給与のデジタルマネー支払いの最有力候補 ますます価値の高まる共通ポイント
2019年末~20年の年始に掲載した全3回の「2020年予想」のうち、第1回・第2回が的中した。今年の予想は一つ。1ポイント1円相当として使える共通ポイントの利用・獲得機会が増え、現金を銀行ATMから引き出す必要のない、ポイント・チャージ残高・オンラインギフトなどの「デジタルマネー」による給与・賞与、各種謝礼の支払いを望む声が高まると予想する。
JRE POINTを展開するJR東日本は、多様化する通勤スタイルに合わせた新サービスとして、「Suica通勤定期券」で対象エリア・時間帯に時差通勤すると、駅ごとにを設定したポイントをJRE POINTで還元するポイントサービスを21年春から1年間の期間限定で実施する。JR西日本も同様に、「ICOCA定期券」限定で、平日朝の時差通勤でICOCAポイントがたまるサービスを21年4月1日~22年3月31日に実施する。
働く世代のスマートフォン(スマホ)保有率の高さを背景に、乗車割引は「ポイント還元」が定番となりつつあり、日銀が21年度から実証実験を開始すると公表した、従来の紙幣や硬貨の代わりに電子データでお金をやり取りする「中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBCC)」に現時点で最も近いサービスは、楽天ポイントやJRE POINTなど、交通系電子マネーにチャージ可能な共通ポイント・グループ共通ポイントといえるだろう。
なお、Pontaカード(公式)アプリは12月21日からKDDIのスマホ決済サービス「au PAY(コード支払い)」の決済機能を追加し、一つのアプリでポイントカード提示・決済が可能になっている。
会社員の給与は、当月1カ月間の実働日に対し、1~2カ月遅れて支給するケースもあり、家賃は前払い、生活費は即時決済(その場で支払い)が多いため、日給相当額の即時支給や週ごとの前払いを求める声が出ていた。この課題を解消するための一つの案が、今は現金・銀行振込しか認められていない「給与のデジタルマネー支払い」だ。デジタルマネーとは、電子マネー・スマホ決済サービスのチャージ残高、ポイントなどを指す。
ポイントで投資信託・株式の購入、それらの売却によるポイントの現金化も可能な今、会社員にとってデジタルマネー支払い導入によるデメリットは少なく、今年の年末、遅くとも、あと2年後あたりには、「デジタル円」とも呼ばれる中央銀行デジタル通貨(CBDC)やデジタルマネーでの従業員への給与・賞与の支給を認める法案のたたき台が出ていると期待したい。ポイントで囲い込みを図ろうとする各社の取り組みのおかげで、「現金よりポイントが便利」と感じる下地は整っている。(BCN・嵯峨野 芙美)
理由1・時差通勤でポイント還元など、沿線単位のポイント経済圏が広がる
さまざまなポイントサービスのうち、例えば首都圏エリアのJRE POINT(JR東日本)、TOKYU POINT(東急)、小田急ポイント、旧東武グループポイントから20年11月1日に一新したTOBU POINT(東武)など、それぞれの路線・駅ビルを中心としたグループ共通ポイントは、全国どこでも使える共通ポイントに比べるとポイントがたまる・使える店舗が少ないが、ライフスタイルによっては、積極的にためると得するポイントだ。JRE POINTを展開するJR東日本は、多様化する通勤スタイルに合わせた新サービスとして、「Suica通勤定期券」で対象エリア・時間帯に時差通勤すると、駅ごとにを設定したポイントをJRE POINTで還元するポイントサービスを21年春から1年間の期間限定で実施する。JR西日本も同様に、「ICOCA定期券」限定で、平日朝の時差通勤でICOCAポイントがたまるサービスを21年4月1日~22年3月31日に実施する。
働く世代のスマートフォン(スマホ)保有率の高さを背景に、乗車割引は「ポイント還元」が定番となりつつあり、日銀が21年度から実証実験を開始すると公表した、従来の紙幣や硬貨の代わりに電子データでお金をやり取りする「中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBCC)」に現時点で最も近いサービスは、楽天ポイントやJRE POINTなど、交通系電子マネーにチャージ可能な共通ポイント・グループ共通ポイントといえるだろう。
理由2・KDDIの会員基盤を取り込んだPontaポイントの巻き返し
KDDIとauじぶん銀行が打ち出した、最大年0.1%、住宅ローン金利を引き下げる「au金利優遇割(auモバイル優遇割+じぶんでんき割)」は、最大35年、少なくとも6~20年間、MNPを利用した他の通信事業者への乗り換えを阻む効果が期待できる。これほどの強力な囲い込みはなく、楽天ポイント・dポイントに比べ、利用シーンが限られていた、共通ポイントの一つ、Pontaポイントの巻き返しのきっかけになりそうだ。なお、Pontaカード(公式)アプリは12月21日からKDDIのスマホ決済サービス「au PAY(コード支払い)」の決済機能を追加し、一つのアプリでポイントカード提示・決済が可能になっている。
理由3・前払い決済の浸透
ここ1年、飲食店のテイクアウトオーダーを中心に、スマホやPCからの注文と同時に決済する「モバイルオーダー&ペイサービス」を採用する企業が増えている。こうした「前払い」とは対照的に、メルペイをはじめ数社から、1カ月間に購入した商品の代金を翌月にまとめて支払う「後払い」サービスも登場している。会社員の給与は、当月1カ月間の実働日に対し、1~2カ月遅れて支給するケースもあり、家賃は前払い、生活費は即時決済(その場で支払い)が多いため、日給相当額の即時支給や週ごとの前払いを求める声が出ていた。この課題を解消するための一つの案が、今は現金・銀行振込しか認められていない「給与のデジタルマネー支払い」だ。デジタルマネーとは、電子マネー・スマホ決済サービスのチャージ残高、ポイントなどを指す。
ポイントで投資信託・株式の購入、それらの売却によるポイントの現金化も可能な今、会社員にとってデジタルマネー支払い導入によるデメリットは少なく、今年の年末、遅くとも、あと2年後あたりには、「デジタル円」とも呼ばれる中央銀行デジタル通貨(CBDC)やデジタルマネーでの従業員への給与・賞与の支給を認める法案のたたき台が出ていると期待したい。ポイントで囲い込みを図ろうとする各社の取り組みのおかげで、「現金よりポイントが便利」と感じる下地は整っている。(BCN・嵯峨野 芙美)