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縛られたくない人に最適なドコモの実質サブブランド「ahamo」登場 楽天対抗強まる

 NTTドコモは、オンライン申込み限定の新料金プランとして「ahamo(アハモ)」を発表した。2021年3月の提供開始を前に、先行エントリー受付を12月3日に開始。先行エントリー特典として、MNP転出手数料に相当する3000円相当のdポイント(用途・期間限定)をプレゼントする。

オンラインに振り切ったahamo

 早速、現在、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT V」を契約し、1年無料が適用されている携帯電話番号でエントリーした。基本料金0円から月額2980円にアップするが、21年4月以降、楽天モバイルのまま継続利用しても月額2980円になるので妥当な乗り換え先だ。
 
ahamoの特徴

 楽天モバイルの契約者専用アプリ・サイト「my 楽天モバイル」は、他社に比べ使いやすい。いつも使っている楽天ID・パスワードでログインするため、パスワードを忘れてログインできないというトラブルが発生しないからだ。

 ahamoも同様の仕組みとなると思われ、楽天ID・楽天ポイントを核とした「楽天経済圏」に勝つため、dアカウント基盤の拡大を狙うドコモが、楽天モバイル1年無料に飛びついた、dアカウントを保有しない層の巻き取りを狙ってオンライン特化の実質サブブランド、ahamoを打ち出したようにみえる。
 
ドコモはメルカリとのID連携を強化中。Amazon.co.jpとも抽選でdポイントが当たるキャンペーンなどを実施している。ahamoは、dアカウントを増やし、楽天経済圏を超えるための戦略か

 Rakuten UN-LIMITからahamoに乗り換えると、「同じ月額料金で利用可能なデータ容量が4倍にアップする(5GB→20GB)」「回線紐付けのdアカウントが一つ増える(なし→1アカウント)」「現状の東京市部など、今後増えていくと予想されるKDDIのローミングサービス終了エリアでつながらないトラブルが発生しない」「SIMフリーiPhone、ドコモiPhoneがフルに使える」など、多数のメリットがある。

 なお、現在、dアカウントを保有していない場合は新規作成する必要がある。これ以上、共通ポイントのアカウントを作りたくないと思うならahamoは不向きだ。

 同時に、「楽天モバイル契約でSPU+1倍がなくなる」「独自アプリのRakuten Linkが使えなくなる」「通話無料の範囲が変わる」といったデメリットもあるので悩ましいところだ。国内通話・SMS・メッセージを統合したコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」は使い勝手が良く、大手キャリア限定の「+メッセージ」よりも便利なので、Rakuten Linkのキャリアフリー化を切望するが、楽天モバイルは強みとして絶対にフリー化しないだろう。

 一方、ドコモの「ギガライト」(「みんなドコモ割(3回線以上)」「ドコモ光セット割」「dカードお支払割」適用時)からahamoに乗り換えると、同じ月額料金(2980円)で利用可能なデータ容量が4倍にアップする(3GB以上5GB未満→20GB)ほか、dカードお支払割・dカード GOLD特典(dカード GOLDでドコモ料金を支払うと10%ポイント還元)がなくなるので、年会費1万円(税別)のドコモのクレジットカード「dカード GOLD」をやめるという選択肢が出てくる。

 dカード GOLD未入会で、ドコモ継続利用年数が15年以下(プレミアステージ以下)ならahamoへの乗り換えによるデメリットは少なく、カード GOLD入会済で15年超の「プレミアステージ」なら慎重に検討したい。
 
dカード GOLDの「ドコモ料金10%ポイント還元」に対抗してau PAY ゴールドカードも特典の強化(au料金11%ポイント還元など)を発表。プレミアブランドの利用は、年会費ありのクレジットカード保有がほぼ必須といえる

 ahamoは、キャリアメールも家族間通話無料も、ECのポイント還元率アップ、クレジットカード割引などの特典もいらない、むしろそういった「縛る」要素を疎ましく思う層、その時点のお得なサービスを都度選びたい層向けなのだ。特に、楽天対抗の色合いが濃く、表向きは総務省の携帯料金値下げ要請に応えたようにみえるが、狙いは、dアカウント数の拡大・dポイントやd払いなどの決済・金融サービスの基盤強化にあるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)