【記者のひとこと】ラプラスの悪魔はIoTとAIで実現するか
その昔、フランスの学者であるピエール=シモン・ラプラスは「もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう」という主張をしました。いわゆる全ての未来を見通せる“ラプラスの悪魔”の存在です。
この主張自体は、量子力学の発展で物体の位置と運動量の両方を正確に把握することが不可能と判明したことから完全に否定されてしまいましたが、個人的には「理論的にありえない」と切って捨てるにはもったいない話題だと感じています。
特に、ここ最近のIT業界を見ているとIoTとAIの進展によってビッグデータを集めて未来を予測するアプローチが増えており、全ての未来は見通せないまでも、一部分のある程度先を予報できる“劣化版ラプラスの悪魔”のようなものが生まれるのではと感じています。
中でも、製造業では工場内のさまざまなデータを収集することで仮想的なデジタル工場のモデルを構築し、それをシミュレーションにかけることで故障予知や課題発見に役立てる動きが出ています。荒唐無稽な概念でも、現実に目を向けるとそれに近いものがあるというのはわくわくしてきます。(銭君毅)
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この主張自体は、量子力学の発展で物体の位置と運動量の両方を正確に把握することが不可能と判明したことから完全に否定されてしまいましたが、個人的には「理論的にありえない」と切って捨てるにはもったいない話題だと感じています。
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