100年に1度といわれる大規模な再開発が進む渋谷。12月5日には、旧東急プラザ跡地に名称をそのままに新生「東急プラザ渋谷」がオープンした。ターゲットは、街を象徴する若者ではなく、あえて“成熟した大人”に設定。フロアやテナントもテーマに沿って構成されている。
聞こえに対する補助、という役割は認知されている補聴器だが、日本における装用率は高くない。世界基準と照らし合わせると、先進国の中では最低レベルだ。要因はさまざまにあるが、「補聴器を装用するのは恥ずかしい」「どんなものかよく理解できていない」と考えている人は多いようだ。
購入する専門店のハードルが高いということもある。一般的に目立たない場所にクローズな雰囲気で出店されているというイメージが強く、気軽に立ち寄れない場所と思われがちだ。最近では、難聴が認知症の要因になっているという研究成果も報告されており、補聴器の普及が社会課題になっているが、解決のための下地はなかなか整っていないのが実情だ。
東京ヒアリングケアセンターの菅野利雄社長は、「専門店のイメージ刷新は業界の中で長く問題視されているが、なかなか改善に向けた動きがみられない」と危機感を募らせる。現在、同店舗は東京の青山と品川大井町に2店舗を展開。渋谷の商業施設への出店はかなりチャレンジングだったというが、業界を変えるためという思いから決断した。
社長の長男で専務を務める菅野聡氏は、「補聴器を購入していただくためには、まず補聴器がどのようなものか理解していただく必要がある。納得していただき、正しい認識をもって、初めてお客様に合う補聴器をつくりましょうとなるべきだ」と売り場の意図を説明する。
扱っているメーカーを絞り込んでいるのも特徴だ。同店では、オーティコン補聴器を主に販売。「補聴器は、個人に合わせて細かくカスタマイズするもの。種類が多いとメーカーごとの特性で調整にズレが生じてしまう」(菅野聡専務)というのが理由だ。
売り場の面積は決して広くないものの、防音室が2部屋あり、聴力測定などの補聴器作成に欠かせない設備は整っている。5.1chサラウンド体験ができたり、最新の機材を備えていたり、レベルは非常に高い。カウンセリングから検査、補聴器作成までの一貫したフローに対応する。
周辺の店舗に来店したミドル・シニア世代に補聴器への理解を高めてもらいたいという狙いもあるが、それだけではない。「補聴器の場合、家族は薦めるものの本人は必要ないと思っているというケースがよくある。レストランで食事をしてその帰りに……といったこれまでにない導線がつくれるかもしれない」(菅野利雄社長)。補聴器業界にとって腰の重い問題と化していた店舗の在り方。東京ヒアリングケアセンターの挑戦だ。(BCN・大蔵大輔)
補聴器業界の根深い問題 変革のために一肌脱ぐ
4階フロアの一角に出店している「東京ヒアリングケアセンター 東急プラザ渋谷店」は、まさにこうした東急プラザ渋谷のコンセプトを象徴する店舗だ。ここで販売されているのは、補聴器。ミドル・シニア世代に的を絞って、新たなアプローチを試みている。聞こえに対する補助、という役割は認知されている補聴器だが、日本における装用率は高くない。世界基準と照らし合わせると、先進国の中では最低レベルだ。要因はさまざまにあるが、「補聴器を装用するのは恥ずかしい」「どんなものかよく理解できていない」と考えている人は多いようだ。
購入する専門店のハードルが高いということもある。一般的に目立たない場所にクローズな雰囲気で出店されているというイメージが強く、気軽に立ち寄れない場所と思われがちだ。最近では、難聴が認知症の要因になっているという研究成果も報告されており、補聴器の普及が社会課題になっているが、解決のための下地はなかなか整っていないのが実情だ。
東京ヒアリングケアセンターの菅野利雄社長は、「専門店のイメージ刷新は業界の中で長く問題視されているが、なかなか改善に向けた動きがみられない」と危機感を募らせる。現在、同店舗は東京の青山と品川大井町に2店舗を展開。渋谷の商業施設への出店はかなりチャレンジングだったというが、業界を変えるためという思いから決断した。
従来のイメージを大きく刷新 新たな導線にも期待
店舗は、店構えからして従来の補聴器専門店と大きく異なる。通路と売り場の間に敷居はなく、隅々まで見通せるオープンな設計になっている。メーカー各社の補聴器やカタログがずらっと並んでいて……ということもない。店内に唯一あるテーブルに乗っているのは、補聴器への理解を深めるための東京ヒアリングケアセンター制作のカタログと展示のみ。社長の長男で専務を務める菅野聡氏は、「補聴器を購入していただくためには、まず補聴器がどのようなものか理解していただく必要がある。納得していただき、正しい認識をもって、初めてお客様に合う補聴器をつくりましょうとなるべきだ」と売り場の意図を説明する。
扱っているメーカーを絞り込んでいるのも特徴だ。同店では、オーティコン補聴器を主に販売。「補聴器は、個人に合わせて細かくカスタマイズするもの。種類が多いとメーカーごとの特性で調整にズレが生じてしまう」(菅野聡専務)というのが理由だ。
売り場の面積は決して広くないものの、防音室が2部屋あり、聴力測定などの補聴器作成に欠かせない設備は整っている。5.1chサラウンド体験ができたり、最新の機材を備えていたり、レベルは非常に高い。カウンセリングから検査、補聴器作成までの一貫したフローに対応する。
周辺の店舗に来店したミドル・シニア世代に補聴器への理解を高めてもらいたいという狙いもあるが、それだけではない。「補聴器の場合、家族は薦めるものの本人は必要ないと思っているというケースがよくある。レストランで食事をしてその帰りに……といったこれまでにない導線がつくれるかもしれない」(菅野利雄社長)。補聴器業界にとって腰の重い問題と化していた店舗の在り方。東京ヒアリングケアセンターの挑戦だ。(BCN・大蔵大輔)