LINEは、トヨタ自動車(トヨタ)のカーナビゲーションエンジンを搭載し、「ねぇClova、〇〇に行きたい」などと呼びかけて音声で操作可能な無料カーナビアプリ「LINEカーナビ」の提供を9月5日に開始した。サービス地域は日本のみ。
LINEカーナビは、スマートフォン(スマホ)単体でも使えるが、オープンソースプラットフォームで開発しているSmartDeviceLink(SDL)対応機器と連携させると、ナビ機能をはじめ、AIアシスタント「Clova」で提供しているサービスをスマホの画面を見ることなく操作できる(プロジェクションモード搭載のSDL対応機器のみ)。今年12月1日から罰則が強化される、運転中にスマホの画面を注視する「ながらスマホ」対策になるアプリだ。
トヨタは、9月17日発売の新型カローラシリーズ(カローラ、カローラツーリング、カローラスポーツ)、来年2月中旬発売予定のヤリス全グレードに、SDL対応車載機「ディスプレイオーディオ(DA)」と車載通信機「Data Communication Module(DCM)」を標準搭載する。10月18日にマイナーチェンジしたSUVのC-HRでも、全グレード標準装備としてDAを採用するなど、トヨタブランドの新型車の共通仕様となるようだ。
記者は、日本名「ヴィッツ」の後継となる世界戦略車「ヤリス」のワールド発表を見て初めて知ったが、トヨタが今年から始めた、スマホ連携を前提としたディスプレイオーディオ(DA)へのシフトは、カーナビ業界とスマホ業界の両方に大きなインパクトを与えるのは間違いない。
オプションではなく標準装備となるため、従来のように「オーディオレス仕様」を選び、安い社外品のDIN対応車載カーナビを装着したり、AM/FMチューナー搭載DIN対応CDオーディオと社外品のポータブルナビ(PND)を併用したりといったコストカットが不可能になってしまった。見方を変えると、新車購入に当たり、ナビ関連の追加費用が不要になり、スマホ経由で、常に最新の地図が使えるというメリットがある。
家電量販店・オンラインショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2018年のカーナビの販売台数は前年比117.0%と、健闘していた。今年1~9月も、前年同期比116.2%と、好調は続いている。ただ、他のメーカーも含め、今後「社外品ナビは取付不可」の新車が増えると、カーナビ購入を検討するユーザー自体が減り、市場全体のシュリンクは免れないだろう。
同じくBCNランキングによると、別の車両やサイクリング・散歩の際に使うなど、携帯性の高いPNDの販売台数は、18年の時点で前年比90.8%にとどまり、今年1~9月は前年同期比68.8%。スマホに押され、すでに市場縮小が始まっている。
LINEは11月1日以降、インセンティブを「LINEポイント」に一本化し、LINEポイントの発行主体はLINE Payになる。また、NTTドコモはAIエージェントサービス「my daiz」に、AIを活用し、音声だけで目的地までナビゲーションする新機能を3月に追加する予定。こちらはゼンリンと提携しており、トヨタの新型ヤリス、ホンダの新型フィットの発売にあわせ、ナビアプリや音声AIアシスタントの強化が続きそうだ。
LINEもドコモも、生活のさまざまなシーンでアシストする「生活密着」を打ち出しており、ナビアプリの進化は、決済サービス・ポイント、メッセージング、個人スコアといったさまざまなサービスにも密接に関わってくる。中古車派も、プライベートでは車に乗らない電車・バス派も、国内メーカーが投入する新車の最新仕様に注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
LINEカーナビは、スマートフォン(スマホ)単体でも使えるが、オープンソースプラットフォームで開発しているSmartDeviceLink(SDL)対応機器と連携させると、ナビ機能をはじめ、AIアシスタント「Clova」で提供しているサービスをスマホの画面を見ることなく操作できる(プロジェクションモード搭載のSDL対応機器のみ)。今年12月1日から罰則が強化される、運転中にスマホの画面を注視する「ながらスマホ」対策になるアプリだ。
トヨタは、9月17日発売の新型カローラシリーズ(カローラ、カローラツーリング、カローラスポーツ)、来年2月中旬発売予定のヤリス全グレードに、SDL対応車載機「ディスプレイオーディオ(DA)」と車載通信機「Data Communication Module(DCM)」を標準搭載する。10月18日にマイナーチェンジしたSUVのC-HRでも、全グレード標準装備としてDAを採用するなど、トヨタブランドの新型車の共通仕様となるようだ。
記者は、日本名「ヴィッツ」の後継となる世界戦略車「ヤリス」のワールド発表を見て初めて知ったが、トヨタが今年から始めた、スマホ連携を前提としたディスプレイオーディオ(DA)へのシフトは、カーナビ業界とスマホ業界の両方に大きなインパクトを与えるのは間違いない。
スマホ連携で車載ナビ/オーディオの追加コストがゼロになる
トヨタ純正のDAは、BluetoothやUSBケーブルでスマホと連携し、さまざまなアプリを操作できるディスプレイ部だけのオーディオ機器。ラジオが聴けるAM/FMチューナーは内蔵するが、CD/DVDの再生、SDカードの再生・録音には対応しない。オプションではなく標準装備となるため、従来のように「オーディオレス仕様」を選び、安い社外品のDIN対応車載カーナビを装着したり、AM/FMチューナー搭載DIN対応CDオーディオと社外品のポータブルナビ(PND)を併用したりといったコストカットが不可能になってしまった。見方を変えると、新車購入に当たり、ナビ関連の追加費用が不要になり、スマホ経由で、常に最新の地図が使えるというメリットがある。
家電量販店・オンラインショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2018年のカーナビの販売台数は前年比117.0%と、健闘していた。今年1~9月も、前年同期比116.2%と、好調は続いている。ただ、他のメーカーも含め、今後「社外品ナビは取付不可」の新車が増えると、カーナビ購入を検討するユーザー自体が減り、市場全体のシュリンクは免れないだろう。
同じくBCNランキングによると、別の車両やサイクリング・散歩の際に使うなど、携帯性の高いPNDの販売台数は、18年の時点で前年比90.8%にとどまり、今年1~9月は前年同期比68.8%。スマホに押され、すでに市場縮小が始まっている。
トヨタ純正DAの絶妙なApple Car Play/Android Auto対応コスト
ヤリスでは、オプションのフルセグ対応TVキット(税抜3万円、初回のみ)を追加すると、LINEカーナビに加え、DA上でApple Car Play、Android Auto対応アプリも利用できるようになる(別途、トヨタのコネクティッドサービス「T-Connect」の契約が必要)。この設定が非常に戦略的で、AppleのMapアプリやiMessage、「Yahoo!カーナビ」「Google マップ」など、さまざまなアプリがApple CarPlayに対応していると知っているiPhoneユーザーはぜひ追加したいと思うはずだ。一方、従来のスタイルの車載用ナビ機能を使いたい層向けに、純正ナビキット2種も用意する。LINEは11月1日以降、インセンティブを「LINEポイント」に一本化し、LINEポイントの発行主体はLINE Payになる。また、NTTドコモはAIエージェントサービス「my daiz」に、AIを活用し、音声だけで目的地までナビゲーションする新機能を3月に追加する予定。こちらはゼンリンと提携しており、トヨタの新型ヤリス、ホンダの新型フィットの発売にあわせ、ナビアプリや音声AIアシスタントの強化が続きそうだ。
LINEもドコモも、生活のさまざまなシーンでアシストする「生活密着」を打ち出しており、ナビアプリの進化は、決済サービス・ポイント、メッセージング、個人スコアといったさまざまなサービスにも密接に関わってくる。中古車派も、プライベートでは車に乗らない電車・バス派も、国内メーカーが投入する新車の最新仕様に注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)