【なぐもんGO・40】日本のAI(人工知能)技術が遅れているといわれて久しい。この遅れを取り戻し先行する国を追い越すため、ソフトバンクと東京大学は世界最高峰の人と知が集まる場所を目指す「Beyond AI 研究所」の設立に向け協定を結んだ。ソフトバンクグループの孫正義代表取締役会長 兼 社長は、「遅れていると気がついたそこが始まり」と前向きな姿勢で、世界に打って出る算段を立てる。どのように実現するのだろうか。
日本のAI技術が遅れているといわれる理由は、AI関連企業や人材が少ないなどさまざま。ソフトバンクと東大の協定を発表する会見では、AI特許の件数で表現してきた。例えば、中国の4170件、米国の2844件に対して、日本のそれは447件にとどまる。最多の中国をさらに細かく見ると、北京大学が持つ特許数は通信大手企業の約3倍だ。
こうした状況を日本でも再現するため、ソフトバンクは大学と組むことを決定。なかでも「トップの頭脳が集まる」ことから東大との協定に至った。孫社長は「物を作らなければ立派な企業ではないという思い込みが、日本の企業に長年あったため、ソフトウェアの開発が遅れてしまった。ここから追いつき、追い越していく」と意気込みを語る。
強気な発言の背景には、Beyond AI 研究所が持つ、他の産学連携とは一線を画している仕組みがある。同研究所は、大学と企業とのジョイントベンチャーを設立することで、研究成果の事業化を迅速に進めていく計画だ。事業で得た収益やデータは、研究所の資産になるほか、スポンサーへの還元にもあてられる。こうした循環を通して、次世代のAI研究や人材育成を進めていくことが研究所の役割なのだ。
東京大学の五神真総長は、「日本の情報産業は発展の余地がある。ただ、企業や人材は限られているので、学生の学ぶ機会を増やし、会社を興すチャンスをどんどん増やしていきたい。今回がそのきっかけになるだろう」と期待する。
孫社長は、「日本ではAIを学習する場が少なく、単なる基礎研究ばかりだった」と現状の問題点を指摘する。基礎研究だけでは、すぐに金銭には結びつかず、仕事にはならない。そして、仕事にならないと基礎研究の学習ばかりを繰り返すことになり、発展する機会は失われてしまう。この課題を解決するため、Beyond AI 研究所に10年間で200億円を投資するという。成果が現われるのは先のことになるが、世界のITの巨人に数えられる企業が台頭するのか、注目していきたい。(BCN・南雲 亮平)
日本のAI技術が遅れているといわれる理由は、AI関連企業や人材が少ないなどさまざま。ソフトバンクと東大の協定を発表する会見では、AI特許の件数で表現してきた。例えば、中国の4170件、米国の2844件に対して、日本のそれは447件にとどまる。最多の中国をさらに細かく見ると、北京大学が持つ特許数は通信大手企業の約3倍だ。
こうした状況を日本でも再現するため、ソフトバンクは大学と組むことを決定。なかでも「トップの頭脳が集まる」ことから東大との協定に至った。孫社長は「物を作らなければ立派な企業ではないという思い込みが、日本の企業に長年あったため、ソフトウェアの開発が遅れてしまった。ここから追いつき、追い越していく」と意気込みを語る。
強気な発言の背景には、Beyond AI 研究所が持つ、他の産学連携とは一線を画している仕組みがある。同研究所は、大学と企業とのジョイントベンチャーを設立することで、研究成果の事業化を迅速に進めていく計画だ。事業で得た収益やデータは、研究所の資産になるほか、スポンサーへの還元にもあてられる。こうした循環を通して、次世代のAI研究や人材育成を進めていくことが研究所の役割なのだ。
東京大学の五神真総長は、「日本の情報産業は発展の余地がある。ただ、企業や人材は限られているので、学生の学ぶ機会を増やし、会社を興すチャンスをどんどん増やしていきたい。今回がそのきっかけになるだろう」と期待する。
孫社長は、「日本ではAIを学習する場が少なく、単なる基礎研究ばかりだった」と現状の問題点を指摘する。基礎研究だけでは、すぐに金銭には結びつかず、仕事にはならない。そして、仕事にならないと基礎研究の学習ばかりを繰り返すことになり、発展する機会は失われてしまう。この課題を解決するため、Beyond AI 研究所に10年間で200億円を投資するという。成果が現われるのは先のことになるが、世界のITの巨人に数えられる企業が台頭するのか、注目していきたい。(BCN・南雲 亮平)