エコリカがキヤノンを提訴、報道で問い合わせに対応

 リサイクルインクのエコリカは10月27日、同社のリサイクルインクカートリッジをキヤノンのプリンタに装着した際に、インク残量が表示されなくなるなどの不具合が生じることについて、独占禁止法違反行為等差止等請求でキヤノンを大阪地方裁判所に提訴したと発表した。キヤノンの行為は、リサイクルインクカートリッジの市場参入を妨げ、リサイクルインクカートリッジの存在を危ぶむと主張する。

家電量販店の店頭でもおなじみのエコリカ

 「リサイクルインク」は、家電量販店などの店頭にある回収ボックスで回収したメーカー純正のカートリッジに、独自のインクを詰めてリサイクルする製品のこと。インクの種類はほかに、カートリッジもインクもメーカー純正の「純正インク」と、カートリッジもインクも純正メーカーではない企業がつくる「汎用インク」の3タイプがある。

 エコリカによると、キヤノンが2017年9月から発売しているBCI-380シリーズとBCI-381シリーズの各種インクカートリッジで、使用済製品を回収・再利用したリサイクルインクカートリッジを使った場合、通常の純正品では表示される各色のインク残量が表示されなくなるなどの不具合が生じるという。カートリッジにあるICチップを、インク残量の初期化(リセット)が物理的にできない仕様に変更しているためとする。

 さらに、プリンタ本体の故障が起きないようにするための機能が発揮されず、結果的に上記のシリーズ対応のリサイクルインクカートリッジが販売できない状況が続いているという。

 エコリカでは、インク残量の初期化を妨げる行為が、リサイクル製品の製造、販売を妨げていると考え、インクカートリッジ市場にエコリカが参入することを妨げる行為にあたるとして、差し止め等を求めて提訴した。

 エコリカは、問題の解決を求めてキヤノンにリセット方法の開示と制限行為を止めるように直接求めてきたが、誠意ある回答が得られず訴訟に踏み切ったとする。

報道による問い合わせに回答

 27日のエコリカの発表による報道で、同社には問い合わせや励ましの電話が届いているという。その中で、「エコリカはフリーライド製品ではないのか」や「エコリカを使ったらプリンタが壊れると聞いたが大丈夫か」という声に対して、ホームページで次のように回答している。

 「2003年の創業以来キヤノンに限らずEPSON、ブラザー、リコー、NECなど様々なメーカーに対応したリサイクル製品を継続して販売しております。製品化についてはプリンターの本体及び印字ヘッドにダメージを与えるような成分を含まないエコリカオリジナルインクを採用しておりますので、弊社のインクが原因としてプリンターが壊れることはありません」。

 合わせて、万一、エコリカ製品が不具合の原因だと判断した場合は、プリンタ本体の修理代を含めて負担することや、その間の代替プリンタを無償で貸し出しするなどして対応すると回答している。