Twitter Japanと日本気象協会は11月6日、気象データとTwitterで消費者が「暑さ」や「寒さ」についてツイートしたデータを「体感指数」として数値化し、AIとビッグデータを活用したデータを商品の需要予測に反映した取り組みを発表した。「冷やし中華つゆ」の販売でミツカンに導入した事例では、季節終盤の余剰在庫が従来よりも35%削減されたという。
「人の体感をどのようにして気象データに合わせるかに苦労した。体感気温とその日の気温、風速などを使った事例はこれまでにあるが、過去からの変化を加えた指数はこれまでなかった。Twitterのツイートを使うことで、これが可能になった」。
会見で日本気象協会の防災ソリューション事業部先進事業課の吉開朋弘シニアアナリストはこう語り、Twitterの過去4年分の位置情報付きの日本語のつぶやきデータ、約1600万ツイートが、体感指数の数値化に役立ったと語った。
同協会では、「eco×ロジ」という商品需要予測コンサルティングサービスを展開している。eco×ロジでは、気象予測データと販売管理のPOSデータなどのビッグデータをAIなどで解析して需要予測を行うが、今回はTwitterのツイートから体感指数として数値化したデータを加えて、需要予測の精度を高めた。
気温が同じ30度でも、5月と8月で感じ方が違う。しかし、30度という気温データだけで予測すると、例えば30度のときに飲料が100本売れると予測しても、体感の違いによって人の購買行動が変わるため、その誤差が余剰在庫や廃棄につながっていた。
eco×ロジの新しい取り組みでは、従来の気象データ(気温、天気、雨、風、気象予測など)とPOSデータ(店舗別商品売上、商品マスタ、店舗情報など)に、SNSデータ(位置情報つきツイートデータ)という少し先のその場所の人の気持ちを加えることで体感を数値化した。
具体的には、最高気温と暑いという体感指数、日射量を日ごとに集計して時系列で並べて、それぞれの相関を見る。すると、最高気温と体感指数から、同じ30度でも東京で30度を超えた5月31日と、全国231地点で猛暑日になった7月26日は似たような体感だったのに対して、8月の30度はあまり暑さを感じないことが分かった。
さらに、このデータに日射量の推移を加えると、体感と日射量の相関から、暑さに慣れると日射量が高くてもあまり暑いと感じないことなどが分かった。8月の30度があまり暑く感じないのも、慣れと関係があるといえるだろう。このように、最高気温と体感指数、日射量、慣れなどの要素を加えると、相関係数は0.85と高くなることを突き止めた。
ミツカンとのeco×ロジを使った事例では、南関東の冷やし中華つゆの売上推移で、従来の手法で夏が終わる季節終盤で需要予測よりも早く実売が終息してしまい、それが食品ロスとなって廃棄せざるを得なかった。しかし、Twitterのつぶやきによる体感指数を加えた新手法では売上推移との乖離が抑えられ、余剰在庫35%の削減につながったという。
同協会では、小売り向けの「売りドキ」という別の需要予測サービスでも体感指数を利用した販促の実証を行っており、2019年7月に全国版をリリース。現在、30店舗で導入しており、引き合いも多いという。Twitter Japanでも今回のような気象データを使ったマーケティングを検討しているが、具体的なサービスのリリースは未定とのことだ。
今後の課題については、Twitterのつぶやきが首都圏の若者に多く、地方のあるエリアでツイート数が少ないといった偏りが生じることなどを挙げて、改善しながらさらに精度を高めていくという。また、雨や晴れなどのある程度精度が高い気象予報は現時点で気象庁でも2週間先までなので、半年や1年後など比較的長期的な需要予測にも改善の余地はありそうだ。
「人の体感をどのようにして気象データに合わせるかに苦労した。体感気温とその日の気温、風速などを使った事例はこれまでにあるが、過去からの変化を加えた指数はこれまでなかった。Twitterのツイートを使うことで、これが可能になった」。
会見で日本気象協会の防災ソリューション事業部先進事業課の吉開朋弘シニアアナリストはこう語り、Twitterの過去4年分の位置情報付きの日本語のつぶやきデータ、約1600万ツイートが、体感指数の数値化に役立ったと語った。
同協会では、「eco×ロジ」という商品需要予測コンサルティングサービスを展開している。eco×ロジでは、気象予測データと販売管理のPOSデータなどのビッグデータをAIなどで解析して需要予測を行うが、今回はTwitterのツイートから体感指数として数値化したデータを加えて、需要予測の精度を高めた。
気温が同じ30度でも、5月と8月で感じ方が違う。しかし、30度という気温データだけで予測すると、例えば30度のときに飲料が100本売れると予測しても、体感の違いによって人の購買行動が変わるため、その誤差が余剰在庫や廃棄につながっていた。
eco×ロジの新しい取り組みでは、従来の気象データ(気温、天気、雨、風、気象予測など)とPOSデータ(店舗別商品売上、商品マスタ、店舗情報など)に、SNSデータ(位置情報つきツイートデータ)という少し先のその場所の人の気持ちを加えることで体感を数値化した。
具体的には、最高気温と暑いという体感指数、日射量を日ごとに集計して時系列で並べて、それぞれの相関を見る。すると、最高気温と体感指数から、同じ30度でも東京で30度を超えた5月31日と、全国231地点で猛暑日になった7月26日は似たような体感だったのに対して、8月の30度はあまり暑さを感じないことが分かった。
さらに、このデータに日射量の推移を加えると、体感と日射量の相関から、暑さに慣れると日射量が高くてもあまり暑いと感じないことなどが分かった。8月の30度があまり暑く感じないのも、慣れと関係があるといえるだろう。このように、最高気温と体感指数、日射量、慣れなどの要素を加えると、相関係数は0.85と高くなることを突き止めた。
ミツカンとのeco×ロジを使った事例では、南関東の冷やし中華つゆの売上推移で、従来の手法で夏が終わる季節終盤で需要予測よりも早く実売が終息してしまい、それが食品ロスとなって廃棄せざるを得なかった。しかし、Twitterのつぶやきによる体感指数を加えた新手法では売上推移との乖離が抑えられ、余剰在庫35%の削減につながったという。
同協会では、小売り向けの「売りドキ」という別の需要予測サービスでも体感指数を利用した販促の実証を行っており、2019年7月に全国版をリリース。現在、30店舗で導入しており、引き合いも多いという。Twitter Japanでも今回のような気象データを使ったマーケティングを検討しているが、具体的なサービスのリリースは未定とのことだ。
今後の課題については、Twitterのつぶやきが首都圏の若者に多く、地方のあるエリアでツイート数が少ないといった偏りが生じることなどを挙げて、改善しながらさらに精度を高めていくという。また、雨や晴れなどのある程度精度が高い気象予報は現時点で気象庁でも2週間先までなので、半年や1年後など比較的長期的な需要予測にも改善の余地はありそうだ。