み

 Beyond Stations構想は、生活における「豊かさ」を起点として駅のあり方を変革し、「交通の拠点」という役割を超えて駅を“つながる”「暮らしのプラットフォーム」へと転換するもので、利用客と暮らしを支えるサービス、地域・地方、デジタル、安全・安心をつなぐとともに、利用客同士のつながりを創発することで心豊かな生活の実現を目指す。

 今後は社外パートナーとの共創を通じて、駅のマーケティング機能をさらに強化し、「駅のビジネス創発拠点化」を継続的に推進していく。具体的には、上野駅、秋葉原駅、八王子駅をモデル駅として整備するとともに、JR東日本エリアの他の駅でも順次展開する。また、オンライン医療サービスを活用した「スマート健康ステーション」や、駅空間とメディアを融合し駅空間の新しい媒体価値を追求する「メディアステーション」といった、Beyond Stations構想のさらなる発展に向けた取り組みを推進していく。