【記者のひとこと】「船で通勤」実験の意義は?
ビジネス用語の中でも流行りのキーワードとなった「MaaS(Mobility as a Service)」。ITを活用し、ユーザーに最適な形で複数の交通手段を組み合わせることで、出発地から目的地までの移動を一つの便利なサービスとして提供するという考え方です。東京都は2019年度、いくつかのMaaSプロジェクトに取り組んでいますが、その一つとして今週、船・配車サービス・鉄道を組み合わせた通勤客向けの実証実験を実施しました。
実験内容は、中央区の勝どき・晴海エリアから船で出発し、港区の竹芝客船ターミナルに到着、そこからワゴン車に乗り換え、浜松町駅まで通勤客を送り届けるというもの。ラッシュ時の大混雑を避けて快適に移動できるというメリットはありますが、時間的には地下鉄に乗った方が早く着くルートです。定員数十人の船が1日で数便出るだけでは、既存の交通手段の混雑緩和もほとんど期待できません。この実験に、果たしてどれほどの意義があるのか……。
と疑問にも思いましたが、実験の実施主体は、MaaS実現のためにソフトバンクとトヨタ自動車が合弁で設立したMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)。複数の交通手段の組み合わせを一つのアプリケーションとして見せる、コンセプト提案の意味合いが強かったようです。ソフトバンクは20年度中にも、今回の実験ルート上にある竹芝エリアに本社を移転しますが、この地域で移動のスマート化をテーマにした第2、第3の実験が行われるかもしれません。(日高 彰)
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