国も注目するeSportsの今 JeSU、活動報告で賞金問題に言及
【東京ゲームショウ2019】 国内eSports(eスポーツ)の代表団体である日本eスポーツ連合(JeSU)は、9月12~15日に千葉・幕張メッセで開催された日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ(TGS)2019」で、これまでの活動報告と今後の展開を説明した。9月12日の発表会では、メディアやSNSなどで取り上げられることの多い“賞金問題”の解決に向けた活動の進捗状況にも触れた。
同事業を推進するため、「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を立ち上げた。プロ選手やチーム運営者、コミュニティ、学識経験者、メーカー、保険・金融、教育・研究など、幅広い分野のキーマンを集め、検討を進めるという。第1回検討会は、9月24日に東京証券会館で、フルオープンで開催する。
景品表示法に関する回答としては、賞金の提供が「仕事の報酬等」の提供と認められる場合には、違反しないとのことだった。条件は、賞金の提供先をプロライセンス選手に限定する大会、もしくは賞金の提出先をプロライセンス選手に限定しないが、一定参加者が限定されている大会であること。ライセンス制度によらないeスポーツ大会における賞金の位置づけが明確になりつつあるという。
刑法・賭博罪については、賞金・賞品が、参加者や主催者以外の第三者(スポンサー)から提供される、または大会の主催者が賞金を提供する場合であっても、参加料が会場費やスタッフの活動費などの大会運営費用にのみ充当され、賞金・賞品に充当されてい場合に、違反にはならないとした。今後も、関係各省庁と問い合わせや協議を重ね、eスポーツを健全に発展させる方法を模索していくという。
JeSUは、大会を開きやすい環境や、選手が活躍に見合う対価が得られる環境を整備することで、eスポーツ産業を健全に発展させようとしている。ライセンス制度も既存のゲームコミュニティなどを縛るものではないと強調。10月に開催する茨城国体にあわせたeスポーツ大会などを通して、さらなる協力を呼びかけていく。(BCN・南雲 亮平)
経産省のeスポーツ事業
まず取り上げたのは、経済産業省「令和元年度新コンテンツ創造環境整備事業(eスポーツに係る市場規模等調査分析事業)」。周辺産業への影響を含めた国内eスポーツ市場規模の試算や、海外主要国のeスポーツ産業発展の経緯の調査・分析、国内の各種取り組みの現状と課題、今後の展望を踏まえた整理・検討などが主なミッションだ。同事業を推進するため、「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を立ち上げた。プロ選手やチーム運営者、コミュニティ、学識経験者、メーカー、保険・金融、教育・研究など、幅広い分野のキーマンを集め、検討を進めるという。第1回検討会は、9月24日に東京証券会館で、フルオープンで開催する。
地方支部の進捗
また、地方支部認定については、29県37団体からの応募を受け付けているという。現在の支部は、北海道、東京都、静岡、愛知、富山、石川、大阪、兵庫、岡山、大分。今後については、年内を目途に新支部を発表する予定とした。新公認タイトルとオンライン大会への対応
JeSUの公認タイトルには、新たに「DEAD OR ALIVE 6」が加わった。現在は、全12タイトルが公認として並ぶ。あわせて、今までは不正防止などの観点からオフライン大会のみを公認大会としていたが、今秋にはオンラインでの公認大会の開催が可能になるよう、規約を改定する予定だという。実現すれば、住んでいる地域に関わらず、幅広い選手にプロライセンスや賞金獲得のチャンスが訪れることになる。ライセンスにとらわれない大会支援
また、35個のイベント・大会後援を行った。月に約3件のペースで、「フォートナイト」や「オーバーウォッチ」など、公認タイトルに限らず支援している。ライセンス制度に捉われず、eスポーツの発展に寄与すると考えられる取り組みについては積極的にサポートしていく姿勢だ。広がるeスポーツの枠組み
eスポーツ競技の多様化にも対応する。TGS2019会期中の9月13日には、JeSUブースで「HADO」の体験会を開いた。「HADO」は、ウェアラブルデバイスとARを組み合わせたeスポーツ。今後は、公認タイトルとしてプロライセンスの発行も検討していく。大会配信のノウハウを共有
eスポーツやゲームの社会的地位向上のため、参入障壁が高かったeスポーツ・ゲーム大会の配信については、サポートマニュアルを作成すると発表。著作物の利用や対象年齢、放送プラットフォームなど、配信初心者には欠かせないツールになりそうだ。JeSUのホームページに9月末公開予定としている。eスポーツに係る法規制への取り組み
発展の課題になっていた、eスポーツに関連する法規制への取り組みについても進展があった。高額賞金の提供に関する課題は景品表示法に、大会参加者からの参加料徴収については刑法・賭博罪に違反する恐れがあった。そこで、JeSUは「どのような場合に違反になるのか、ならないのか」を消費者庁や警察庁に問い合わせた。景品表示法に関する回答としては、賞金の提供が「仕事の報酬等」の提供と認められる場合には、違反しないとのことだった。条件は、賞金の提供先をプロライセンス選手に限定する大会、もしくは賞金の提出先をプロライセンス選手に限定しないが、一定参加者が限定されている大会であること。ライセンス制度によらないeスポーツ大会における賞金の位置づけが明確になりつつあるという。
刑法・賭博罪については、賞金・賞品が、参加者や主催者以外の第三者(スポンサー)から提供される、または大会の主催者が賞金を提供する場合であっても、参加料が会場費やスタッフの活動費などの大会運営費用にのみ充当され、賞金・賞品に充当されてい場合に、違反にはならないとした。今後も、関係各省庁と問い合わせや協議を重ね、eスポーツを健全に発展させる方法を模索していくという。
海外への取り組み
JeSUの役割の一つである、海外と日本の橋渡しについては、国際オリンピック委員会のeスポーツ検討会(ELG)に参加。オリンピック基本理念とeスポーツ・ゲームコミュニティが結ばれることで、双方の価値が上がる可能性を模索していく。さらに、国際大会への日本代表選手の派遣が4件、国際会議への参加が2件あった。JeSUは、大会を開きやすい環境や、選手が活躍に見合う対価が得られる環境を整備することで、eスポーツ産業を健全に発展させようとしている。ライセンス制度も既存のゲームコミュニティなどを縛るものではないと強調。10月に開催する茨城国体にあわせたeスポーツ大会などを通して、さらなる協力を呼びかけていく。(BCN・南雲 亮平)