• ホーム
  • トレンド
  • ヤマダ電機の新宿参戦の象徴「LABI新宿東口館」が閉店、大塚家具との「カニバリ」解消

ヤマダ電機の新宿参戦の象徴「LABI新宿東口館」が閉店、大塚家具との「カニバリ」解消

 ヤマダ電機は、東京・新宿のLABI新宿東口館を閉店する。閉店日は10月4日。理由は、2020年6月から本格的に家電製品の販売を開始した子会社の大塚家具の新宿ショールームとの自社競合を解消するためだ。LABI新宿西口館は維持する。ヤマダ電機の駅前都市型店舗ブランドの「LABI」で閉店するのは、15年5月のLABI水戸に続く2店舗目となる。

10月4日に閉店するLABI新宿東口館(写真はオープン当時)

 LABI新宿東口館は、10年4月にオープンした。売場面積は約7900平方メートルで、LABIの中で中堅規模の店舗だった。当時は、11年7月のアナログ放送停波に向けてテレビの買い替え需要が膨らんだ「地デジバブル」の最中。テレビの品ぞろえは、最大規模の「LABI日本総本店 池袋」と同程度にしていた。

 新宿といえばヨドバシカメラの本拠地だが、00年にビックカメラが新宿東口店を出店して進出した後、02年に小田急ハルクに新宿西口店、12年にビックロ ビックカメラ新宿東口店などの出店ラッシュで攻勢を強める一方、10年2月にさくらやが閉店するなど、カメラ系家電量販店の栄枯盛衰もあった。
 
2012年にオープンしたビックロ ビックカメラ新宿東口店(写真は2016年3月)

 LABI新宿東口館は、そうした中でヤマダ電機の新宿参戦を象徴する店として誕生。11年7月にLABI新宿西口館がオープンし、当時の一宮忠男社長兼CEOは「2館合わせて800億円の売上規模を目指す」と語るなど、鼻息が荒かった。家電量販店の一つの課題であった女性客の来店を促すため、ピンク色のトーンの売り場や棚の高さを女性の目線に合わせるなど、女性層を意識した売り場づくりも話題になった。
 
女性層をターゲットにしたピンク色の売り場も話題だった(写真はオープン当時)

 地デジバブルがはじけてから10年近くがたち、ヤマダ電機は家電と住宅事業を融合する戦略に転換。19年12月に大塚家具を子会社化し、20年6月から大塚家具の全国7カ所のショールームで家電の展示販売を本格的に開始した。

 新型コロナウイルスの影響でリモートワークや在宅勤務が進み、オフィス街のにぎわいが薄れててしまったことも、今回の閉店に少なからず影響を与えているのだろう。映画やドラマのシーンでおなじみとなったLABI新宿東口館のオーロラビジョンも、10年の時を経て新しい形に変わろうとしている。(BCN・細田 立圭志)