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「当初は支払いを抑えて」 残価設定型購入プログラムが携帯料金値下げの切り札か

 日本時間10月14日2時から、米Appleはオンラインイベントをライブ配信する。そこで次期iPhoneを発表する見通し。スペック以上に気になるのは、5G対応や大画面化によって再び大幅に上昇しそうな「価格」だ。

 2~3年以内に必ず買い替えるなら、指定回数の分割払いと端末の返却を条件とした購入プログラム(NTTドコモ「スマホおかえしプログラム」、au「かえトクプログラム」、ソフトバンク「トクするサポート+」)は、より少ない負担で最新スマートフォン(スマホ)を使い続けられる、デメリットよりもメリットの多い購入補助の仕組みだ。3社のプログラムの違いを説明しつつ、今後、かえトクプログラムのような「残価設定型」が主流になると予想する理由を挙げていく。
 
残価設定型のauのかえトクプログラム

購入から25カ月目の機種変更を推奨するau

 auのかえトクプログラムは、購入機種の2年後の査定価格を「最終回支払分」として設定することで、24回払いの23回の支払いまでは、単純な24回払いより、毎月の支払い額が下がる仕組み。さらに、購入後13~25カ月目に機種変更し、それまで使っていた端末をauが回収すると、最終回分(24回目)の支払いが不要になる。プログラム利用料は無料。

 この仕組みは、自動車の残価設定型ローン(金利あり)と同じで、メリットは、分割払いの最終支払い時に、買い替え(機種変更)か、そのまま残債を支払って継続使用するか判断を迫られるため、故障する前、正常に動作する状態での買い替えが進みやすいこと。デメリットは、回収・査定の条件を満たさない場合に最大2万2000円(不課税)の支払いが必要となることや、プログラムの適用を受けるため、次もauで買い替えなければならなくなることだ。
 
かえトクプログラムの特典を利用した支払いイメージ

 対して、ソフトバンクのトクするサポート+は48回払いで、購入から25か月目の時点で機種変更すると残債の支払いが不要になる仕組みで、”実質半額”と紹介している。NTTドコモのスマホおかえしプログラムは36回払いで、端末を返却すると、本来の端末代金の最大3分の1が支払い不要になる。どちらもプログラム利用料は無料。購入から2年以内に買い替えるなら、今回の端末購入では支払い不要となる金額分だけ得する。
 
NTTドコモのスマホおかえしプログラムは、「端末返却」が条件。
購入から3年以内に端末を返却すると最大3分の1が支払い不要になる

「残価設定型」が今後のスタンダードに?

 10月9日に、菅義偉総理大臣から武田良太総務大臣に対し、経済対策の一貫として、改めて通信料金引き下げに向けて取り組むよう指示が出された。しかし、一部の消費者が通信・通話料金、オプション料金、端末代金、キャリア決済の利用額を回線ごとに合算した請求額を「通信料金」だと誤認しているため、データ通信の1GB当たりの単価がいくら下がっても「携帯料金が高い」という不満の声はなくならないように思える。
 
ソフトバンクのトクするサポート+は3キャリアの購入プログラムで最も回数の多い「48回払い」なので、
毎月の支払額は低い。支払総額(一括販売価格)はドコモとほぼ同じ

 端末代金の引き下げは、かつて「月々サポート」「毎月割」「月月割」といった名称で提供されていた「端末購入補助」を形を変えて復活させ、総務省が公認すれば即座に可能だ。ドコモとソフトバンクが残価設定型の購入プログラムを導入するだけでも、分割払い時の当初24回の支払額は3キャリア横並びで下がる。

 総務省とキャリアは、分かりやすい前者ではなく後者を選び、下取りを前提とした「定期的な買い替え」をより推奨する方向に働きかけるのではないだろうか。
 
同じ機種でも、実質負担額はキャリアと購入方法によって変わる

 毎月の返済額を減らす「残価設定型住宅ローン」を官民で開発するという報道があったが、真っ先にauのかえトクプログラムが思い浮かんだ。もし実現すれば、今は「一生に一度の買い物」といわれる住宅がスマホのように一定期間で必ず買い替える耐久消費財に変わるかもしれない。スマホと住宅のセット販売もあり得ると直感的に思った。通信料金引き下げの要請は、今後を見越した布石のようだ。(BCN・嵯峨野 芙美)