インターネット通販で購入した商品や郵送で届く株主優待品、お歳暮・お中元などの再配達を減らすためには、各戸向けの宅配ボックス、集合住宅向けの宅配ロッカーの普及が必要だ。おおむね2000年代以降に建築された新築マンションは、共用部にシステム管理の大型宅配ロッカーが設置されているので、ハード面の課題は、戸建住宅の宅配ボックス設置率の向上と、集合住宅向け個別宅配ボックスの開発・設置の二つに分かれている。今回は、戸建住宅と集合住宅の違いを中心に、物流のラストワンマイル問題を考えたい。
コンボライトは、特徴をそのままに、ユーザーの声に応えて改良し、より軽く、施工が簡単になった。税別価格は、受取可能サイズが幅310×奥行き400×高さ500mmのミドルサイズで3万9800円または4万9800円、幅310×奥行き400×高さ700mmのより大きなラージでも税別4万9800円または5万9800円と、かなり安い。地味な進化でありながらも画期的で、現時点では最も妥当な選択肢だ。
同じく10月に、サッシや窓で有名なYKK APは、同社製玄関ドア用「スマートコントロールキー」と同一のピタットKey(カードキー、シールキー)、暗証番号式のタッチパネルで施解錠が可能な「〔ピタットKeyシステム〕ルシアス 宅配ボックス1型」を発売した。
受取可能寸法は300×350×500mmと3辺合計100cm以上の大容量で、一回利用限定の暗証番号を設定すると、宅配ボックスに入れた荷物の発送も可能。暗証番号による施解錠ならキーなしに利用できる。参考価格は、柱納まり埋込用(1段)の場合で21万8000円。カードキー、シールキーは別売。
18年秋の発表時、話題になったスマートフォン(スマホ)用アプリと連携するLIXILのIoTポスト「スマート宅配ポスト」は、ファンクション仕様ホームネットワークシステム連動で26万6000円から(別売でホームユニット、インターホンが必要)。よりシンプルな「リンクスボックス」が11万5500円から、IoT対応ではないスタンダードな「宅配ボックス KT」が据置仕様で6万1000円から。
東京都江東区・江戸川区で進めている「IoT宅配ボックスによる再配達削減『CO2削減×ストレスフリー』実証プロジェクト」の中間報告によると、IoT宅配ボックスの設置によって再配達率が41%から16%まで大幅に減少したという。使い勝手の点では、最も優れたプロダクトだ。
以前、ハウスメーカー・タツミプランニングが発表した戸建用外壁埋め込み型宅配ボックス「KeePo」の発表会に参加した際、「戸建て」と「集合住宅」の隔たりを感じた。通販ヘビーユーザーが求める戸建用宅配ボックスは、駅の構内や集合住宅の共用部に設置されている、システム管理の宅配ロッカーと同等の機能をもつ製品の小型版で、スマホ連携や室内からの取り出しなどの優先度は高くない。
正直なところ、市販の後付け宅配ボックスがこんなに高くて機能が劣るなら、「宅配便などを日々ストレスなく受け取る」という観点で、宅配ロッカーのある集合住宅が最も住みやすいという結論になる。
新築分譲マンションの場合、物件購入価格に宅配ロッカー設置費用が含まれており、その維持管理にかかる費用は、管理費から支払われている。つまりタダではない。賃貸物件の家賃も、宅配ロッカーやメールボックスの利用料込みの金額だ。一方、戸建住宅だと、建物の仕様・配置が定まった状態から後付けとなるため(一部の物件では設置済み)、「もったいない」感じが否めず、この違いが普及を阻害している要因の一つだと思われる。
コンビニエンスストアや保育園、コインラインドリーなど、街の店舗や駅ナカでの受け取りを普及させようとする動きもあるが、自宅で受け取りたいというニーズに対し、それらは有効な解決策とは言い難い。つまり、物流のラストワンマイル問題は、戸建居住者のコスト意識の変化にかかっているともいえる。
マンションの管理費のように「毎月払い」も選べるように、不在配達問題の解消と空き家対策を兼ね、近所に住む複数人で宅配ロッカーを共有するような新たなシェアリングサービス、初期費用不要で自宅で宅配ボックスが利用できるサブスクリプションサービスの登場を期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
工事不要のコンボライト登場、しかしまだ高い
従来製品と比べて手頃な価格帯となる戸建用宅配ボックス「COMBO(コンボ)」シリーズがヒットしたパナソニックは19年10月、さらに安い廉価版の「COMBO-Light(コンボライト)」を発売した。コンボライトは、特徴をそのままに、ユーザーの声に応えて改良し、より軽く、施工が簡単になった。税別価格は、受取可能サイズが幅310×奥行き400×高さ500mmのミドルサイズで3万9800円または4万9800円、幅310×奥行き400×高さ700mmのより大きなラージでも税別4万9800円または5万9800円と、かなり安い。地味な進化でありながらも画期的で、現時点では最も妥当な選択肢だ。
同じく10月に、サッシや窓で有名なYKK APは、同社製玄関ドア用「スマートコントロールキー」と同一のピタットKey(カードキー、シールキー)、暗証番号式のタッチパネルで施解錠が可能な「〔ピタットKeyシステム〕ルシアス 宅配ボックス1型」を発売した。
受取可能寸法は300×350×500mmと3辺合計100cm以上の大容量で、一回利用限定の暗証番号を設定すると、宅配ボックスに入れた荷物の発送も可能。暗証番号による施解錠ならキーなしに利用できる。参考価格は、柱納まり埋込用(1段)の場合で21万8000円。カードキー、シールキーは別売。
18年秋の発表時、話題になったスマートフォン(スマホ)用アプリと連携するLIXILのIoTポスト「スマート宅配ポスト」は、ファンクション仕様ホームネットワークシステム連動で26万6000円から(別売でホームユニット、インターホンが必要)。よりシンプルな「リンクスボックス」が11万5500円から、IoT対応ではないスタンダードな「宅配ボックス KT」が据置仕様で6万1000円から。
東京都江東区・江戸川区で進めている「IoT宅配ボックスによる再配達削減『CO2削減×ストレスフリー』実証プロジェクト」の中間報告によると、IoT宅配ボックスの設置によって再配達率が41%から16%まで大幅に減少したという。使い勝手の点では、最も優れたプロダクトだ。
複数の荷物を受け取るコスト、月額いくらなら許容できる?
日本郵便が置き配普及キャンペーンとして条件付きで10万個を無償配布し、話題になった「OKIPPA(オキッパ)」のような簡易宅配ボックスを除くと、最も安価で、サイズの大きいコンボライトのミドルと新サイズのラージの2台を重ね置きしても、個人的な感覚では、まだ容量が不十分と感じる。家族の人数が多いほど足りないだろう。以前、ハウスメーカー・タツミプランニングが発表した戸建用外壁埋め込み型宅配ボックス「KeePo」の発表会に参加した際、「戸建て」と「集合住宅」の隔たりを感じた。通販ヘビーユーザーが求める戸建用宅配ボックスは、駅の構内や集合住宅の共用部に設置されている、システム管理の宅配ロッカーと同等の機能をもつ製品の小型版で、スマホ連携や室内からの取り出しなどの優先度は高くない。
正直なところ、市販の後付け宅配ボックスがこんなに高くて機能が劣るなら、「宅配便などを日々ストレスなく受け取る」という観点で、宅配ロッカーのある集合住宅が最も住みやすいという結論になる。
新築分譲マンションの場合、物件購入価格に宅配ロッカー設置費用が含まれており、その維持管理にかかる費用は、管理費から支払われている。つまりタダではない。賃貸物件の家賃も、宅配ロッカーやメールボックスの利用料込みの金額だ。一方、戸建住宅だと、建物の仕様・配置が定まった状態から後付けとなるため(一部の物件では設置済み)、「もったいない」感じが否めず、この違いが普及を阻害している要因の一つだと思われる。
コンビニエンスストアや保育園、コインラインドリーなど、街の店舗や駅ナカでの受け取りを普及させようとする動きもあるが、自宅で受け取りたいというニーズに対し、それらは有効な解決策とは言い難い。つまり、物流のラストワンマイル問題は、戸建居住者のコスト意識の変化にかかっているともいえる。
マンションの管理費のように「毎月払い」も選べるように、不在配達問題の解消と空き家対策を兼ね、近所に住む複数人で宅配ロッカーを共有するような新たなシェアリングサービス、初期費用不要で自宅で宅配ボックスが利用できるサブスクリプションサービスの登場を期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)