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FCCLだからできた“新様式”に強いノートPC、第11世代インテルCoreプロセッサー搭載で真価を発揮

 富士通クライアントコンピューティング(以下、FCCL)が新たなユーザー体験を提案する富士通パソコン FMV「LIFEBOOKシリーズ」の新製品を発売した。今回はFCCLの執行役員 兼 新規事業本部部長 兼 コンシューマ事業本部副本部長の高嶋敏久氏とマーケティング本部 商品企画統括部 マネージャーの安藤賢一氏に、インテルの最新第11世代Coreプロセッサー・ファミリーを載せてさらなる可能性を開いた新製品の販売戦略と開発秘話を聞いた。

第11世代インテルCoreプロセッサー・ファミリーを搭載したFMV「LIFEBOOKシリーズ」の
販売戦略と開発秘話をFCCLの高嶋敏久氏(左)と安藤賢一氏(右)に聞いた

インテル最新プロセッサーの特徴を活かしきったLIFEBOOKシリーズ誕生

 インテルが2020年秋に発表した薄型軽量モバイルノートPC向けの新しい第11世代Coreプロセッサー・ファミリーは、最先端の製造プロセスである10nm SuperFinテクノロジーを採用したことで、前世代のプロセッサーに比べて、少ない電力消費で高いパフォーマンスを実現できるところが特徴だ。

 新世代のCoreプロセッサー・ファミリーがリリースされるにあたって、注目されたのがインテルが新たに打ち出した「インテルEvoプラットフォーム」だ。特に高いレベルでパフォーマンスとデザインの融合を実現したモデルに付与されるもので、臨場感あふれる映像の再現力、スリープモードからの高速起動、内蔵バッテリーによる長時間連続駆動や外部機器との幅広い拡張性能など、幅広い要件を満たす必要がある。
 
新たなハイスペックPCの基準として発表された「インテルEvoプラットフォーム」

 今期のFMV「LIFEBOOKシリーズ」の主力モデルとして、高嶋氏と安藤氏が期待を寄せる「UH」シリーズはインテルEvoプラットフォームに準拠する、ビジネスユースに最適なモビリティと堅牢性を兼ね備える13.3型Windows 10搭載モバイルノートだ。
 
インテルEvoプラットフォームに準拠する
FMV「LIFEBOOK UH90/E3」

 新しいLIFEBOOKシリーズの商品企画を担当するFCCLの安藤氏は、第11世代インテルCoreプロセッサー・ファミリーが高性能なIris Xeグラフィックスを内蔵したことで、UHシリーズが動画編集や写真加工のようなクリエイティブワークだけでなく、オフィスワークに必携のアプリケーションがどれも快適に動作する高いパフォーマンスを備えていることをアピールする。

 例えば、シリーズの中核モデルである「LIFEBOOK UH90/E3」は内蔵バッテリーにより約22.5時間(JEITA 2.0による測定)の連続駆動に対応している。外出先でほぼ1日中、バッテリーが尽きることを気にすることなく使い倒せるスタミナは魅力的だ。

 薄く軽いボディには多種多様な接続インターフェースが搭載されている。インテルEvoプラットフォームの要件事項にも含まれている最先端の高速データ転送規格であるThunderbolt 4では最速40Gbpsのデータ伝送を実現する。外付けの4K対応ディスプレイを接続して動画や写真が高精細に楽しめるだろう。

薄型軽量化を追求しながら、機能も犠牲にしない

 インテルの最新Coreプロセッサー・ファミリーを採用するにあたり、同社のエンジニアはさまざまな苦労に直面した。例えば、CPU性能を最大限まで発揮するため必要になる放熱機構を、UHシリーズの薄く軽な筐体の中で実現するためにせめぎ合を繰り返してきたそうだ。安藤氏は「高いハードルだったが、エンジニアの頑張りに、パートナーであるインテルの協力も得て壁を乗り越えることができた」と誇った。
 
開発部門の苦労を語る安藤氏。
軽さと機能の両立に知恵を絞ったという

 安藤氏はモバイルノートPCの「軽さ」に重きを置くあまり、必要な機能を削いで使い勝手を犠牲にしないように心がけながら、UHシリーズの細部を磨いてきたと語る。

 LIFEBOOK UH90/E3の仕様を確認すると豊富に揃うインターフェースの種類と数に驚く。Thunderbolt 4/USB-C端子のほか、HDMI端子にも4Kディスプレイを接続して高精細な映像を送り出せる。デジタルカメラで撮影した写真がすぐに読み出せるようにフルサイズのSDカードスロットも抜かりなく搭載した。「Evoプラットフォームの要件に従って薄く軽量な商品に仕上げているが、従来モデルの使い勝手を捨てないこだわりも貫いた」(安藤氏)。

 LIFEBOOK UH90/E3には有線LAN端子が搭載されていることにも注目したい。コロナ禍のなか、自宅でテレワークができるスペースを確保しても、すぐにWi-Fi 6対応の高速無線環境を整えることは難しい。無線接続の場合はビデオカンファレンスの最中に、電子レンジなど他の家電による突発的な電波干渉を受ける可能性もある。ルーターにLANケーブルを直接挿して安定したインターネット通信ができる所もUHシリーズのメリットだと思う。

 第11世代インテルCoreプロセッサー・ファミリーは、高性能なインテルIris Xe グラフィックスを内蔵したことにより、前世代のプロセッサーと比較してグラフィックスの処理性能が最大2倍も高速化している。動画視聴に限らずゲーミングのパフォーマンスが向上した点も見逃せない。

異なるターゲットユーザーに響くラインアップ展開

 FMV「LIFEBOOK シリーズ」の今冬ラインアップはとにかく層が厚い。軽量・薄型を特徴とする15.6型のワイド液晶搭載モバイルノートの「TH」シリーズにも注目だ。一般的な15インチクラスのPCはその大きさゆえハンドリングに手間がかかり、次第に利用頻度が下がってしまうというユーザーの声を受けて、本体を立て置きにできる充電スタンドを同梱した。
 
今冬の新製品ではFMV「LIFEBOOK THシリーズ」もユニークな魅力を放つ。
充電スタンドを同梱して立て置きに対応するなど、使い勝手にこだわった

 常に充電されている状態で、スリープ状態からすばやく復帰する「モダンスタンバイ」にも対応する。またスタンバイ状態では富士通独自開発のAIアシスタントである「ふくまろ」が利用できるので、リビングのテレビサイドに置いてスマートスピーカーのように使うこともできる。

 FCCLでは新しいLIFEBOOKシリーズが、コロナ禍のなかで新しい生活様式を模索するユーザーを助けるパソコンになるよう、コンシューマー商品の開発プロセスとしては異例とも言える、発売直前段階で開発を巻き戻しして仕様のブラッシュアップを図った。

 例えば、FMV「ESPRIMO FHシリーズ」はリモートワーク時に大きめ画面のサブモニターとしても使えるよう、急遽HDMI端子を設けて接続したPCの映像を表示できるようにした。本機は外装を個性的なファブリック調の「X-TEXTURE」としているが、その仕上げも販売店のフィードバックを受けて見直しているという。

 「ものづくりから接客まで、お客様に製品を通して一貫した価値をご提案できることが、国内で製販一体の体制を敷いてパソコン事業に取り組んでいるFCCLの強み」であると高嶋氏が続け胸を張る。

 FMV「LIFEBOOK CHシリーズ」は若年層のユーザーをターゲットに見据えて開発されたモバイルノートPCだ。日ごろスマートフォンを使い慣れている若年層の生活に組み込んでもらえるPCを意識して使い勝手を高めていると安藤氏が特徴を説いている。
 
FMV「LIFEBOOK CHシリーズ」は若者をターゲットに、
おしゃれなカラーリングに仕上げた

 特にスマホ連携は強化が図られたポイントだ。パソコンとモバイル端末との間で、Wi-FiやBluetoothの通信設定を必要とせずにQRコードによるデバイス認識、データ転送を使ってシームレスにファイル送受信ができるsMedioの技術に対応した。

 スマホのようにスリープ状態からすばやく起動するレスポンスの良さ、薄型軽量化による軽快な取り回し、Thunderbolt 4端子を含む豊富な入出力端子など第11世代インテルCoreプロセッサー・ファミリーのアドバンテージが本シリーズでも余すところなく活かされた。高嶋氏は「ビジネスマン世代に強いLIFEBOOKシリーズの裾野を、CHシリーズを投入することによって20~30代のユーザーにまで広げたい」と意気込む。

コロナ禍中だからこそ、ユーザーと商品の接点を大切に

 2020年の国内PC市場において、FCCLが残した成果を「当初の予想よりも好調を維持できた」と高嶋氏は振り返る。最新モデルはまだ昨年末に発売されたばかりなので、好不調を占うデータが集め切れていないが、店頭などから寄せられる反響に高嶋氏は良い手応えを感じている様子だ。

 一方で今春以後に向けた展開については「いっそう気を引き締めてのぞみたい」と高嶋氏、安藤氏は口を揃える。特に今は新型コロナウィルス感染症の影響を避けるため、店頭で新製品の実機に触れて試せる機会が限られている。その点は「知恵を振り絞って、お客様に体験していただける手段を講じたい」と語った。(フリーライター・山本敦)