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ノジマが「電子棚札」全店導入、ビックカメラは60億円の投資試算

 店員の人手不足解消や来店客の顧客満足度を上げるツールとして期待される「電子棚札」で、ノジマは10月18日、全184店舗への導入を完了したと発表した。積極的に導入しているビックカメラは、全店舗に導入した際の投資総額を60億円と見積もり、今期(2020年8月期)に半分の30億円を投資する。

ノジマの電子棚札

 ノジマが発表した電子棚札システムは、パナソニック システムソリューションズ ジャパン製。パナソニックは、電子棚札の世界シェアトップの仏SES-imagotagとアライアンスを組んでいる。ノジマは、100店舗以上を展開する国内小売企業で全店導入を完了させたのは初めてとアピールする。

 電子棚札は、価格やメーカー名、型番などの一括更新やセール、商品スペックなどが表示できる。ノジマでは、10月1日の消費税率10%に伴う切り替え作業をこのシステムで一括更新し、切替作業にかかる時間がほぼゼロだったという。

 ノジマが店舗導入した電子棚札は、全店舗合計で約140万枚。POSデータと価格表示が連携し、商品によって1.6インチから7.4インチまでの4種類から選べる。見やすい白・黒・赤の3色表示も特徴だ。

ビックカメラはネット通販との連携強化

 ビックカメラは、10月18日に開催した決算説明会の中で、以前から一部店舗で導入してきた電子棚札の本格導入をあらためて表明した。ビックカメラ全店に導入した際の投資総額を60億円と見積もる。今期は、設備投資額205億円のうち15%に相当する30億円を電子棚札に充てる。
 
8月28日にオープンした「ビックカメラ イトーヨーカドーたまプラーザ店」の「電子棚札」

 宮嶋宏幸社長は、「国内家電市場の拡大が見込めない中、実店舗とECでそれぞれ足りない部分を補えるオムニチャネル化で事業成長を継続できる」と語り、ECと店舗で連携するネット取り置きサービスや、ECと連携する電子棚札など、オムニチャネルによる新規顧客の開拓や固定顧客化による事業拡大に自信を示した。

 同社の電子棚札は、価格変更のほかビックカメラ・ドット・コムのレビューや件数が表示できたり、NFC搭載でスマートフォン(スマホ)をかざすだけで商品スペックが分かったり、LEDランプの点滅でネット取り置き業務をサポートしたりできる。また、正確な価格表示により、手書きの誤表記による信頼低下も排除することができる。

 ビックカメラのEC売上高は、ビックカメラ・ドット・コムのほかコジマ、ソフマップのEC売上高と楽天ビックの卸売売上が含まれる。19年8月期に1081億円(前期比125%)となり1000億円を突破し、EC化率は12.1%になった。

 電子棚札は、リアル店舗とECの連携をユーザーに感じさせないオムニチャネル化の重要なツールとして位置付けられている。(BCN・細田 立圭志)