米国の体験型ショップ「b8ta(ベータ)」上陸、日本の小売店が真似できないコトとは
米国で新しい体験型小売店として注目されているb8ta(ベータ)が8月1日、日本に上陸する。日本法人のb8ta Japanは7月28日、オープンに先駆けて新宿マルイ本館と有楽町の2店の報道陣向け内覧会と記者会見を開催。北川卓司カントリーマネージャーは、「主目的は販売することではない。発見と体験をメッセージに新しい体験型店舗を展開していく。(来店客の)行動データなど、これまで量販店や百貨店では出品者に渡せなかったデータを渡してくなど新しい風を吹き込みたい」と、Retail as a Service(RaaS=サービスとしての小売り)として既存小売りとの違いをアピールした。
新宿マルイの1階にオープンする「b8ta Tokyo-Shinjuku Marui」と、有楽町駅前の有楽町電気ビル1階にオープンする「b8ta Tokyo-Yurakucho」には、スタートアップなどの最新ガジェットやオーディオ・ビジュアル、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど145種類以上が展示される。
個々の展示される商品は、既存の店舗などであまり見ることのない最新テクノロジーを搭載したデザイン性の高い尖った商品が多く、見ているだけであっという間に時間が過ぎてしまうほどだった。
新宿の店舗面積は約122平方メートルで、幅60センチ×奥行き40センチを1区画とした約100の出店可能区画数を用意するほか、Experience roomとした広い体験ルーム1区画を用意。ここに最終的に84種類の商品が展示される予定だ。販売スタッフ8人のうち、6人が丸井からの出向となる。顧客ターゲットは、ファミリー層まで幅広い。
有楽町の店舗面積は約2倍の256平方メートル。出店可能区画数は約100のほか体験ルーム3区画を用意。最終的に103種類の商品が展示される予定。販売スタッフ数は、約8人+αとなっている。顧客ターゲットはビジネスパーソンを想定する。
b8taの収益モデルは、1区画で月30万円前後の出品料から成り立つ。最低契約期間は6カ月で、期間中の展示品の変更可能回数が最大2回。この条件からも分かるように、一つの商品をじっくりと6カ月かけて体験してもらうというのがコンセプトになっている。
しかし、これだけなら国内でも蔦屋家電やAmazon、スタートアップなどが期間限定のポップアップストアとして、これまでも百貨店や量販店の一部コーナー、秋葉原のショップなどを借り上げる形でさんざんに実施してきた。b8taの異なるところは、北川マネージャーが冒頭のあいさつで語ったRaaSとして、出品者とデータやノウハウの共有するところにある。
店内の入口の天井にはデモグラカメラが設置してあり、来店客の年齢層や性別を識別する。同じく商品が展示される什器の上の天井にはAIカメラが設置してあり、店内客の行動動線や5秒以上立ち止まったときの興味や関心などをとらえる。
そして、什器に等しく商品と一緒に並べられたタブレット端末で操作した行動履歴などの定量データや、b8taテスターと呼ばれる、ブランドごとの専用の教育を受けた販売スタッフが接客したときな定性的なデータなどをとらえている。
これらの来店客の行動データが、全て出品者が使う同じプラットフォームであるb8taダッシュボードと呼ばれる解析ツールで共有されるのだ。出品者は、b8taダッシュボードへのアクセス権が付与されているため、遠隔から什器に置いてあるタブレット端末の商品概要やビデオなどのコンテンツ内容が更新できるようにもなっている。
もちろん、来店客の行動データだけでなく、販売実績や販売金額、製品カテゴリや分類でのパフォーマンス比較、在庫管理データなど基本データも管理できる。
出品者が支払う月額出品料の中には、このようなマーケティングデータや従業員の手配、トレーニング管理、在庫管理や物流サービス、POSなどの付帯サービスが含まれる。
まさに、b8taが掲げる「実店舗への出店を、まるでオンライン広告を掲載するのと同じぐらいに手軽なものにする」というコンセプトが運営のプラットフォームに反映されているわけだ。
なお、小物商品はその場で購入することもできるが、基本的に来店客は店舗で購入しなくても、その場でスマートフォンのオンラインサイトから購入しても構わない。来店客の「買わなきゃいけない」、販売員の「売らなきゃいけない」というプレッシャーがない。
「テレワーク7割」が検討されているコロナ禍で、リアル店舗の在り方や戦略が見直されている。まさに、その激震地となっているのがオフィス街の新宿と有楽町。b8taが新しい風を吹き込むか。日本の小売り関係者は、オープン後の行方を固唾をのんで見守っているのではないだろうか。(BCN・細田 立圭志)
新宿マルイの1階にオープンする「b8ta Tokyo-Shinjuku Marui」と、有楽町駅前の有楽町電気ビル1階にオープンする「b8ta Tokyo-Yurakucho」には、スタートアップなどの最新ガジェットやオーディオ・ビジュアル、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど145種類以上が展示される。
個々の展示される商品は、既存の店舗などであまり見ることのない最新テクノロジーを搭載したデザイン性の高い尖った商品が多く、見ているだけであっという間に時間が過ぎてしまうほどだった。
新宿の店舗面積は約122平方メートルで、幅60センチ×奥行き40センチを1区画とした約100の出店可能区画数を用意するほか、Experience roomとした広い体験ルーム1区画を用意。ここに最終的に84種類の商品が展示される予定だ。販売スタッフ8人のうち、6人が丸井からの出向となる。顧客ターゲットは、ファミリー層まで幅広い。
有楽町の店舗面積は約2倍の256平方メートル。出店可能区画数は約100のほか体験ルーム3区画を用意。最終的に103種類の商品が展示される予定。販売スタッフ数は、約8人+αとなっている。顧客ターゲットはビジネスパーソンを想定する。
b8taの収益モデルは、1区画で月30万円前後の出品料から成り立つ。最低契約期間は6カ月で、期間中の展示品の変更可能回数が最大2回。この条件からも分かるように、一つの商品をじっくりと6カ月かけて体験してもらうというのがコンセプトになっている。
しかし、これだけなら国内でも蔦屋家電やAmazon、スタートアップなどが期間限定のポップアップストアとして、これまでも百貨店や量販店の一部コーナー、秋葉原のショップなどを借り上げる形でさんざんに実施してきた。b8taの異なるところは、北川マネージャーが冒頭のあいさつで語ったRaaSとして、出品者とデータやノウハウの共有するところにある。
店内の入口の天井にはデモグラカメラが設置してあり、来店客の年齢層や性別を識別する。同じく商品が展示される什器の上の天井にはAIカメラが設置してあり、店内客の行動動線や5秒以上立ち止まったときの興味や関心などをとらえる。
そして、什器に等しく商品と一緒に並べられたタブレット端末で操作した行動履歴などの定量データや、b8taテスターと呼ばれる、ブランドごとの専用の教育を受けた販売スタッフが接客したときな定性的なデータなどをとらえている。
これらの来店客の行動データが、全て出品者が使う同じプラットフォームであるb8taダッシュボードと呼ばれる解析ツールで共有されるのだ。出品者は、b8taダッシュボードへのアクセス権が付与されているため、遠隔から什器に置いてあるタブレット端末の商品概要やビデオなどのコンテンツ内容が更新できるようにもなっている。
もちろん、来店客の行動データだけでなく、販売実績や販売金額、製品カテゴリや分類でのパフォーマンス比較、在庫管理データなど基本データも管理できる。
出品者が支払う月額出品料の中には、このようなマーケティングデータや従業員の手配、トレーニング管理、在庫管理や物流サービス、POSなどの付帯サービスが含まれる。
まさに、b8taが掲げる「実店舗への出店を、まるでオンライン広告を掲載するのと同じぐらいに手軽なものにする」というコンセプトが運営のプラットフォームに反映されているわけだ。
なお、小物商品はその場で購入することもできるが、基本的に来店客は店舗で購入しなくても、その場でスマートフォンのオンラインサイトから購入しても構わない。来店客の「買わなきゃいけない」、販売員の「売らなきゃいけない」というプレッシャーがない。
「テレワーク7割」が検討されているコロナ禍で、リアル店舗の在り方や戦略が見直されている。まさに、その激震地となっているのがオフィス街の新宿と有楽町。b8taが新しい風を吹き込むか。日本の小売り関係者は、オープン後の行方を固唾をのんで見守っているのではないだろうか。(BCN・細田 立圭志)