個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は、毎月決まった掛金(最低5000円以上、1000円単位)を投資信託や定期預金などで積み立て、60歳以降に年金形式または一時金で受け取る私的年金制度。現在は、積立期間が60歳までだが、65歳までの引き上げられる予定。
積立期間中の掛金全額は所得控除となり、所得税・住民税を節税できる。「auのiDeCo」のプレスリリース内での試算によると、35歳で年収500万円の会社員が毎月2万3000円を積み立てを開始すると、60歳まで25年間の節税額の累計は約138万円。運用期間中の運用収益は非課税になり、さらに受取時にも一定額まで非課税となるため、三つのポイントで税制優遇を受けることができる。
掛金の上限は職業などによって異なり、企業年金のない企業に勤める会社員の場合、毎月2万3000円。ただ、月払いではなく、年払いにすると年額27万6000円と半端な数字となるため、今回は40歳の会社員が月2万円/年24万円の余剰資金で資産運用を始めると仮定し、iDeCoのみ、ポイント投資のみ、両方の併用をおすすめしたい。理由を挙げていく。
なお、運用利率は、iDeCoで保有する運用商品の利回りを参考に選んだ。最終的に運用利率は0~2%台にとどまっても、節税効果が会社員として働き続ける限り、ずっと適用されるので、「節税」だけでもメリットはある。
ただし、iDeCoと異なり、運用益は課税対象となり(NISA/つみたてNISA口座に限り、非課税期間中は非課税)、節税メリットはない。つまり、同じ運用利率ならiDeCoで積み立てたほうが受け取れる金額は増える。
対して、ポイント投資は、購入額の一部または全部をポイントで支払うため、比較すると、手元に現金が残ることになる。2年前、試しに2000ポイント分で購入した投資信託「Smart-i 先進国リートインデックス(再投資型)」の現在の評価額は2666円。相場とたまたま選んだ商品が良かった結果とはいえ、購入手続き後、2年間放置で約600円も増えた。今後、もし評価額がマイナスになっても、全額ポイント払いにしていたので、損失は最初に支払った2000ポイント以上には増えない。
しかも、楽天証券のポイント投資は、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象プログラムとなっており、月500ポイント以上、ポイント投資を行うと、「楽天市場」での買い物のポイント還元率が「+1倍」(上限5000ポイント)となる、分かりやすいメリットがある。
共通ポイントやクレジットカードのポイントで投資信託の購入や投資運用ができるサービスは他にもあるが、現時点では、楽天証券が一歩リードしている。とはいえ、他社グループが楽天の独走を許すはずはなく、EC・決済と絡め、今後、本格的にポイント経済圏の覇権争いが始まりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
積立期間中の掛金全額は所得控除となり、所得税・住民税を節税できる。「auのiDeCo」のプレスリリース内での試算によると、35歳で年収500万円の会社員が毎月2万3000円を積み立てを開始すると、60歳まで25年間の節税額の累計は約138万円。運用期間中の運用収益は非課税になり、さらに受取時にも一定額まで非課税となるため、三つのポイントで税制優遇を受けることができる。
掛金の上限は職業などによって異なり、企業年金のない企業に勤める会社員の場合、毎月2万3000円。ただ、月払いではなく、年払いにすると年額27万6000円と半端な数字となるため、今回は40歳の会社員が月2万円/年24万円の余剰資金で資産運用を始めると仮定し、iDeCoのみ、ポイント投資のみ、両方の併用をおすすめしたい。理由を挙げていく。
iDeCoの最大のメリットは節税効果 条件は年収を下げずに働き続けること
日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)のiDeCoの「節税メリットシミュレーション」で、入力項目に、前述の条件に加え、年収を入れ、運用利率を「5%」とすると、例えば、年間の節税額が3万6000円(20年間で計72万円)、積立元金が480万円、運用益が342万673円、合計822万673円を得られる可能性があるという試算結果が表示される。なお、運用利率は、iDeCoで保有する運用商品の利回りを参考に選んだ。最終的に運用利率は0~2%台にとどまっても、節税効果が会社員として働き続ける限り、ずっと適用されるので、「節税」だけでもメリットはある。
ためたポイントが使えるポイント投資 全額ポイント充当なら現金の損失なし
ポイントをつかった投資・運用サービスは、いくつかのタイプに分かれるが、今回は「本格ポイント投資」として、「楽天会員が楽天証券で楽天スーパーポイントまたは楽天カード決済/現金で投資信託を毎月積み立てまたはスポットで買い付けること」と定義する。iDeCoの試算と同じ条件となるよう、楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」で、毎月積立額2万円、積立期間20年、リターン(運用利率)5%と入力すると、最終積立金額は同じく822万673円となる。ただし、iDeCoと異なり、運用益は課税対象となり(NISA/つみたてNISA口座に限り、非課税期間中は非課税)、節税メリットはない。つまり、同じ運用利率ならiDeCoで積み立てたほうが受け取れる金額は増える。
会社員はどちらもおすすめ 何を重視するかで優先順位が変わる
ここまで読んでiDeCoのほうがいいと判断するのは早計だ。iDeCoの節税メリットは、いったん納めた税金に対する「戻り」であり、病気や離職などで収入が大幅に減ると、節税額も減り、試算結果と乖離する。また、iDeCo自体は専業主婦・主夫も加入可能だが、収入がない場合は節税メリットはない。対して、ポイント投資は、購入額の一部または全部をポイントで支払うため、比較すると、手元に現金が残ることになる。2年前、試しに2000ポイント分で購入した投資信託「Smart-i 先進国リートインデックス(再投資型)」の現在の評価額は2666円。相場とたまたま選んだ商品が良かった結果とはいえ、購入手続き後、2年間放置で約600円も増えた。今後、もし評価額がマイナスになっても、全額ポイント払いにしていたので、損失は最初に支払った2000ポイント以上には増えない。
しかも、楽天証券のポイント投資は、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象プログラムとなっており、月500ポイント以上、ポイント投資を行うと、「楽天市場」での買い物のポイント還元率が「+1倍」(上限5000ポイント)となる、分かりやすいメリットがある。
共通ポイントやクレジットカードのポイントで投資信託の購入や投資運用ができるサービスは他にもあるが、現時点では、楽天証券が一歩リードしている。とはいえ、他社グループが楽天の独走を許すはずはなく、EC・決済と絡め、今後、本格的にポイント経済圏の覇権争いが始まりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)