ニューノーマルと呼ばれる時代の到来で、人とデジタルの関係性が急速に変わってきている。テレワークは一部の人や一過性のものではなく、新しいスタンダードとして定着しつつある。こうした潮流を受けて、活発化しているのがPC市場だ。少し前まではスマートフォンやタブレットに押されて存在意義が弱くなっていたが、ここにきて再び“もっとも頼れるデジタルデバイス”として復権してきている。その起爆剤になると目されているのが、インテルが9月2日に発表した第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリー、通称Tiger Lakeだ。「大きな飛躍」とインテル自らが宣言する次世代PCの心臓がどのような特徴をもつのか、探っていきたい。
重要なのは“幅広い分野で”という部分だ。一般的なビジネスマンが行うブラウンジングやMicrosoft Officeなどを用いた資料作成はもちろん、画像・動画編集、娯楽としてのゲーミングに至るまで恩恵がある。これまで薄型・軽量のノートPCには荷の重かった作業も快適にできるようになったことは、従来のモバイルワークのイメージを覆すほどのインパクトがある。
しかもそれを実現するのは、軽量・薄型のノートPCだ。「いつでも、どこでも、なんでも」というのはテレワークを語るうえでの決まり文句だが、第11世代インテルCoreプロセッサー・ファミリー搭載のマシンならば真の意味で、場所や時間に捉われることなくユーザー各々が望むタスクをこなすことが可能になる。
製造プロセス自体は従来と同じ10nmとなるが、トランジスターや配線プロセスなどの基盤を大幅に改良することで、前世代から最高動作周波数が900MHzに向上、電圧もより安定して維持できるようになった。ユーザー目線で言い換えれば、負荷のかかる作業をより省電力でこなせるようになった。これは全てのユーザーが恩恵を受けることのできる進化だ。
プロセッサーの進化は半導体プロセスの微細化という着眼点でのみ語られがちだが、10nm SuperFinテクノロジーは同じ製造プロセスで1世代分の進化に匹敵する改良が加えられている。これは第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーを理解する上で忘れてはならないポイントだ。
新たなグラフィックス技術も特筆すべきものだ。インテルXeグラフィックスは実行ユニット数が最大96と前世代から1.5倍も強化された。画像・動画編集やゲーミングはスペックがものをいう分野だが、次世代プロセッサー搭載のマシンであれば、たとえ軽量・薄型のノートPCであっても十分なパフォーマンスを発揮できる。
競合となるAMDの最新モデルと比較しても、第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーのポテンシャルは一目瞭然だ。「AMD R7 4800U」と「インテル Core i7-1185G7」のベンチマークは演算性能で28%、グラフィックスで67%、AIに至っては300%も上回っている。
用途別でみても、Microsoft Officeで約1.3倍、Adobeのクリエイティブツールで約1.4~4.4倍、ゲーミングで約1.5倍、Google Chromeのブラウジングで約1.2倍、大容量データのダウンロードや転送で約3~4倍と圧倒している。これは冒頭でも述べた幅広い分野におけるスペックの底上げを証明するものだ。
次世代への目配せにも注目したい。第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーはインテルとして初めてThunderbolt 4ポート内蔵やCPU内蔵PCle Gen4統合を達成。また次世代通信規格として広がりを見せ始めているWi-Fi 6にも対応するなど、今後のコンピューティングを完璧な形で先取りした。
これはCPUだけでなくプラットフォーム全体でPCの性能向上に取り組んできたインテルならではのアプローチといえるだろう。ユーザーが将来の利用シーンを見越して安心して購入できるだけでなく、PCメーカーが次世代機を開発する上での指標という点でも、重要な意味をもっている。
実はこれまでのノートPCは電源ケーブルを外して動作させると、パフォーマンスを低下させてバッテリー消費を抑えていることが多かった。インテルのプロセッサーは、バッテリー駆動時にもバッテリー駆動時間を犠牲にすることなくパフォーマンスを維持できるよう設計されており、第11世代 インテルCoreプロセッサー・ファミリーでもその方針は変わらない。井田氏によると、性能の飛躍によって「モバイルといえども電源を確保しなければ」というプレッシャーからユーザーを解き放ち、真のモバイル環境を提供できるようになるという。
この半年テレワークが加速したことで、ユーザーからは新たな細かいニーズもあがってきている。例えば、個別のアプリごとのパフォーマンスだ。需要が高まっているビデオ会議アプリは「Zoom」が代表例として取り上げられがちだが、企業によって「Microsoft Teams」や「Google Meet」など使い分けているケースが多いだろう。
井田氏は「インテルは各パートナーとしっかり連携をとり、それぞれのアプリケーションがインテルのプラットフォーム上で最大限パフォーマンスが引き出されるようにチューニングされている」と、グローバルで幅広く展開しているからこその強みを強調する。こうしたパートナーシップの強化は、最近ではゲーミング分野において顕著で、さまざまな開発会社の意見を取り込むことで、例外のない快適な環境づくりに邁進している。
また、ノートPCのイノベーションを進めるべくインテルが昨年から取り組んでいる「Project Athena(プロジェクト アテナ)」の一環として打ち出した「インテル Evoプラットフォーム」も重要な販売戦略となる。次世代プロセッサーを搭載するPCのくくりで、以下の条件を満たす場合に該当する。
「場所を選ばない応答性」「より長いバッテリ駆動時間(フルHDで9時間以上)」「瞬時の起動(1秒未満)」「高速充電(30分以下の充電でフルHDでの4時間の使用が可能)」「インテル Wi-Fi 6(Gig+)およびThunderbolt 4を搭載したクラス最高の接続性」。
これらは安心して快適なデジタルライフを送るための条件で、その基準には厳しいがある。Wi-Fi 6やThunderbolt 4のように、これから主流になるであろう次世代技術にも目配せをした先進的なものであることが特徴だ。
冒頭で“PC復権”というキーワードをあげたが、数年前までPCはスペックを高めても、それを生かし切る用途をユーザーに提案できていないというジレンマを抱えていた。しかし、ゲーミングシーンの盛り上がり、5GやAIなどの次世代技術の実用化、ICT教育の広がり、そしてテレワークの加速などが一気に状況を変えた。
秋以降に続々と登場するインテルの次世代プロセッサーが搭載されたPCは、新しい黄金時代の先駆けとなる可能性を秘めている。日常的にPCをフル活用しているユーザーはもちろん、久しぶりに買い替えを検討しているユーザーにも新鮮な驚きを与え、ニューノーマル時代の波を乗り切る大きな力になってくれるだろう。
第11世代インテルCoreプロセッサーが達成する“真のモバイルPC”とは
第11世代 インテル Coreプロセッサー・ファミリーはノートPC向けに開発されたもので、2020年秋以降に発売されるPCメーカーの新製品から登場する予定だ。何が変わって、どう進化するのか。一言で説明するのは難しいが、まずは「ビジネスからプライベートまで幅広い分野におけるコンピューティングのパフォーマンスが飛躍的に向上する」と認識しておくとよいだろう。重要なのは“幅広い分野で”という部分だ。一般的なビジネスマンが行うブラウンジングやMicrosoft Officeなどを用いた資料作成はもちろん、画像・動画編集、娯楽としてのゲーミングに至るまで恩恵がある。これまで薄型・軽量のノートPCには荷の重かった作業も快適にできるようになったことは、従来のモバイルワークのイメージを覆すほどのインパクトがある。
しかもそれを実現するのは、軽量・薄型のノートPCだ。「いつでも、どこでも、なんでも」というのはテレワークを語るうえでの決まり文句だが、第11世代インテルCoreプロセッサー・ファミリー搭載のマシンならば真の意味で、場所や時間に捉われることなくユーザー各々が望むタスクをこなすことが可能になる。
スペックの底上げがもたらす新しいユーザー体験とは?
技術的な進化について触れていこう。第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーはとにかく新しいフィーチャーに溢れているので、分かりやすい重要トピックに絞って紹介する。まず、欠かせないのが飛躍的なスペックアップの原動力となった「10nm SuperFin」テクノロジーだ。製造プロセス自体は従来と同じ10nmとなるが、トランジスターや配線プロセスなどの基盤を大幅に改良することで、前世代から最高動作周波数が900MHzに向上、電圧もより安定して維持できるようになった。ユーザー目線で言い換えれば、負荷のかかる作業をより省電力でこなせるようになった。これは全てのユーザーが恩恵を受けることのできる進化だ。
プロセッサーの進化は半導体プロセスの微細化という着眼点でのみ語られがちだが、10nm SuperFinテクノロジーは同じ製造プロセスで1世代分の進化に匹敵する改良が加えられている。これは第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーを理解する上で忘れてはならないポイントだ。
新たなグラフィックス技術も特筆すべきものだ。インテルXeグラフィックスは実行ユニット数が最大96と前世代から1.5倍も強化された。画像・動画編集やゲーミングはスペックがものをいう分野だが、次世代プロセッサー搭載のマシンであれば、たとえ軽量・薄型のノートPCであっても十分なパフォーマンスを発揮できる。
競合となるAMDの最新モデルと比較しても、第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーのポテンシャルは一目瞭然だ。「AMD R7 4800U」と「インテル Core i7-1185G7」のベンチマークは演算性能で28%、グラフィックスで67%、AIに至っては300%も上回っている。
用途別でみても、Microsoft Officeで約1.3倍、Adobeのクリエイティブツールで約1.4~4.4倍、ゲーミングで約1.5倍、Google Chromeのブラウジングで約1.2倍、大容量データのダウンロードや転送で約3~4倍と圧倒している。これは冒頭でも述べた幅広い分野におけるスペックの底上げを証明するものだ。
次世代への目配せにも注目したい。第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーはインテルとして初めてThunderbolt 4ポート内蔵やCPU内蔵PCle Gen4統合を達成。また次世代通信規格として広がりを見せ始めているWi-Fi 6にも対応するなど、今後のコンピューティングを完璧な形で先取りした。
これはCPUだけでなくプラットフォーム全体でPCの性能向上に取り組んできたインテルならではのアプローチといえるだろう。ユーザーが将来の利用シーンを見越して安心して購入できるだけでなく、PCメーカーが次世代機を開発する上での指標という点でも、重要な意味をもっている。
テレワーク推進で見えてきた新たなユーザーニーズ
ここまで第11世代 インテル Coreプロセッサー・ファミリーの進化について紹介してきたが、実際にわれわれのデジタルライフをどのように変えてくれるのか。同社の執行役員 パートナー事業本部 兼 クライアントコンピューティング事業統括 井田晶也 本部長に話を聞いた。井田氏は「薄くて軽いモバイルノートPCの需要は高まっている。次世代プロセッサーでは、バッテリーライフやバッテリー駆動時のパフォーマンスもさらに向上している」と強みを話す。実はこれまでのノートPCは電源ケーブルを外して動作させると、パフォーマンスを低下させてバッテリー消費を抑えていることが多かった。インテルのプロセッサーは、バッテリー駆動時にもバッテリー駆動時間を犠牲にすることなくパフォーマンスを維持できるよう設計されており、第11世代 インテルCoreプロセッサー・ファミリーでもその方針は変わらない。井田氏によると、性能の飛躍によって「モバイルといえども電源を確保しなければ」というプレッシャーからユーザーを解き放ち、真のモバイル環境を提供できるようになるという。
この半年テレワークが加速したことで、ユーザーからは新たな細かいニーズもあがってきている。例えば、個別のアプリごとのパフォーマンスだ。需要が高まっているビデオ会議アプリは「Zoom」が代表例として取り上げられがちだが、企業によって「Microsoft Teams」や「Google Meet」など使い分けているケースが多いだろう。
井田氏は「インテルは各パートナーとしっかり連携をとり、それぞれのアプリケーションがインテルのプラットフォーム上で最大限パフォーマンスが引き出されるようにチューニングされている」と、グローバルで幅広く展開しているからこその強みを強調する。こうしたパートナーシップの強化は、最近ではゲーミング分野において顕著で、さまざまな開発会社の意見を取り込むことで、例外のない快適な環境づくりに邁進している。
ロゴ変更とインテル Evoプラットフォームで販売を加速
第11世代 インテルCoreプロセッサー・ファミリー登場に合わせて同社が発表したいくつかのトピックにも触れておきたい。まずは企業ロゴの変更だ。14年ぶりによりモダンな印象を与えるデザインに刷新される。また、ノートPCのイノベーションを進めるべくインテルが昨年から取り組んでいる「Project Athena(プロジェクト アテナ)」の一環として打ち出した「インテル Evoプラットフォーム」も重要な販売戦略となる。次世代プロセッサーを搭載するPCのくくりで、以下の条件を満たす場合に該当する。
「場所を選ばない応答性」「より長いバッテリ駆動時間(フルHDで9時間以上)」「瞬時の起動(1秒未満)」「高速充電(30分以下の充電でフルHDでの4時間の使用が可能)」「インテル Wi-Fi 6(Gig+)およびThunderbolt 4を搭載したクラス最高の接続性」。
これらは安心して快適なデジタルライフを送るための条件で、その基準には厳しいがある。Wi-Fi 6やThunderbolt 4のように、これから主流になるであろう次世代技術にも目配せをした先進的なものであることが特徴だ。
冒頭で“PC復権”というキーワードをあげたが、数年前までPCはスペックを高めても、それを生かし切る用途をユーザーに提案できていないというジレンマを抱えていた。しかし、ゲーミングシーンの盛り上がり、5GやAIなどの次世代技術の実用化、ICT教育の広がり、そしてテレワークの加速などが一気に状況を変えた。
秋以降に続々と登場するインテルの次世代プロセッサーが搭載されたPCは、新しい黄金時代の先駆けとなる可能性を秘めている。日常的にPCをフル活用しているユーザーはもちろん、久しぶりに買い替えを検討しているユーザーにも新鮮な驚きを与え、ニューノーマル時代の波を乗り切る大きな力になってくれるだろう。