宇宙商社Space BD、イプシロン利用の衛星打ち上げにも参画

経営戦略

2020/12/03 19:30

 人工衛星(衛星)打ち上げサービス事業を手掛けるSpace BDは11月30日、国産固体燃料ロケット「イプシロン」への衛星インテグレーション業務を開始したと発表した。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「革新的衛星技術実証3号機 超小型衛星及びCubesat実証テーマ提案者支援業務」を受託したことによるもの。イプシロンでのサービス提供が決定したことで、同社が目標としてきた「我が国のあらゆる衛星輸送手段への参画」が実現した。

我が国のあらゆる衛星輸送手段への参画が実現したと話す
Space BDの永崎将利 代表取締役社長

 同社は現在、宇宙ステーション「きぼう」からの衛星放出や、きぼうのプラットフォームへの衛星設置、H-IIA/H3ロケットを活用した衛星相乗り打ち上げサービス、補給船「HTV-X」1号機を活用した衛星打ち上げサービスで、JAXAから公式打ち上げサービスプロバイダーとして選定されている。JAXA以外での打ち上げを含め、これまで52機の衛星打ち上げプロジェクトを受注し、3機の打ち上げを完了させてきた。

 Space BDの永崎将利 代表取締役社長は「日本発で世界を代表する産業と社会をつくる、という志のもと、たどり着いたのが宇宙ビジネス。かつて自動車産業がゼロから日本を代表する産業へと大きな成長を果たしたように、宇宙ビジネスには大きな可能性がある」と話す。今後については「3期目の2020年度は受注額は2億9000万円。来期は6億円の受注を目指す。現在は衛星打ち上げサービスが8割から9割を占めるが、将来的には株式上場を通じて資金を調達し、宇宙利用事業など幅広い宇宙ビジネスを行う宇宙商社を目指したい」と語った。
 
Space BDの経営陣、左から金澤誠COO、永崎将利社長、赤澤栄信CFO

 業容の拡大に伴い経営体制もテコ入れした。これまでローンチサービス事業本部で副本部長を務めてきた金澤誠氏がCOOに就任。デジタルアーツの取締役兼管理部長を務めていた赤澤栄信氏をCFOに迎え入れた。(BCN・道越一郎)