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新潟の小さな町工場が逆境をバネにつくった、半永久的に使える「樹脂製マスク」

販売戦略

2020/08/18 18:24

 新潟県三条市の従業員6人の小さな町工場が、新型コロナウイルスの影響で取引先の工場からの受注がストップするという苦境に見舞われた。状況を打開するため、自社の技術を応用してマスクを新規で開発・製造・販売した。フジハラ ウインテックは、プラスチックとゴムの間の柔らかさのエラストマー樹脂に着目して、水洗いするだけで半永久的に使えるマスク「エラストマー樹脂製抗菌マスク WinFit」をつくった。

フジハラ ウインテックの「エラストマー樹脂製抗菌マスク WinFit」

 「われわれはプラスチック成型用の金型を製造している町工場だが、3月、4月に受注がストップしてしまった。景気が回復するまで何もせずに待つのではなく、小さな町工場でも独自の技術を生かして社会の役に立つことができるのではないかと考えて、初めての開発や販売業務も苦戦しながら挑戦している」。フジハラ ウインテックで設計・技術を担当する藤原誠也氏は、WinFitが企画された背景について語る。
 
カラーはホワイト、ネイビー、ライトグレーの3色

 通常は取引先の工場が設計した製品の図面をもとに同社で金型を製造するため、製品の企画や開発から携わるのは初めてのことだったという。藤原氏たちは、使い捨てマスクの普及による環境問題の解決に貢献したいとの考えから、長期間にわたって使えるマスクとしてエラストマー樹脂に着目した。
 

 「エラストマー樹脂は、身近なものではドライバーのグリップや歯ブラシの柄などに使われているから、人体にも影響を与えない素材」と藤原氏は語る。口もとに小さな穴が開いており、この部分の内側にガーゼや布、ティッシュなどをあてて使う。ウイルスの飛散をさらに防ぐにはマスクカバーのように、不織布マスクの上から装着する使い方もできる。それでも外出先で表面に付着する菌が気になるようなら、除菌シートなどで拭きとればいい。
 
水に強い「エラストマー樹脂」に着目した

 WinFitは、水をはじくため、飛沫や花粉、ホコリがマスクの表面から素材内部に染み込まない。材料に抗菌材を配合しているため、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの増殖も抑えるという。耐水性は、雨の日やレジャー、冬場のウインタースポーツでの活躍も期待できる。紙や布と違って長期にわたって使用でき、食器を洗う感覚で扱える上、すぐに乾くなど手軽に手入れできるのも特徴だ。

 「超立体形状で口とマスクの間に余裕があるので、今のような暑い日は保冷剤などを一緒に挟んで使ったりしている。冷蔵庫で冷やせば、最初はひんやり感が得られる」と、暑さ対策としても活用しているそうだ。
 
内側はガーゼや布などユーザーの好みで装着。暑い日は保冷剤を入れてもいい

 カラーはホワイト、ネイビー、ライトグレーの3色。サイズはフリーサイズで、耳ひもが交換できる。ロングサイズと女性や子ども用のショートサイズの合計4本の耳ひもが同梱されている。価格は1枚、税別700円で、同社の公式オンラインショップで販売している。送料は全国一律250円で対応するが、2枚セットで購入すると税込み1540円になり、送料が無料になる。また、2枚購入すれば、耳ひもを付け替えるなどしてカラーバリエーションが楽しめる。
 
ロングとショートの4本の耳ひもが同梱

 長期戦が予想されている新型コロナとの戦いで、使い捨てマスクに抵抗感があるのなら、三条市の小さな町工場の技術を応用した国産マスクを使ってみるのもいいだろう。(BCN・細田 立圭志)