6月21日にリニューアルオープンしたエディオン広島本店は、10日間で22万人が訪れるほど地元客に愛され続けた店だ。エディオントップの久保允誉会長兼社長執行役員の長年の夢だったという東館と西館の二棟を連絡通路でつなぐほど、久保会長の思い入れが強い店舗でもある。それもそのはず、西館はエディオンの設立母体の1社である旧デオデオ(創業当時は第一産業、後にダイイチ)の創業の地であり、久保会長の生家でもあった場所だからだ。
リニューアルされた店舗の売り場からは、地元客に対する気づかいやおもてなしが伝わってくる。例えば、西館の1階を入るとAppleショップがあるが、同じフロアに併設されたタリーズコーヒーのデザインやトーンがAppleショップと統一されてシームレスにつながっている。
iPhoneやMacBookを選びながら、コーヒーを飲んでくつろげるなど、顧客にとって居心地のいい空間だ。レギュレーションが厳しいことで有名なAppleショップで、このような展開をしようと思ってもなかなか難しい。Appleの広報は「Appleが他社とコラボすることはない」と、あくまでも通常のレギュレーションに従って出店したことを強調するが、エディオンがこの空間を実現させたこと自体に驚かされる。
広島本店は長年にわたって文化を発信する拠点としての役割も担ってきた。東館の最上階の9階には250人が収容できる「紙屋町ホール」があり、お笑い芸人やアイドルなど顧客の交流の場として機能している。同じフロアには今ではすっかり少なくなったCD売り場「DISC City」やチケットを販売する「プレイガイド」も用意。演歌歌手のCDを購入しに来る年配客を大切にしている。
東館7階はおもちゃやゲーム売り場になっている。ここでも小さな子どもたちがおもちゃに触れて楽しめるスペースが用意されている。わずか3フロアを見ただけでも、幅広い世代のお客に楽しんでもらう工夫が感じられる。
エディオンの渡辺伸一執行役員広島本店長は「本当にありがたいことですが、広島本店でしか購入しないというお客様がいたり、何世代にもわたって家族ぐるみで利用されているお客様も多い」と、72年間の親切な接客によってつくられたファンによって店が支えられていると語る。
4階で結ばれた連絡通路は西館が4KテレビなどのデジテルAV機器売り場で、東館が冷蔵庫や洗濯機、クリーナーなどの白物家電売り場だ。従来は一度、1階まで降りてから隣の棟を昇っていかなければならず、機会損失が大きかった。新店では、家電量販店の花形商品を連絡通路でつなげたことで、両フロアの売り上げが相乗効果でアップしたという。
白物家電売り場には、テーブルとイスが何台も並べられていることがわかる。東館5階にあるエアコン売り場でも多くのテーブルとイスが並べれている。都市型店舗とはいえ、一人ひとりの顧客に時間をかけてしっかり接客しながら対応する様子が伝わる。
6月7日にオープンした同社最大規模の店舗になったエディオンなんば本店も接客を重視する姿勢は変わらないが、同じ都市型店舗でも広島と大都市の大阪・なんばでは当然ながら売り場のスタイルを変えていることが分かる。
話題性でいえば西館6階のゲーミングPC売り場も地域最大規模を誇る。取材時は平日だったにも関わらず、親子連れや会社の昼休みなどに寄っているビジネスパーソンの姿を見かけた。
エディオン広島本店に来れば、話題の商品から品揃えはもちろん、試しに使ってみたり、丁寧な説明や接客が受けられる。渡辺店長は「ほかの店舗で十分な接客も広島本店では通用しない。それだけお客様の期待値が高いので、厳しいご指摘を受けながら社員の接客も向上する」と語る。
72年間地元客に支えれてきたエディオングループ一番店の広島本店は、今回のオープン時の平日や土、日の売り上げで、12年に自ら打ち立てた記録を塗り替えたという。(BCN・細田 立圭志)
カフェと併設されたAppleショップ
1947年の創業から72年間、中心地の紙屋町で広島経済を支えた。エディオンの本社機能は大阪にあるが、登記上の本社所在地は今でも広島本店がある中区紙屋町2丁目1番18号であるのは、こうした理由による。リニューアルされた店舗の売り場からは、地元客に対する気づかいやおもてなしが伝わってくる。例えば、西館の1階を入るとAppleショップがあるが、同じフロアに併設されたタリーズコーヒーのデザインやトーンがAppleショップと統一されてシームレスにつながっている。
iPhoneやMacBookを選びながら、コーヒーを飲んでくつろげるなど、顧客にとって居心地のいい空間だ。レギュレーションが厳しいことで有名なAppleショップで、このような展開をしようと思ってもなかなか難しい。Appleの広報は「Appleが他社とコラボすることはない」と、あくまでも通常のレギュレーションに従って出店したことを強調するが、エディオンがこの空間を実現させたこと自体に驚かされる。
広島本店は長年にわたって文化を発信する拠点としての役割も担ってきた。東館の最上階の9階には250人が収容できる「紙屋町ホール」があり、お笑い芸人やアイドルなど顧客の交流の場として機能している。同じフロアには今ではすっかり少なくなったCD売り場「DISC City」やチケットを販売する「プレイガイド」も用意。演歌歌手のCDを購入しに来る年配客を大切にしている。
幅広い世代が体験できる売り場
東館8階のプラモデル売り場には「エディオン ビルドベース」という作業場があり、ガンプラなど自分で色を塗ったりすることができる。世代を超えて愛されているガンダムのプラモデルづくりで、若い人が趣味として興味をもつきっかけにもなり、新しいファンを開拓する活動につながる。東館7階はおもちゃやゲーム売り場になっている。ここでも小さな子どもたちがおもちゃに触れて楽しめるスペースが用意されている。わずか3フロアを見ただけでも、幅広い世代のお客に楽しんでもらう工夫が感じられる。
エディオンの渡辺伸一執行役員広島本店長は「本当にありがたいことですが、広島本店でしか購入しないというお客様がいたり、何世代にもわたって家族ぐるみで利用されているお客様も多い」と、72年間の親切な接客によってつくられたファンによって店が支えられていると語る。
4階で結ばれた連絡通路は西館が4KテレビなどのデジテルAV機器売り場で、東館が冷蔵庫や洗濯機、クリーナーなどの白物家電売り場だ。従来は一度、1階まで降りてから隣の棟を昇っていかなければならず、機会損失が大きかった。新店では、家電量販店の花形商品を連絡通路でつなげたことで、両フロアの売り上げが相乗効果でアップしたという。
白物家電売り場には、テーブルとイスが何台も並べられていることがわかる。東館5階にあるエアコン売り場でも多くのテーブルとイスが並べれている。都市型店舗とはいえ、一人ひとりの顧客に時間をかけてしっかり接客しながら対応する様子が伝わる。
6月7日にオープンした同社最大規模の店舗になったエディオンなんば本店も接客を重視する姿勢は変わらないが、同じ都市型店舗でも広島と大都市の大阪・なんばでは当然ながら売り場のスタイルを変えていることが分かる。
若い女性客を取り込む工夫
若い女性を取り込むための工夫もしている。まず東館1階のビューティ売り場は、西館1階のAppleショップと同様に天井が高くて吹き抜けて見通しがいい。そこにドライヤーなどの理美容品が並べられており、すべて電源がつながっていて試すことができる。学校帰りや会社帰りの若い女性がフラッっと店に入れるように意識した取り組みだ。話題性でいえば西館6階のゲーミングPC売り場も地域最大規模を誇る。取材時は平日だったにも関わらず、親子連れや会社の昼休みなどに寄っているビジネスパーソンの姿を見かけた。
エディオン広島本店に来れば、話題の商品から品揃えはもちろん、試しに使ってみたり、丁寧な説明や接客が受けられる。渡辺店長は「ほかの店舗で十分な接客も広島本店では通用しない。それだけお客様の期待値が高いので、厳しいご指摘を受けながら社員の接客も向上する」と語る。
72年間地元客に支えれてきたエディオングループ一番店の広島本店は、今回のオープン時の平日や土、日の売り上げで、12年に自ら打ち立てた記録を塗り替えたという。(BCN・細田 立圭志)