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「分離プラン」義務化を前に駆け込み商戦トーンダウン ドコモの失速で

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、今年1月~6月(上半期)のスマートフォン(スマホ)全体の販売台数に占めるSIMフリースマホの販売台数構成比は16.3%。8割以上はキャリアモデルで、上半期のキャリア別のシェア1位はドコモ、2位は僅差でau、3位はSoftBankの順だった。ドコモは5月と6月の落差が大きく、6月単月ではau、Softbankに抜かれ、3位に後退した。

シェア急落で分かった「docomo with」終了のインパクト

 3月は27.3%、4月は24.3%、5月は33.2%と、3カ月連続で20%の大台を超えていたドコモのシェアは、6月は17.5%まで下がり、5月比では15ポイントを超える大幅下落となった。一方、4月・5月は2割を切っていたソフトバンクのシェアは、6月は22.2%まで回復。auも5月の23.7%から29.4%まで上昇した。
 

 5月と6月のドコモの月間販売台数を比較すると、実に6割減となり、データ容量を分け合うプランを選べば、2台目以降のサブ回線が格安で持てる「docomo with」の駆け込み需要がいかに4月・5月の販売台数積み増しに貢献していたか、改めて浮き彫りになった。
 

 ドコモは「docomo with」のほか、「月々サポート」「端末購入サポート」「機種変更応援プログラム」なども5月末をもって新規受付を打ち切っており、その影響も大きいと考えられる。

 6月1日からは、代わりに「スマホおかえしプログラム」がスタートしたが、改正電気通信事業法に基づく「通信料金と端末代の完全分離(分離プラン)」の具体的なルールについて検討を進める会合で打ち出された「端末の値引き額の上限は税抜2万円」が決定事項となると、内容の見直しを余儀なくされるかもしれない。
 
今後、法律で制限される「利益の提供(端末代の値引き)」の具体例

 「端末販売の適正化」を掲げる総務省の思惑をよそに、一部のショップでは、今年秋以降の「分離プラン」義務化に向け、今のうちに契約数を稼いでおこうと、従来同様のキャッシュバック・端末値引きを行っているようだ。ただし、土日限定・期間限定・端末の在庫限りといった条件付きで、対象はMNPによる新規契約のみのケースが多い。10月には消費増税を控え、今後も分離プラン義務化前の駆け込み商戦は続くが、その規模はだいぶトーンダウンしたものとなりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。