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優遇プログラムとスマホ決済サービスの対応状況を比較・都市銀行編

 8年ほど前に「元本割れしない資産運用」を自分なりに考えた結果、銀行の新規口座開設キャンペーンを利用し続ければいいと思い、現在、九つの口座を保有しているが、それぞれにオンラインバンキング(インターネットバンク)の使い勝手が微妙に異なり、一長一短があるので困ったものだと感じている。LINE子会社のLINE Financialは、みずほ銀行との共同出資で、銀行事業参入を表明している。このLINE新銀行の正式発表前に、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行・りそなグループを対象とした「都市銀行編」と、「ネット銀行編」の2回に分け、取引状況によってステータスが変わる優遇プログラムと、主要スマホ決済サービス(PayPay・LINE Pay・メルペイ・Origami Pay)への対応状況をまとめた。

フィンテックに注力するLINEはスマホ銀行を立ち上げる

4大メガバンク 三菱UFJ・みずほ・三井住友・りそなグループ

 三菱UFJは、取引状況に応じて優遇ステージが決まり、最高ランクの「プラチナステージ」では、オンラインバンキングに限り月3回まで利用時の他行振込手数料が無料だ。みずほは、無料の「みずほマイレージクラブ」に加入すると同様に、取引内容に応じて最大月4回までオンラインバンキング利用時の他行振込手数料が無料となる。
 
優遇プログラムの名称は、三菱UFJは「メインバンク プラス」、みずほは「みずほマイレージクラブ」。
銀行独自のポイントはない

 三井住友は、取引状況に応じて独自のSMBCポイントが貯まる「SMBCポイントパック」サービスを導入している。三井住友カードと共同で発行するVisaデビットカード「SMBCデビット」を利用すると、利用額の0.5%のSMBCポイントが付与される。以前からデビットカードに力を入れている印象があり、新規口座開設キャンペーンを兼ねた「SMBCデビット」の新規入会キャンペーンは、時期によってはかなりお得だ。
 
SMBCデビットは「Google Pay」に2019年5月から対応。
店頭で、手持ちのFeliCa搭載Androidスマホを使って決済できるようになった

 りそなグループのりそな銀行・埼玉りそな銀行は、取引状況に応じて「りそなクラブポイント」が貯まる「りそなクラブ」を展開する。りそなクラブは優遇プログラムを兼ねており、ステータスが最高ランクの「ダイヤモンド」だと「給与受け取り」「デビットカードの利用代金の引き落とし」など、ポイント対象取引のポイント還元率が30%アップするが、他行振込手数料は無料にはならない。他行と比較して致命的な弱みといえる。
 
貯まったりそなクラブポイントは、楽天スーパーポイントやdポイント、ヨドバシゴールドポイントなど、
さまざまなポイントに交換できる

LINE Pay・メルペイは4大メガバンクを制覇

 三菱UFJは主要スマホ決済サービスのうち、LINE Pay・メルペイ以外は登録不可。オンラインバンキングは、従来の「乱数表カード」ではなく、三菱UFJアプリで表示されるワンタイムパスワードを利用する仕組みを一新して以来、やや使いやすくなった。

 みずほは、PayPay・LINE Pay・メルペイ・Origami Payの全て登録可能。新たに銀行口座を開設するなら筆頭候補に入れたい。なお、「みずほWallet」に加え、QRコードを使った銀行口座直結の新しい決済サービス「J-Coin Pay」を今年3月から提供している。銀行口座に戻せないPayPay、手数料がかかるLINE Pay・メルペイとは異なり、J-Coin Payなら無料でチャージ残高を口座に戻すことが可能だ。

 三井住友、りそな・埼玉りそなもPayPay・LINE Pay・メルペイ・Origami Payの全て登録可能。りそなは、デビットカードの利用状況の管理に加え、モバイル決済が可能な「りそなウォレットアプリ」を提供しており、即時決済に加え、要審査の後払いサービスも提供している。
 

 記者がPayPayにりそな銀行の口座を登録した際は、機種変更に伴うソフトウェアトークン(ワンタイムパスワード)の再設定から始めて1時間半くらいかかり、あまりの面倒さから、途中で投げ出したくなった。銀行のサポート窓口に問い合わせないとわからない点があり、事前準備に手間取ったからだ。一方、メルペイやOrigami Payに登録した際は、すでにオンラインバンクの設定が完了済だったので、面倒とは感じず、ごく短時間で完了した。

 セキュリティの確保が不可欠なオンラインバンキングの仕組みや操作性は、銀行によってかなり変わる。また、専用アプリとWeb(スマホ・PC)によっても異なり、PC画面を前提としたUIだと、スマホ決済サービスとの連携時に戸惑ってしまう。LINEの新銀行には、いつでも誰でも短時間でスマホ決済サービスやオンライン家計簿サービスと連携できるわかりやすさとセキュリティの両立を期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)