全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、7月のSIMフリースマートフォンの販売台数前年比は73.0%と低迷している。そんな中、上位4社で唯一前年を上回っているのがOPPOだ。2018年2月の市場参入から1年半が経過した19年7月時点でも、前年比498.6%と高い成長率を維持。なぜ、これだけ継続的な成長が可能なのか。オッポジャパンの鄧宇辰社長にその理由を聞いた。
取材・文/大蔵 大輔 写真/松嶋 優子
実はReno 10x Zoomは同社が今年初めて発売した新製品で、18年11月以降、製品ラインアップに追加がなかったが、販売台数シェアがその間も上がり続けた。19年1月に7.4%だったシェアは5月に初めて10%を超え、7月に15.2%まで伸びた。
鄧社長にこの疑問をぶつけてみたところ、「製品の魅力が時間をかけて理解され、徐々に支持を伸ばしたのではないか」との回答が返ってきた。3月に鄧社長にインタビューした際にも、「日本市場は口コミを重視するので、それを生かした戦略を実行する」とのコメントがあったが、現在のシェア状況は戦略が狙い通りに進んでいることの証といえるだろう。
もちろん、この期間で何も施策を展開していなかったわけではない。OPPOは3月にメディア向けに説明会を開催し、六つのコミットメント(19年に10倍ハイブリッドズームスマホの投入、より日本に適した方法でのお客さまとのコミュニケーション、2019年内のFelica・防水対応スマホの投入、最新のRenoシリーズをリリース、引き続きアフターサービスを強化、販路拡大とお客さまに商品に触れてもらう機会を増やす)を発表。新製品の発売まで黙々と自らに課したミッションを遂行した。
例えば、顧客とのコミュニケーション強化の観点では、6月に「R17 Pro」もしくは「AX 7」を2週間無料で体験できるレンタルサービスを開始。従来から重視している消費者からの信頼性向上を目的とした施策として、成果を上げ始めている。
「引き合いが強いのは、端末に触れる機会が少ない“地方”。接点の薄かった層にも、アプローチできるようになった」(鄧社長)。レンタルサービス後の特典は現時点では用意されていないが、今後は割引やアフターサービスの追加などの形で検討中だという。
グローバルでは、Renoシリーズの第1弾として「Reno 10x Zoom」「Reno 標準版」「Oppo Reno 5G」の3機種が発表されているが、今月には第2弾が発表される見通し。インド向け公式SNSアカウントで公開されたディザー画像からは、「クアッドカメラ搭載で20倍ズーム」の性能を実装することが予告されている。ただし、Reno 10x Zoomが日本で7月に発売されたばかりというタイミングを考えると、国内市場投入はまだ先になることが予測される。
ちなみに、Reno 10x Zoomは既に5Gのサービスが開始されている国で「Oppo Reno 5G」として展開されている。OPPOは、各国の通信キャリアと連携して5Gの取り組みを進める世界屈指の企業であり、日本でもその知見に期待が集まっている。現在は、家電量販店やECショップ、MVNOでの販売がメインだが、大手キャリア(MNO)にまで販売網を広げる日は遠くないだろう。
現に10月からMNOに参入する楽天が7月に神奈川県・パシフィコ横浜で開催した「Rakuten Optimism 2019」では、5Gをフィーチャーしたコーナーに端末を提供。一般来場者に対して、5G通信がいかに高速か、どんな新しいソリューションに生かされるのかを訴求していた。
「SIMフリー市場での信頼をMNOにつなげていきたい」と、鄧社長も販路拡大に意欲を示す。今年の下半期には、Felicaや防水対応の新製品投入も控えている。上半期に仕込んだブランディング強化が本格的に芽を出すのはこれからだ。5G時代の突入とともにOPPOが飛躍する土台は着実に固まりつつある。
取材・文/大蔵 大輔 写真/松嶋 優子
新製品はなくてもシェアは上昇 顧客接点強化が奏功
OPPOは、7月に超高倍率レンズを搭載する「Reno 10x Zoom」を発売。ポップアップ式のピボットライジング構造を採用した画面占有率93.1%のフルビューディスプレイや多彩な撮影機能を搭載したカメラなど、目新しさの多いフラグシップモデルとして注目を集めている。実はReno 10x Zoomは同社が今年初めて発売した新製品で、18年11月以降、製品ラインアップに追加がなかったが、販売台数シェアがその間も上がり続けた。19年1月に7.4%だったシェアは5月に初めて10%を超え、7月に15.2%まで伸びた。
鄧社長にこの疑問をぶつけてみたところ、「製品の魅力が時間をかけて理解され、徐々に支持を伸ばしたのではないか」との回答が返ってきた。3月に鄧社長にインタビューした際にも、「日本市場は口コミを重視するので、それを生かした戦略を実行する」とのコメントがあったが、現在のシェア状況は戦略が狙い通りに進んでいることの証といえるだろう。
もちろん、この期間で何も施策を展開していなかったわけではない。OPPOは3月にメディア向けに説明会を開催し、六つのコミットメント(19年に10倍ハイブリッドズームスマホの投入、より日本に適した方法でのお客さまとのコミュニケーション、2019年内のFelica・防水対応スマホの投入、最新のRenoシリーズをリリース、引き続きアフターサービスを強化、販路拡大とお客さまに商品に触れてもらう機会を増やす)を発表。新製品の発売まで黙々と自らに課したミッションを遂行した。
例えば、顧客とのコミュニケーション強化の観点では、6月に「R17 Pro」もしくは「AX 7」を2週間無料で体験できるレンタルサービスを開始。従来から重視している消費者からの信頼性向上を目的とした施策として、成果を上げ始めている。
「引き合いが強いのは、端末に触れる機会が少ない“地方”。接点の薄かった層にも、アプローチできるようになった」(鄧社長)。レンタルサービス後の特典は現時点では用意されていないが、今後は割引やアフターサービスの追加などの形で検討中だという。
次の10年に向けて 5G時代突入がさらなる躍進へ
7月に発売したReno 10x Zoomは単なるフラグシップモデルではなく、同社にとって大きな意味をもつ一台だ。「OPPOの新しい10年の先陣」と鄧社長は語ったが、創造性を掻き立てる機能やシンメトリーの美しいデザインなどからは、テクノロジーが実現する利便性だけでなく、次世代スマホの方向性をも感じることができる。グローバルでは、Renoシリーズの第1弾として「Reno 10x Zoom」「Reno 標準版」「Oppo Reno 5G」の3機種が発表されているが、今月には第2弾が発表される見通し。インド向け公式SNSアカウントで公開されたディザー画像からは、「クアッドカメラ搭載で20倍ズーム」の性能を実装することが予告されている。ただし、Reno 10x Zoomが日本で7月に発売されたばかりというタイミングを考えると、国内市場投入はまだ先になることが予測される。
ちなみに、Reno 10x Zoomは既に5Gのサービスが開始されている国で「Oppo Reno 5G」として展開されている。OPPOは、各国の通信キャリアと連携して5Gの取り組みを進める世界屈指の企業であり、日本でもその知見に期待が集まっている。現在は、家電量販店やECショップ、MVNOでの販売がメインだが、大手キャリア(MNO)にまで販売網を広げる日は遠くないだろう。
現に10月からMNOに参入する楽天が7月に神奈川県・パシフィコ横浜で開催した「Rakuten Optimism 2019」では、5Gをフィーチャーしたコーナーに端末を提供。一般来場者に対して、5G通信がいかに高速か、どんな新しいソリューションに生かされるのかを訴求していた。
「SIMフリー市場での信頼をMNOにつなげていきたい」と、鄧社長も販路拡大に意欲を示す。今年の下半期には、Felicaや防水対応の新製品投入も控えている。上半期に仕込んだブランディング強化が本格的に芽を出すのはこれからだ。5G時代の突入とともにOPPOが飛躍する土台は着実に固まりつつある。