1989年に世界初となるノートPCを発売したdynabookブランドは今年30周年を迎えた。7月9日に開催された最新デバイスやソリューションを紹介する展示提案会「dynabook Day 2019」では、メモリアルを記念したブースを設置し、歴代の名機とともにその歴史を紹介していた。
ブースではdynabookのスタート地点といえる世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」をはじめ、時代を彩ったノートPCがずらりと並んだ。さらに「DynaBook J-3100 SS001」といえる世界初のラップトップPC「T1100」の姿も。Dynabookでも1台しか所有していないというレアもの中のレアものだ。
「T1100」は欧州で先行発売して人気に火が付き、その後は北米でもヒットを記録。のちの「DynaBook J-3100 SS001」が生まれる技術的な土台だけでなく、市場構築の下地をつくった存在でもある。
dynabookの30年を改めて振り返ると、数多くの「世界初」「世界一」に彩られていることが分かる。92年発売の256色のTFT(薄膜トランジスタ)カラー液晶を搭載した世界初のカラーノートPC「DynaBook V486-XS」、96年発売のWindows 95搭載で当時世界最小・最軽量だった「Libretto 20」など、往年のガジェットファンの記憶に刻まれているであろうマシンは、ノートPC史におけるマイルストーンといえる。
dynabookのここ数年は決して順風満帆とはいえない道のりだった。東芝クライアントソリューション(TCS)時代の終盤は赤字続きで、2017年度決算ではTCS単体で純資産がマイナスになるほど経営が深刻化した。18年に東芝グループから離れてシャープ傘下に入り、19年1月に新会社Dynabookとして再出発。展示会当日に開催されたイベントでは「コンピューティングとサービスの両輪で事業を拡大し、21年度に国内株式市場への上場を目指す」という方針が語られた。
これからのdynabookの姿をイメージするヒントは、展示の中にも発見することができた。例えば、親会社であるシャープとのシナジー。液晶ディスプレイなどにおける技術開発や海外チャネルの拡大などはもちろんだが、同社が開発するロボホンのような新しい分野との協業にこそ可能性を感じる。
ロボホンの会話や動作を作成するプログラミング教育を紹介したブースでは、そのプログラムを組むマシンとしてdynabookを使用していた。現時点で“dynabookだから”という明確な強みはないが、本気で親和性を追求すればニーズに合致する新たな提案が生まれるはずだ。
また、工場現場や保守現場向けに展開する小型端末「dynaEdge DE100」も将来性を感じさせる。ブースではメガネ型ウェアラブルデバイスとの連携を紹介していたが、蓄積した技術が生かされる分野はもっと多岐にわたってよいはずだ。30年後に再びdynabookの歴史を振り返ったときには、新たな世界初・世界一が彩られていることを期待したい。(BCN・大蔵 大輔)
ブースではdynabookのスタート地点といえる世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」をはじめ、時代を彩ったノートPCがずらりと並んだ。さらに「DynaBook J-3100 SS001」といえる世界初のラップトップPC「T1100」の姿も。Dynabookでも1台しか所有していないというレアもの中のレアものだ。
「T1100」は欧州で先行発売して人気に火が付き、その後は北米でもヒットを記録。のちの「DynaBook J-3100 SS001」が生まれる技術的な土台だけでなく、市場構築の下地をつくった存在でもある。
dynabookの30年を改めて振り返ると、数多くの「世界初」「世界一」に彩られていることが分かる。92年発売の256色のTFT(薄膜トランジスタ)カラー液晶を搭載した世界初のカラーノートPC「DynaBook V486-XS」、96年発売のWindows 95搭載で当時世界最小・最軽量だった「Libretto 20」など、往年のガジェットファンの記憶に刻まれているであろうマシンは、ノートPC史におけるマイルストーンといえる。
dynabookのここ数年は決して順風満帆とはいえない道のりだった。東芝クライアントソリューション(TCS)時代の終盤は赤字続きで、2017年度決算ではTCS単体で純資産がマイナスになるほど経営が深刻化した。18年に東芝グループから離れてシャープ傘下に入り、19年1月に新会社Dynabookとして再出発。展示会当日に開催されたイベントでは「コンピューティングとサービスの両輪で事業を拡大し、21年度に国内株式市場への上場を目指す」という方針が語られた。
これからのdynabookの姿をイメージするヒントは、展示の中にも発見することができた。例えば、親会社であるシャープとのシナジー。液晶ディスプレイなどにおける技術開発や海外チャネルの拡大などはもちろんだが、同社が開発するロボホンのような新しい分野との協業にこそ可能性を感じる。
ロボホンの会話や動作を作成するプログラミング教育を紹介したブースでは、そのプログラムを組むマシンとしてdynabookを使用していた。現時点で“dynabookだから”という明確な強みはないが、本気で親和性を追求すればニーズに合致する新たな提案が生まれるはずだ。
また、工場現場や保守現場向けに展開する小型端末「dynaEdge DE100」も将来性を感じさせる。ブースではメガネ型ウェアラブルデバイスとの連携を紹介していたが、蓄積した技術が生かされる分野はもっと多岐にわたってよいはずだ。30年後に再びdynabookの歴史を振り返ったときには、新たな世界初・世界一が彩られていることを期待したい。(BCN・大蔵 大輔)