WeChat Payのテンセントと阪急阪神百貨店が小売りのスマート化で連携
世界で月間アクティブユーザー約11億人を擁する中国のチャットアプリ「WeChat(微信)」や8億人以上が使うスマートフォン(スマホ)決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」を展開するテンセント・ホールディングス(騰訊控股有限公司)とエイチ・ツー・オー・リテイリンググループの阪急阪神百貨店は7月16日、同百貨店が「WeChat Payスマート旗艦百貨店」として中国国外で初めて認定されたことを記念した共同記者会見を開催した。
19年には、WeChatの公式アカウントでAI(人工知能)を活用した「店内案内」を開始したり、海外VIP顧客グラブの会員カードを電子化するなどしてきた。中国人旅行客は、中国国内と同じような各プロモーションが日本でも使える。
会見同日、新たに阪急うめだ本店の2階の化粧品売り場で「化粧品予約受付サービス」がスタートした。WeChatを使って事前予約すれば、複数ブランドの購入時も店頭ですぐに商品を受け取ることができる。対象ブランドは、15まで順次拡大していく予定だ。
同店では、中国人旅行客の化粧品の平均客単価が2万~5万円だという。中には、15万~20万円分をまとめて購入する客もいる。自分の分だけでなく、中国に住む友人や知人に頼まれて購入するからだ。
これまでは、友人の分を購入するために行列に並ぶストレスがあったが、予約受取サービスがスタートしたことによってストレスフリーでスムーズな買い物が実現できる。「単に買い物時間を短縮するだけでなく、自分で別の化粧品を試したり発見するなど新たな買い物価値の創造につながる」と、阪急阪神百貨店の山口俊比古取締役執行役員は語る。
こうした一連の取り組みが、WeChat Payスマート旗艦百貨店として認定された理由だ。WeChat Payのフリーダム・リー副総裁は「多くの中国人のスマホのなかにWeChatが入っている。それと同じ体験が日本でできるインパクトは大きい」と、旅行する前から旅行中、旅行した後までWeChat Payでシームレスに買い物体験ができるユーザーメリットを強調した。
阪急うめだ本店だけで年間40万人の免税購入件数があり310億円の免税売り上げがある。そのうちの中国人は81%の251億円(29万人)を占める。
阪急阪神百貨店の荒木直也社長は、「中国人旅行客は最も重要なお客様」としつつも、さらに先にある戦略も明かした。
「日本と比べ、中国のスマホ決済サービスは何年も進んでいる。かねてからテンセントと戦略的に取り組んできた。今後も、ビッグデータを活用しながらテンセントと新たなマーケティングを開発していきたい」と語り、WeChat Payが単なる決済手段にとどまらずマーケティングに活用されていることを示した。そして、ここで得たノウハウを今後の日本におけるキャッシュレス化のサービスを展開する際に反映していく狙いもある。
テンセントは、これまで日本におけるWeChat Payスマート旗艦店戦略を、千歳空港で空港として世界初、ドン・キホーテで世界100軒目、富士急ハイランドで遊園地で世界初など業界ごとに展開してきた。今後も、WeChat Payによるスマホを使ったマーケティング領域を百貨店以外にも拡大していくとみられる。(BCN・細田 立圭志)
単なる決済手段にとどまらないWeChat Pay
阪急阪神百貨店は、2017年にWeChat Payを導入。18年9月までに、全国14店舗あるうちの9店舗に導入してきた。同じく、18年には阪急うめだ本店で、レストランのテーブルにあるQRコードを読み取るだけで、店員を介さずに食材などが中国語で書かれたメニューから選んで注文できる「レストランQRコードオーダー」など、中国人旅行客向けのサービスの開発や導入をテンセントと進めてきた。19年には、WeChatの公式アカウントでAI(人工知能)を活用した「店内案内」を開始したり、海外VIP顧客グラブの会員カードを電子化するなどしてきた。中国人旅行客は、中国国内と同じような各プロモーションが日本でも使える。
会見同日、新たに阪急うめだ本店の2階の化粧品売り場で「化粧品予約受付サービス」がスタートした。WeChatを使って事前予約すれば、複数ブランドの購入時も店頭ですぐに商品を受け取ることができる。対象ブランドは、15まで順次拡大していく予定だ。
同店では、中国人旅行客の化粧品の平均客単価が2万~5万円だという。中には、15万~20万円分をまとめて購入する客もいる。自分の分だけでなく、中国に住む友人や知人に頼まれて購入するからだ。
これまでは、友人の分を購入するために行列に並ぶストレスがあったが、予約受取サービスがスタートしたことによってストレスフリーでスムーズな買い物が実現できる。「単に買い物時間を短縮するだけでなく、自分で別の化粧品を試したり発見するなど新たな買い物価値の創造につながる」と、阪急阪神百貨店の山口俊比古取締役執行役員は語る。
こうした一連の取り組みが、WeChat Payスマート旗艦百貨店として認定された理由だ。WeChat Payのフリーダム・リー副総裁は「多くの中国人のスマホのなかにWeChatが入っている。それと同じ体験が日本でできるインパクトは大きい」と、旅行する前から旅行中、旅行した後までWeChat Payでシームレスに買い物体験ができるユーザーメリットを強調した。
阪急うめだ本店だけで年間40万人の免税購入件数があり310億円の免税売り上げがある。そのうちの中国人は81%の251億円(29万人)を占める。
阪急阪神百貨店の荒木直也社長は、「中国人旅行客は最も重要なお客様」としつつも、さらに先にある戦略も明かした。
「日本と比べ、中国のスマホ決済サービスは何年も進んでいる。かねてからテンセントと戦略的に取り組んできた。今後も、ビッグデータを活用しながらテンセントと新たなマーケティングを開発していきたい」と語り、WeChat Payが単なる決済手段にとどまらずマーケティングに活用されていることを示した。そして、ここで得たノウハウを今後の日本におけるキャッシュレス化のサービスを展開する際に反映していく狙いもある。
テンセントは、これまで日本におけるWeChat Payスマート旗艦店戦略を、千歳空港で空港として世界初、ドン・キホーテで世界100軒目、富士急ハイランドで遊園地で世界初など業界ごとに展開してきた。今後も、WeChat Payによるスマホを使ったマーケティング領域を百貨店以外にも拡大していくとみられる。(BCN・細田 立圭志)