【BCN速報値】全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」によると、3月第4週(3月23~29日)のPC販売台数は前年比85.7%となり、前週の92.0%からさらに悪化。3週連続で前年を下回る結果となった。新生活商戦の最終週は、関東圏の週末の外出自粛要請も重なり販売台数が大幅に落ち込んだ。
1月のWindows 7の延長サポート終了による駆け込み需要で、1月第3週に前年比209%のピークになったデスクトップとノートを合算したPCの販売台数は、その後1月第5週には124.1%と、反動減によって勢いは鈍った。しかし、その後、スマートフォン(スマホ)決済サービス「au Pay」の大型キャンペーンがあったことなどから、当初の予想より需要は急落しないで2月第4週の112.1%まで前年比二桁増で持ちこたえていた。
なおJEITA(電子情報技術産業協会)による2月のデスクトップとノートを合算したPCの国内出荷台数は50万2000台(前年同月比79.6%)だった。JEITAのデータがメーカーの出荷台数実績であるのに対して、BCNランキングはPOSデータの販売台数実績であるため流通在庫によるタイムラグが生じる。Windows 7の駆け込み需要を見越して家電量販店などがあらかじめ手厚く仕入れていた在庫が、2月も持ちこたえて昨年よりも多く売れたと考えるのが妥当だろう。
問題はその後だ。例年なら3月は新生活商戦でなだらかに上昇していく。日本マイクロソフトの事前予測でも、サポート終了前と春商戦では扱うPCのタイプが異なるため、2月、3月は独立した商戦となり4月以降も盛り上がるとみていた。駆け込みの反動減は5月以降として、その対策を練っていた。
しかし、新型コロナウイルスの影響でその目算が大きく狂った。中国の武漢が震源地となった新型コロナの影響でサプライチェーンに問題が生じ、国内でもクルーズ船内の感染対応に追われるなど日増しに感染拡大の脅威が迫った。
3月2日から全国一斉休校が実施されたり、3月25日には東京都知事が会見で「感染爆発 重大局面」というプレートを掲げながら週末の外出自粛要請を出して警戒を呼び掛けたりするなどで、週を追うごとに販売台数が悪化しているのが今の状況だ。
1月第5週(124.1%)~2月第4週(112.1%)は12ポイントのマイナスだったのに対し、2月第4週~3月第4週(85.7%)は倍以上の26.4ポイントのマイナスに急落したことからも、新型コロナの影響は明らかだろう。
4月第1週(3月30日~4月5日)はどうなるのか。BCN総研の木下智裕部長は「3月の商戦期を過ぎ、例年4月に入ると販売台数は落ち込んでいくが、今年は商戦期に在庫が不足していたこともあり、落ち込みは緩やかになるのではないかと予想する。外出自粛の逆風はあるが、今週は前年比でトントンか若干割れるというレベルまで回復するのではないか」と予測する。
新型コロナの影響で、従来になかったリモートワーク需要がPC周辺機器などで出ているが、まだPCの数字には表れていない。供給体制の問題が解消されれば少しは改善するのだろうか。それとも外出自粛などの消費活動の冷え込みが影響するのか。
PCとは直接関係ないが、ソニーが3月27日、停止していた中国の4工場の稼働を順次再開し、感染拡大前の水準に戻りつつあると発表するなど明るい情報も出始めている。4月からの動きを、引き続き追っていきたい。(BCN・細田 立圭志)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPOSデータを通じてスマートフォンやデジタルカメラ、4Kテレビなどの販売台数・金額データを毎日収集・集計しているデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
1月のWindows 7の延長サポート終了による駆け込み需要で、1月第3週に前年比209%のピークになったデスクトップとノートを合算したPCの販売台数は、その後1月第5週には124.1%と、反動減によって勢いは鈍った。しかし、その後、スマートフォン(スマホ)決済サービス「au Pay」の大型キャンペーンがあったことなどから、当初の予想より需要は急落しないで2月第4週の112.1%まで前年比二桁増で持ちこたえていた。
なおJEITA(電子情報技術産業協会)による2月のデスクトップとノートを合算したPCの国内出荷台数は50万2000台(前年同月比79.6%)だった。JEITAのデータがメーカーの出荷台数実績であるのに対して、BCNランキングはPOSデータの販売台数実績であるため流通在庫によるタイムラグが生じる。Windows 7の駆け込み需要を見越して家電量販店などがあらかじめ手厚く仕入れていた在庫が、2月も持ちこたえて昨年よりも多く売れたと考えるのが妥当だろう。
問題はその後だ。例年なら3月は新生活商戦でなだらかに上昇していく。日本マイクロソフトの事前予測でも、サポート終了前と春商戦では扱うPCのタイプが異なるため、2月、3月は独立した商戦となり4月以降も盛り上がるとみていた。駆け込みの反動減は5月以降として、その対策を練っていた。
しかし、新型コロナウイルスの影響でその目算が大きく狂った。中国の武漢が震源地となった新型コロナの影響でサプライチェーンに問題が生じ、国内でもクルーズ船内の感染対応に追われるなど日増しに感染拡大の脅威が迫った。
3月2日から全国一斉休校が実施されたり、3月25日には東京都知事が会見で「感染爆発 重大局面」というプレートを掲げながら週末の外出自粛要請を出して警戒を呼び掛けたりするなどで、週を追うごとに販売台数が悪化しているのが今の状況だ。
1月第5週(124.1%)~2月第4週(112.1%)は12ポイントのマイナスだったのに対し、2月第4週~3月第4週(85.7%)は倍以上の26.4ポイントのマイナスに急落したことからも、新型コロナの影響は明らかだろう。
4月第1週(3月30日~4月5日)はどうなるのか。BCN総研の木下智裕部長は「3月の商戦期を過ぎ、例年4月に入ると販売台数は落ち込んでいくが、今年は商戦期に在庫が不足していたこともあり、落ち込みは緩やかになるのではないかと予想する。外出自粛の逆風はあるが、今週は前年比でトントンか若干割れるというレベルまで回復するのではないか」と予測する。
新型コロナの影響で、従来になかったリモートワーク需要がPC周辺機器などで出ているが、まだPCの数字には表れていない。供給体制の問題が解消されれば少しは改善するのだろうか。それとも外出自粛などの消費活動の冷え込みが影響するのか。
PCとは直接関係ないが、ソニーが3月27日、停止していた中国の4工場の稼働を順次再開し、感染拡大前の水準に戻りつつあると発表するなど明るい情報も出始めている。4月からの動きを、引き続き追っていきたい。(BCN・細田 立圭志)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPOSデータを通じてスマートフォンやデジタルカメラ、4Kテレビなどの販売台数・金額データを毎日収集・集計しているデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。