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市場参入から2年でシェア20%超え――急成長するOPPOの戦略を振り返る

 日本のスマートフォン(スマホ)市場を中華スマホが席捲している。群雄割拠の中、特に成長が際立つのがOPPOだ。同社は、2018年2月に国内スマホ市場に参入。そこからわずか2年足らずで、SIMフリースマホ市場で20%を超えるシェアを獲得するまでに存在感を高めた。なぜ、ここまで急成長することができたのか。2年間の動向を振り返り、戦略を紐解いた。

全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」で、
OPPOは11月にSIMフリースマホ市場の販売台数シェアが20%を超えた

“カメラフォン”の印象を植え付けた「OPPO R11s」

 OPPOは、18年1月31日に都内で開催された記者会見で、国内スマホ市場への参入を表明した。一般的に「日本市場は難しい」といわれることが多いが、鄧宇辰代表取締役は「グローバル市場での確かな実績がある」と成功に自信をみせた。
 
18年1月31日に都内でOPPOの市場参入を宣言。会場には多くの報道関係者が詰めかけた

 IDCが発表している19年Q1(第1四半期)の世界市場におけるスマホの販売台数ランキングで、同社は4位の地位にある。中国だけでなく東南アジアをはじめとした、さまざまな国で高い支持を獲得しており、新規開拓の十分なノウハウを持っている。

 OPPOが第1弾として展開したのは、6インチの有機ELディスプレイを搭載する「OPPO R11s」。同社は、自社製品のことをしばしば「カメラフォン」と呼称しており、OPPO R11sがまさにカメラ性能の際立つ一台だった。
 
第1弾の「OPPO R11s」。“カメラフォン”と称される強みを存分にアピールした

 スマホのカメラを語るとき、議論はスペック中心になることが多い。だが、R11sはデータベースやソフトウェアを活用した写真を美しく見せる独自アプローチで、“OPPOだからこそ”の世界観を示した。現在のカメラ性能への信頼はこのときのアピールが効いているといえるだろう。

1年で展開した新製品は7機種 電光石火の戦略でファン拡大

 その後、じわじわと販路を拡大していたOPPOの転機となったのが、8月に発表した「OPPO R15 Pro」と「OPPO R15 Neo」だ。特に、OPPO R15 ProはSIMフリースマホで搭載が少なかった防水・FeliCaに対応。税別で7万円を切る価格で、当時は手薄だったミドルクラスの注目の的となった。
 
ミドルクラスのSIMフリースマホとして支持を集めたFelica対応の「OPPO R15 Pro」

 そこから下半期は新製品ラッシュだった。10月に世界初のスライド式カメラを採用した「OPPO Find X」、同月に国内のスマホで初めてディスプレイ指紋認証を搭載した「OPPO R17 Neo」など、バラエティに富んだモデルを一気に展開。ラインアップの充実でシェアはぐんぐん上昇した。
 
世界初のスライド式カメラを採用した「OPPO Find X」
 
国内で販売されているスマホで初めてディスプレイ指紋認証を搭載した「OPPO R17 Neo」

 12月にボリュームゾーンの価格帯に「OPPO AX7」を投入したことで、シェア拡大の速度はさらに上がった。参入からわずか1年で投入した新製品は7機種。電光石火の戦略で、既存の大手メーカーからじわじわとシェアを獲得した。
 
現在も販売台数シェアランキングの上位にランクインするなど、
「OPPO AX7」はロングセラーモデルに成長している

 人気を支えた要素はコスパだけではない。OPPO R15 Proでみせた日本市場を意識した対応力の高さ、あるいはOPPO Find XやOPPO R17 Neoが備える世界レベルのテクノロジーなど、個性の強いそれぞれのモデルが確実に消費者のハートをつかんでいった。

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