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増税後の買い控えは、Windows 7サポート終了とNintendo Switchが救う?

売るヒント

2019/10/28 19:35

 消費増税後に家電量販店への客足が鈍っているのは、単純に税率が2%アップしたからだけではない。顧客の買い物への意識が薄れているのだ。来店を促すには、10月1日というタイミングを反映した施策がポイントになる。Windows 7のサポート終了、携帯電話の販売条件の変更、任天堂のNintendo Switch Liteの訴求が来店のきっかけになるだろう。


 家電量販店では、通常でも5~10%程度の値引きやポイント付加を行っている。消費増税分の2%は、高粗利の商材をセットで販売するなどの粗利ミックスの施策を行えば、決して「手に負えないパーセンテージ」ではないだろう。

 しかし、現実的には消費増税のたびに、客足が遠のくという厳しい状況に陥っている。今回は、軽減税率こそあれ、それは食品などの一部で、顧客からすれば「増税」そのものが財布のひもを締める行動につながりやすくなる。少なくとも、「積極的に買い物しよう」という意識は薄れていると思われる。

 そのため、「チラシの確認」や「商品の検索行動」自体が少なくなり、店舗単独で対応しにくい「来店客数の減少」が起こり、売上高が上がらなくなるのだ。

 こうした事態を改善するには、顧客に「来店のきっかけ」を与えることが必要にある。今回の消費増税では、今までと決定的に違う10月1日の施行ということも、来店を促すための材料になる。

 前回の4月1日施行は、夏物の季節商品が動くには早すぎ、売り上げをつくるのが難しかった。しかし、今回は10月1日から施行されていることで、冬物の季節商品のピークとなる11~12月に近い。そのため、冬物季節商品が来店動機になる可能性は高い。

 季節商品は暑くなったり、寒くなったりして使い始めてから不都合に気付き、買い替えにつながるケースが多いからだ。

 例えば、店頭に商品が豊富にそろってなく、気温も高かった9月に暖房器具を購入しようと考えた顧客は少ないだろう。これらの商品は、寒くなってきたら動く。昔、家電量販店は「天気屋」と言われたが、今も基本的に気温や天候に左右されやすい業界であり、暖冬でない限り、一定の需要は見込める。

 来店のキッカケを促す機会とチャンスに、中小店・フランチャイズ店対象の政府のポイント還元事業に対抗しての自社ポイント進呈策やキャッシュレス決済事業者が付与するポイントなどの訴求を強化して、お買い得感をどこまで演出できるかが勝負になる。

 暖房器具のような来店のキッカケを促すことができる商品は他にもあり、(1)すでに需要の出ているWindows 7サポート終了、(2)携帯電話の販売条件変更による不安と情報収集、(3)任天堂の小型端末ゲームのNintendo Switch Lite――などが有力な商品だ。POPや装飾をインパクトあるものにするとともに、店外でも訴求することで来店客の流入も期待できる。

 買い控え対策として、来店のきっかけとなる商品を生かし、単価アップのできる売り場を「今、仕上げる」ことで年末商戦につなげていただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。