【記者のひとこと】データが企業の生死を左右

コラム

2019/09/30 10:00

 ソフトバンクが今月、企業のデータ活用支援を行う新会社を設立しました。設立記者会見で、ソフトバンクの今井康之副社長は「世界の時価総額ランキングで上位にいる企業は、いずれもデータを徹底的に活用して事業を変革している。データ活用に乗り遅れた企業は消滅していく」と話し、日本企業においてデータ活用が進んでいない現状に警告を発しました。

 ここだけ聞くと、データを活用できない企業には死あるのみ、という脅しのようなメッセージですが、新会社・インキュデータの藤平大輔社長は「データ活用の短期的な成果を追求しすぎると、企業の信用失墜につながりかねない」と話し、とにかく一日でも早くデータを活用せよ、という拙速な姿勢ではないことを強調します。

 名指しこそしませんでしたが、念頭にあるのは、この夏に大手就職情報サイトで発覚した、個人情報の不適切な利用。サイト利用者の「内定辞退率」をAIが予測し、それを本人の同意を得ないまま企業に販売していたことが厳しく批判されました。データ活用に乗り出せない企業は競争に負けるが、活用の仕方を間違えた企業にも悲惨な結末が訪れる。「データ資源は未来の石油」などといわれるようになって久しいですが、企業にとっては石油というより、生死を左右する血液のような存在になっていくのかもしれません。(日高彰)

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