突然、「SDGs」といわれても、ピンとくる人は少ないだろう。しかし、シミュレーションゲームをプレーしているときに「環境問題の解決」といった目標が出てきたら、クリアするためにも「なんとかしよう」と思うはずだ。こうした現実の問題を自分事として学ぶためのイベントを、ソフマップとイノベーションパワーが7月19日にオンラインで開催した。
使用するゲームは「マインクラフト」。小学生にも人気のゲームソフトを使うことで、参加しやすく工夫している。今回は、小学生11人と中学生1人(参加予定の妹が体調不良だったため代理)の計12人が参加。参加者は三つのチームに分かれ、MODを使ってあらかじめ用意された三つの国をそれぞれ運営する。最終的なクリア条件は、全ての国を初年度の状態よりも発展させること、そして各国固有の目標を達成することだ。
それぞれの国には、自然が少ないもののエネルギーが豊富にある砂漠の国、ほどよいバランスを保った先進国、エネルギーが少ないものの人口が多い新興国などの特徴があり、保有する資源が異なる。参加者は、こうした国の代表としてゲームをプレーし、期限である4ターン目までに目標を達成しなければならない。
1ターンは25分間のプレー時間、25分間の国際会議で構成されている。プレー時間中には、農業や建築、エネルギー開発を進め、ターン終了時に納品する資源を確保する。納品する資源が多ければ多いほど人口は増えるが、人口が増えるとその後、必要になる資源が増える。一方、国を発展させるためには人口が必要なので、バランスを見極めるのが大切だ。
国際会議では、各国で発生した問題や、保有する資源の貿易などについて各国が話し合う。石炭と木材をトレードしたり、資源と食料の種子をトレードしたりと、参加者たちは目標達成のため活発に議論していた。各国の目標は、自国が保有していない資源を使う設定になっているので、いかに協力するかがクリアのカギになる。
ほかにも、プレー時間中に発生した「海面の水位が上がっています」というイベントに対処するため、国際会議で「温暖化を抑えるため、石炭の使用量を抑える」と小学生が提案。その後、採決を取るだけでなく、エネルギーが収入源になっている国に資材を援助するなど、可能な限りの円満解決を目指していた。
ゲーム終了後には、それぞれの国の軌跡をたどりながら、プレーを振り返る。小学生からは「楽しかった」などの感想のほか、問題への対処の反省なども出てきた。運営が現実の問題と照らし合わせて解説すると、うなずきながら理解を深めていた。
運営の拠点として「ソフマップAKIBA2号店 パソコン総合館」の「eSports Studio Akiba」を提供した、ソフマップで取締役執行役員を務める松橋章仁管理室長は、「当社は、中古事業などを通じてSDGsに貢献していけると考えているので、こうした取り組みを通じてSDGsの考え方を浸透させていきたい」とイベントの狙いを明かす。
今回のイベントは、本来、参加者を会場(eSports Studio Akiba)に集めたオフラインイベントのはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染を防止するため、今回はオンラインでの実施。結果的に、「全国のどこからでも気軽に参加できる」と宮島社長はポジティブに捉える。
松橋室長は、「オンラインなので、各家庭ごとに通信環境が異なるので、準備は大変かもしれない。ただ、小学生にとってはリテラシーが向上するチャンスでもあるようだ」と、副次的な成果を分析。将来のPCユーザーを増やす布石にもなりそうだ。
今回は、実験的に開催したというが、宮島社長と松橋室長に今後の可能性を聞いてみると、口をそろえて「ぜひ今後も」と回答。2回目以降が実現するかどうかはまだ分からないものの、双方とも手ごたえを感じていた。筆者がみていた限り、大人がプレーしても学ぶことは多い。将来的に、小学生だけでなく、より多くの人にSDGsを身近に感じてもらうためのツールになるかもしれない。個人的にも楽しみだ。(BCN・南雲 亮平)
ゲームを通じてSDGsを身近に
SDGsとは、「持続可能な開発目標」のこと。環境や貧困などの問題を解決するために国連総会が掲げた2030年までの行動計画だ。達成するためには、全人類の協力が不可欠だが、日々の生活に追われている中で地球規模の問題を気にかけるのはいささか難しい。これをゲームに落とし込み、疑似的に体験してもらおう、というのが今回のイベントの趣旨だ。使用するゲームは「マインクラフト」。小学生にも人気のゲームソフトを使うことで、参加しやすく工夫している。今回は、小学生11人と中学生1人(参加予定の妹が体調不良だったため代理)の計12人が参加。参加者は三つのチームに分かれ、MODを使ってあらかじめ用意された三つの国をそれぞれ運営する。最終的なクリア条件は、全ての国を初年度の状態よりも発展させること、そして各国固有の目標を達成することだ。
それぞれの国には、自然が少ないもののエネルギーが豊富にある砂漠の国、ほどよいバランスを保った先進国、エネルギーが少ないものの人口が多い新興国などの特徴があり、保有する資源が異なる。参加者は、こうした国の代表としてゲームをプレーし、期限である4ターン目までに目標を達成しなければならない。
1ターンは25分間のプレー時間、25分間の国際会議で構成されている。プレー時間中には、農業や建築、エネルギー開発を進め、ターン終了時に納品する資源を確保する。納品する資源が多ければ多いほど人口は増えるが、人口が増えるとその後、必要になる資源が増える。一方、国を発展させるためには人口が必要なので、バランスを見極めるのが大切だ。
国の運営を疑似体験、「国境閉鎖」の判断も
プレー時間には、イベントも用意されている。例えば、「疫病が発生した」という、時節柄、コロナ禍を想起させるイベントが発生した。発生源となった国の代表を務める小学生は、すぐさま「国境を封鎖しましょう」と提案し、各国との貿易を一時中断。その後、最低限の貿易に抑えながら感染拡大を防いだ。国際会議では、各国で発生した問題や、保有する資源の貿易などについて各国が話し合う。石炭と木材をトレードしたり、資源と食料の種子をトレードしたりと、参加者たちは目標達成のため活発に議論していた。各国の目標は、自国が保有していない資源を使う設定になっているので、いかに協力するかがクリアのカギになる。
ほかにも、プレー時間中に発生した「海面の水位が上がっています」というイベントに対処するため、国際会議で「温暖化を抑えるため、石炭の使用量を抑える」と小学生が提案。その後、採決を取るだけでなく、エネルギーが収入源になっている国に資材を援助するなど、可能な限りの円満解決を目指していた。
ゲーム終了後には、それぞれの国の軌跡をたどりながら、プレーを振り返る。小学生からは「楽しかった」などの感想のほか、問題への対処の反省なども出てきた。運営が現実の問題と照らし合わせて解説すると、うなずきながら理解を深めていた。
小学生の反応に大人も手ごたえ
今回の教育プログラムを提供しているイノベーションパワーの宮島衣瑛代表取締役社長は、「約2年間、同様の取り組みを続けているが、みんな活発に議論している。大人が思っているよりもニュースへの関心も高く、ゲーム内のイベントと現実の問題を結び付ける子もいた。突然、SDGsといわれても分からないと思うので、小学生のうちから疑似的に体験することで、身近に感じてもらえれば」と話す。運営の拠点として「ソフマップAKIBA2号店 パソコン総合館」の「eSports Studio Akiba」を提供した、ソフマップで取締役執行役員を務める松橋章仁管理室長は、「当社は、中古事業などを通じてSDGsに貢献していけると考えているので、こうした取り組みを通じてSDGsの考え方を浸透させていきたい」とイベントの狙いを明かす。
今回のイベントは、本来、参加者を会場(eSports Studio Akiba)に集めたオフラインイベントのはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染を防止するため、今回はオンラインでの実施。結果的に、「全国のどこからでも気軽に参加できる」と宮島社長はポジティブに捉える。
松橋室長は、「オンラインなので、各家庭ごとに通信環境が異なるので、準備は大変かもしれない。ただ、小学生にとってはリテラシーが向上するチャンスでもあるようだ」と、副次的な成果を分析。将来のPCユーザーを増やす布石にもなりそうだ。
今回は、実験的に開催したというが、宮島社長と松橋室長に今後の可能性を聞いてみると、口をそろえて「ぜひ今後も」と回答。2回目以降が実現するかどうかはまだ分からないものの、双方とも手ごたえを感じていた。筆者がみていた限り、大人がプレーしても学ぶことは多い。将来的に、小学生だけでなく、より多くの人にSDGsを身近に感じてもらうためのツールになるかもしれない。個人的にも楽しみだ。(BCN・南雲 亮平)