Microsoft Azure、郊外家電量販の「モダンPC」が前年比118%増

 国内PC市場では、消費増税の駆け込み後も2020年1月14日のWindows 7、同年10月13日のOffice 2010のサポート終了に向けた特需が予想されている。日本マイクロソフトは11月27日、PC市場の現状分析と年末商戦の販売戦略について会見を開いた。

日本マイクロソフト執行役員常務の
檜山太郎コンシューマー&デバイス事業本部長

 日本マイクロソフト執行役員常務の檜山太郎コンシューマー&デバイス事業本部長は、「9月のPC販売台数は、前年同月比80%増だった。10月は(反動減で)割り込んだが、11月からの勢いは年末や年始直前まで続きそうだ」と語り、PC市場の素早い回復と好調さをアピールした。
 
日本マイクロソフト調べで9月のPC販売台数は
前年同月比80%増だった

 SSD搭載による高速起動でストレスがなく、超薄型・軽量でポータビリティーに優れ、創造性や生産性のアップにつながるノートPCを、日本マイクロソフトでは「モダンPC」と定義する。そのモダンPCに絞ると、9月は140%増とさらに高い伸びだった。

 また、檜山常務は「昨年は地方や郊外の販売店でモダンPCの販売に課題があったが、今年は118%増と大きく伸びた」と語り、都市圏だけでなく郊外でもモダンPCの普及が着実に進んでいる様子を示した。
 
郊外店の伸びが昨対比180%増に

Microsoft Azureが郊外店の販売増に貢献

 郊外店で販売台数が伸びた要因は、モダンPC専用売り場の導入店舗数を従来の24店舗から400店舗に増やしたことが大きいが、ほかにも店頭におけるリテールテクノロジーの活用効果が大きかったという。

 日本マイクロソフトでは、小売り支援テクノロジー「RDX(Retail demo experience、リテール体験デモプログラム)」を売り場のモダンPCをはじめとするWindows 10搭載ノートPCにプレインストールしている。

 顧客がデモ映像を見ながらペンなどを使って描画体験をすると、最適なモデルを推奨してくれたりする。売り場に十分な人手が割けない郊外店で、威力を発揮する。

 また、製品の接触回数やデモ映像の視聴状況など顧客の動作をデータで補足し、同社のクラウドAIプラットフォーム「Microsoft Azure」と連動させて店頭プロモーションの分析に役立てている。

 リテールテクノロジーを駆使した新しい顧客体験の提供が、郊外におけるモダンPCの販売増につながったという。なおRDXの詳細は過去記事を参照してほしい。

【関連記事】
ノートPC市場回復の裏に、マイクロソフトの小売り支援テクノロジーあり

https://www.bcnretail.com/market/detail/20190719_129042.html

年末商戦は470万人がターゲット

 年末商戦に向けた取り組みでは、19年9月末時点で国内にある約890万台のWindows 7搭載PCのうち、どれだけWindows 10搭載PCにリプレースできるかがカギになる。

 同社の試算では、約890万台のうちWindows 10に買い替え意向を示す約470万人をターゲットにする。さらなる内訳は、年末商戦で買替予定の150万人、意向はあるが時期未定の320万人に対してアプローチすることを目指す。

 モダンPCのユーザー1574人を対象にした調査では、SSDになったことで起動時間が速くなったり、CPUの性能アップで処理速度が速くなったりしたと感じたユーザーが94%に上り、PCを外出中も持ち運ぶ人が73%もいたという。モダンPCの提案が働き方改革や生産性の向上につながるとし、年末商戦でも引き続き訴求していく。
 

 会見には、Dynabookやデル、日本HP、富士通クライアントコンピューティング、NECレノボ・ジャパングループの事業責任者も参加して、各社のモダンPCの魅力をアピールした。
 
Dynabookやデル、日本HP、富士通クライアントコンピューティング、
NECレノボ・ジャパングループの事業責任者も参加

 「扇ぐことができる」ほどの軽さや、複数人によるウェブ会議の音声がはっきりと聞こえる機能、高性能のグラフィックス、家族でYouTubeを楽しめるコンバーチブル、スマートフォンと連携してメールやSNSが操作できるBluetooth機能、家の中でIoT家電と連携するDLNAなど、それぞれがモダンPCに搭載した一押し機能を熱く語りながら、年末商戦を盛り上げることを確認しあった。(BCN・細田 立圭志)