カメラ映像機器工業会(CIPA)は、デジタルカメラのユーザーを対象に「フォトイメージングマーケット統合調査:特別編」を実施(調査委託先:BCN)し、調査結果を発表した。
新型コロナウイルスの影響は、昨年2月に開催を予定した主催イベント「CP+2020」の中止という直接の形で現れ、年に一度のフォトイメージングマーケットの祭典を心待ちにしていたユーザーを落胆させたその後も影を落とし続けた。外出すらままならない中での今回調査は、カメラに注がれる熱量の減退を突き付けられることを覚悟の上、それでも目を背けるべきではないという思いでの実施となった。
まず、デジタルカメラでよく撮る被写体を聞いた(過去半年で2~3回以上の撮影)ところ、「風景・夜景」が第1位を保ったが、69.8%から55.2%に15ポイント近く低下した。「国内旅行」は、61.6%から40.2%に20ポイント以上低下し、順位も下げた。
第2位に浮上したのが「花・植物」。軒並み大幅低下の中にあって48.1%から40.2%と、1桁減にとどまった。同じく順位を上げて第4位となった「子ども」が33.9%から27.5%、第7位の「夫・妻・恋人・パートナー」が26.9%から22.4%、外孫に会える機会は貴重なものとなってしまったかもしれないが、「孫」も16.3%から12.3%と、いずれも小幅の下げだった。
デジタルカメラで撮影する理由については、第1位「写真が思い出になる」、第2位「写真を撮ることが好き・楽しい」、第3位「記録として」まで順位が変わらず「写真を見ることが好き・楽しい」も上位をキープ、たった一つを除いて昨年との差は1桁の範囲にとどまった。大きな変化があったのは「美しいもの・感動したものを撮りたい」で、39.0%から25.3%に低下した。
美しいもの・感動したものを撮る機会が減ったことは、コロナ禍の残酷な仕打ちといわざるを得ないが、写真ファンは決してふさぎ込んでいるばかりではない。フリーアンサーの回答からは、心動かされる瞬間にシャッターを切る、カメラがそこにあることこそが支えとなっている現状が浮き彫りとなった。
コロナ感染拡大後の写真・動画の楽しみ方を聞くと、第1位は「写真をプリントする 自宅のプリンターで」37.3%で、4割に迫る。第2位が「写真をパソコンで加工する・エフェクトをかける」18.2%、第3位が「ネットに写真を投稿 友人・知人だけに見られる形で」14.0%、第4位が「ネットに写真を投稿 誰でも(広く見知らぬ人にも)見られる形で」12.5%、第5位が「写真をプリントする 写真店・家電店で」11.9%が上位となった。
「写真をプリントする 自宅のプリンターで」は「70代」が61.6%と高いが、これに続くのが「10代」の36.7%。「10代」は、「写真をプリントする 写真店・家電店で」が23.3%と唯一の2割超、「全体」で6.7%にとどまった「写真をプリントする コンビニで」も20.0%と高く、プリント志向が際立った。
「ネットに写真を投稿」の二つの選択肢は、「友人・知人だけに見られる形で」は「10代」が20.0%、「20代」が22.1%とともに高かったが、「誰でも(広く見知らぬ人にも)見られる形で」は「10代」が23.3%と高い一方、「20代」は12.3%にとどまった。
「写真を加工する・エフェクトをかける」の二つの選択肢は、「パソコンで」が「50代」から上が2割を超えたのに対して、「スマートフォンで」が「10代」が30.0%で突出した。
昨年の春や夏は例年のような形では訪れなかったが、それぞれの年代が、それぞれの写真の楽しみを見出していた。
コロナ前後での撮影意欲の変化を聞いたところ、撮影意欲の平均値では、コロナ禍の影響を否定できない結果となった。注目されるのは、コロナ前・コロナ後の「写真を撮る意欲」の変化がわずか数ポイントの範囲にとどまること、そして、「10代」の意欲がむしろ高まったこと、「20代」の意欲も高水準にあること。若くしてカメラに出会った幸運なユーザーはこれしきではひるまないことが推察される。
先が見通し難いコロナ禍の中にあって、撮影意欲に関する質問では、「分からない」とする回答もおよそ3割を占めた。こうした人々と、コロナ後の撮影意欲について「ほとんど/まったくない」とした人に、撮影のモチベーションが上がらない・確信できない理由を聞いた。
全体では、「旅行に行けない」58.4%、「外出できない」37.2%、「マスクが写ってしまう」18.0%、「撮りたいものがない」17.8%、「外食しなくなった」16.8%の順となった。多くはコロナ禍に打ち勝つことさえできれば解消できるものといえそうだが、若い世代に深刻な影を落としていることを強く印象付ける結果ともなった。
サンプル数は少なめであるが(撮影意欲の高い割合が高くこの設問の対象者が少ないため)「10代」の「自由にできる時間が少なくなった」が25.0%、4分の1にも達して、ほかの世代を引き離した。同様に「10代」は、「家族・友人の表情がさえない」が18.8%、さらに、「外での撮影が後ろめたい」が18.8%と高かった。「外食しなくなった」が22.1%と最も高かったのは「30代」だった。
「デジタルカメラやテレビなどの家電製品を買うとき、コロナ前に比べて、それぞれの度合いはどう変わったか」として購買行動の変化を聞いた。「増えた」が顕著だったのは、「ネットでの買い物」38.4%、「慎重に物を買うようになった」33.2%、「ネットレビューを見る」26.5%、「ネットでYouTuberなどのレビューを見る」23.7%だった。「減った」が顕著だったのは、「実店舗での買い物」39.7%、「衝動買い」38.3%、「買い物でのストレス発散」27.2%と、「増えた」に対して正に表裏の関係となった。
「過去半年間」である昨年の春から夏にかけてデジタルカメラを購入した人に、その原資を聞いたところ、デジタルカメラの購入で定額給付金の影響が認められたのは3分の1となる33.3%(「定額給付金がなければ購入していない」11.3%+「定額給付金がなければ先送りしていた」12.7%+「定額給付金がなければもっと安価な機種を購入した」9.3%)、定額給付金の影響が認められなかったのは66.6%(「定額給付金を含まない」43.3%+「定額給付金がなくても購入した」23.3%)だった。
一方、交換レンズは、定額給付金の影響が認められたのが38.8%(「定額給付金がなければ購入していない」14.3%+「定額給付金がなければ先送りしていた」14.3%+「定額給付金がなければもっと安価な機種を購入した」10.2%)、定額給付金の影響が認められなかったのは61.3%(「定額給付金を含まない」32.7%+「定額給付金がなくても購入した」28.6%)で、強い後押しとなった。
写真撮影の経験年数については、スマートフォンユーザーを含む前回調査でも「9年以上前から」が過半数を占めたが、デジタルカメラユーザーに絞った今回調査では66.4%、およそ3分の2で圧倒した。「5~6年前から」「7~8年前から」との合計、「5年以上前から」ということでは80.6%、8割超となった。
スマートフォンで写真撮影を始めてデジタルカメラに移行した人はスマートフォンとの通算年数であり、スマートフォンをきっかけに写真撮影が好きになりもっと奇麗な写真を、もっと思い通りの写真を撮りたいという気持ちが高まってデジタルカメラの世界に入る道筋も多い。ニューカマーをもっと招き入れるには、こうした経験値の豊富な人々、いつかは通った道という人々のアドバイスを得るのが何よりの近道であると考えられる。
新型コロナウイルスの影響は、昨年2月に開催を予定した主催イベント「CP+2020」の中止という直接の形で現れ、年に一度のフォトイメージングマーケットの祭典を心待ちにしていたユーザーを落胆させたその後も影を落とし続けた。外出すらままならない中での今回調査は、カメラに注がれる熱量の減退を突き付けられることを覚悟の上、それでも目を背けるべきではないという思いでの実施となった。
まず、デジタルカメラでよく撮る被写体を聞いた(過去半年で2~3回以上の撮影)ところ、「風景・夜景」が第1位を保ったが、69.8%から55.2%に15ポイント近く低下した。「国内旅行」は、61.6%から40.2%に20ポイント以上低下し、順位も下げた。
第2位に浮上したのが「花・植物」。軒並み大幅低下の中にあって48.1%から40.2%と、1桁減にとどまった。同じく順位を上げて第4位となった「子ども」が33.9%から27.5%、第7位の「夫・妻・恋人・パートナー」が26.9%から22.4%、外孫に会える機会は貴重なものとなってしまったかもしれないが、「孫」も16.3%から12.3%と、いずれも小幅の下げだった。
デジタルカメラで撮影する理由については、第1位「写真が思い出になる」、第2位「写真を撮ることが好き・楽しい」、第3位「記録として」まで順位が変わらず「写真を見ることが好き・楽しい」も上位をキープ、たった一つを除いて昨年との差は1桁の範囲にとどまった。大きな変化があったのは「美しいもの・感動したものを撮りたい」で、39.0%から25.3%に低下した。
美しいもの・感動したものを撮る機会が減ったことは、コロナ禍の残酷な仕打ちといわざるを得ないが、写真ファンは決してふさぎ込んでいるばかりではない。フリーアンサーの回答からは、心動かされる瞬間にシャッターを切る、カメラがそこにあることこそが支えとなっている現状が浮き彫りとなった。
コロナ感染拡大後の写真・動画の楽しみ方を聞くと、第1位は「写真をプリントする 自宅のプリンターで」37.3%で、4割に迫る。第2位が「写真をパソコンで加工する・エフェクトをかける」18.2%、第3位が「ネットに写真を投稿 友人・知人だけに見られる形で」14.0%、第4位が「ネットに写真を投稿 誰でも(広く見知らぬ人にも)見られる形で」12.5%、第5位が「写真をプリントする 写真店・家電店で」11.9%が上位となった。
「写真をプリントする 自宅のプリンターで」は「70代」が61.6%と高いが、これに続くのが「10代」の36.7%。「10代」は、「写真をプリントする 写真店・家電店で」が23.3%と唯一の2割超、「全体」で6.7%にとどまった「写真をプリントする コンビニで」も20.0%と高く、プリント志向が際立った。
「ネットに写真を投稿」の二つの選択肢は、「友人・知人だけに見られる形で」は「10代」が20.0%、「20代」が22.1%とともに高かったが、「誰でも(広く見知らぬ人にも)見られる形で」は「10代」が23.3%と高い一方、「20代」は12.3%にとどまった。
「写真を加工する・エフェクトをかける」の二つの選択肢は、「パソコンで」が「50代」から上が2割を超えたのに対して、「スマートフォンで」が「10代」が30.0%で突出した。
昨年の春や夏は例年のような形では訪れなかったが、それぞれの年代が、それぞれの写真の楽しみを見出していた。
コロナ前後での撮影意欲の変化を聞いたところ、撮影意欲の平均値では、コロナ禍の影響を否定できない結果となった。注目されるのは、コロナ前・コロナ後の「写真を撮る意欲」の変化がわずか数ポイントの範囲にとどまること、そして、「10代」の意欲がむしろ高まったこと、「20代」の意欲も高水準にあること。若くしてカメラに出会った幸運なユーザーはこれしきではひるまないことが推察される。
先が見通し難いコロナ禍の中にあって、撮影意欲に関する質問では、「分からない」とする回答もおよそ3割を占めた。こうした人々と、コロナ後の撮影意欲について「ほとんど/まったくない」とした人に、撮影のモチベーションが上がらない・確信できない理由を聞いた。
全体では、「旅行に行けない」58.4%、「外出できない」37.2%、「マスクが写ってしまう」18.0%、「撮りたいものがない」17.8%、「外食しなくなった」16.8%の順となった。多くはコロナ禍に打ち勝つことさえできれば解消できるものといえそうだが、若い世代に深刻な影を落としていることを強く印象付ける結果ともなった。
サンプル数は少なめであるが(撮影意欲の高い割合が高くこの設問の対象者が少ないため)「10代」の「自由にできる時間が少なくなった」が25.0%、4分の1にも達して、ほかの世代を引き離した。同様に「10代」は、「家族・友人の表情がさえない」が18.8%、さらに、「外での撮影が後ろめたい」が18.8%と高かった。「外食しなくなった」が22.1%と最も高かったのは「30代」だった。
「デジタルカメラやテレビなどの家電製品を買うとき、コロナ前に比べて、それぞれの度合いはどう変わったか」として購買行動の変化を聞いた。「増えた」が顕著だったのは、「ネットでの買い物」38.4%、「慎重に物を買うようになった」33.2%、「ネットレビューを見る」26.5%、「ネットでYouTuberなどのレビューを見る」23.7%だった。「減った」が顕著だったのは、「実店舗での買い物」39.7%、「衝動買い」38.3%、「買い物でのストレス発散」27.2%と、「増えた」に対して正に表裏の関係となった。
「過去半年間」である昨年の春から夏にかけてデジタルカメラを購入した人に、その原資を聞いたところ、デジタルカメラの購入で定額給付金の影響が認められたのは3分の1となる33.3%(「定額給付金がなければ購入していない」11.3%+「定額給付金がなければ先送りしていた」12.7%+「定額給付金がなければもっと安価な機種を購入した」9.3%)、定額給付金の影響が認められなかったのは66.6%(「定額給付金を含まない」43.3%+「定額給付金がなくても購入した」23.3%)だった。
一方、交換レンズは、定額給付金の影響が認められたのが38.8%(「定額給付金がなければ購入していない」14.3%+「定額給付金がなければ先送りしていた」14.3%+「定額給付金がなければもっと安価な機種を購入した」10.2%)、定額給付金の影響が認められなかったのは61.3%(「定額給付金を含まない」32.7%+「定額給付金がなくても購入した」28.6%)で、強い後押しとなった。
写真撮影の経験年数については、スマートフォンユーザーを含む前回調査でも「9年以上前から」が過半数を占めたが、デジタルカメラユーザーに絞った今回調査では66.4%、およそ3分の2で圧倒した。「5~6年前から」「7~8年前から」との合計、「5年以上前から」ということでは80.6%、8割超となった。
スマートフォンで写真撮影を始めてデジタルカメラに移行した人はスマートフォンとの通算年数であり、スマートフォンをきっかけに写真撮影が好きになりもっと奇麗な写真を、もっと思い通りの写真を撮りたいという気持ちが高まってデジタルカメラの世界に入る道筋も多い。ニューカマーをもっと招き入れるには、こうした経験値の豊富な人々、いつかは通った道という人々のアドバイスを得るのが何よりの近道であると考えられる。