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Go To トラベルのキャンセル料を取り戻すまでの3カ月、ドキュメンタリー新型コロナ

時事ネタ

2020/11/29 18:30

 Go To トラベルキャンペーンが揺れている。新型コロナウイルス感染症拡大が第3波を迎えていることを受け、大阪市と札幌市が目的地の旅行がキャンペーン対象から一時除外された。この措置に伴うキャンセル料は、国が負担する方針だという。しかし、何もせずにキャンセル料が戻ってくると安心してはならない。

 7月も似たようなことがあった。キャンペーン開始わずか6日前、突然東京発着の旅行が除外された。この時もキャンセル料は国が負担することになったが、私が遭遇した事例では、キャンセル料が自動的に戻るわけではなかった。キャンセル料を取り戻すまでのおよそ3カ月を振り返る。

 コロナ禍で大きな打撃を受けた観光業や運輸業を救うため、観光庁は7月10日、7月22日からGo To トラベル事業をスタートさせると発表した。しかし、東京都の感染が急拡大していることを受け、西村経済再生担当相はGo To トラベルキャンペーンの対象から東京を除外することを発表した。開始直前の7月16日のことだった。

 土壇場の決定で、旅行サイトや旅行代理店各社は大混乱。対応に追われた。キャンセル料の負担についても二転三転した後、結局、7月10~17日までの予約分については、キャンセル料を国が負担することで落ち着いた。
 
金曜日の午後でも新幹線の乗降客は少ない
(東京駅の東海道・山陽新幹線のりば 11月27日)

 2月に義理の兄を亡くし新盆を迎える8月、Go To トラベルキャンペーンを利用して田舎に帰る予定を組んでいた。キャンペーンの実施が発表された7月10日、旅行サイトで予約を入れた。現地までの2人の運賃と宿代をパッケージにした1泊2日の内容。クレジットカードで8万1600円を支払った。

 当時は、まだ予約時点ですぐに割引にはならず、旅行後の申請で割引分が還付されることになっていた。ところが16日、東京除外の発表を受け、今回の帰省が割引の対象から外れた。重要な法事なので、通常料金でもやむを得ないと考えていた。

 7月末から8月初旬に向け、東京は陽性者数増加・第2波のピークに見舞われた。田舎からは、「新盆はこちらでしっかりやっておくから」「墓の掃除もやっておくから安心して」などの連絡が入り、やんわりと帰省を拒まれてしまった。とはいうものの新盆でもあることから、兄弟にも告げずにこっそり訪れ、墓参りだけでもしようかとも考えていた。

 結局、東京の陽性者が4回目に400人を超えた翌日の8月9日、帰省をあきらめ、旅程を全てキャンセルすることにした。幸い「7月10~17日までの予約分」に相当し、キャンセル料はかからない、というのがせめてもの救いだった。

 旅行の直前だったこともあり、サイトの規定では30%のキャンセル料がかかるタイミングだった。当時は、まだオンライン上でGo To トラベルの割引金額も表示できていない段階。キャンセル料を自動的に無料にするのは無理な話だ。一旦、正規のキャンセル料2万4480円を支払い、おとなしく返金されるのを待つつもりだった。

 ところが、旅行サイトでは返金の詳細をウェブ上で発表するとしながらも、以後全くアップデートがなかった。一抹の不安を感じ、念のため旅行サイトの電話サポートに確認することにした。
 
旅行代理店にはGo To トラベルキャンペーンのパンフレットが多数並べてあった

 電話サポートには金輪際つながらない、というのが、ウェブサービスの「あるある」。できることなら使いたくない。しかし、今回はかなり特殊な事例であることから、メールやチャットでは無理と考え、電話をかけることにした。8月22日のことだ。50分ほど待たされて、ようやくオペレーターとつながった。

 そのオペレーターは、「この電話で返金の申し込みを受け付けたこととします」と話す。詳しく聞くと、どうやらユーザーからの申し出がなければ返金しないのだという。ウェブにはそんな記述はどこにもない。今回の返金はイレギュラーな処理なので、時間がかかると最後に告げられた。

 偶然ながら返金要求もできたことですっかり安心していたが、多少時間がかかるとはいえ、待てど暮らせど何の連絡もない。クレジットカード会社から返金の報告もない。そこで、一度はジャブを入れておいた方がいいと判断。9月1日にサポート宛にメールを送った。

 予約詳細と電話サポートに申し込んだ経緯を添えて返金の進捗を尋ねる内容だ。メールを受け付けた旨の自動返信メールは受け取ったが、その後、予想通り何のリアクションも得られなかった。現在に至るまで返信はない。
 
やっと処理が終わり、キャンセル料の全額返金が決まった

 時間がかかるにもほどがあると、10月27日、意を決して再度サポートに電話をかけることにした。今回も1時間ほど待たされた挙句、やっとオペレーターにつながった。経緯を説明していつ返金されるのかを問いただした。返答は、「現在混みあっていてしばらく時間がかかる」の一点張り。キャンセルから2カ月以上も経過して、混みあっているもないだろう。

 ここはクレーマーになって、いつ返金処理をするのか具体的な日付の返答を求め食い下がった。結果、何とか今日中に処理をすると約束を取り付け、不安は残りながらも電話を切った。しばらくすると、返金処理を行う旨のメールが届き、夜には旅行サイト上の予約状況を示すページにも、返金処理を行ったことが記された。

 その後、11月8日にクレジットカード会社のサイトに返金する旨の情報が記載された。旅行をキャンセルしてからちょうど3カ月目だ。コロナ禍でさまざまなイレギュラー対応があちこちで行われている。当然、通常のルール外のことだらけ。ミスも起きやすい。消費者としても最後まで確認を怠らないように心掛けないと、思わぬところで割を食うことになりかねない。ご注意を。(BCN・道越一郎)