スマホ決済事業者にとって、コンビニはライバルか味方か
【スマホ決済事業者座談会】BCNでスマートフォン(スマホ)決済事業者座談会が開催された6月24日、議論中にPayPay・LINE Pay・メルペイの3社がセブン-イレブンで合同キャンペーンをするという情報が入った。その後は周知の通り、KDDI(au)のau PAYが楽天ペイの対応店舗で利用できるようになったり、LINE Payとメルペイ、NTTドコモがQRコードの読み取りを共通化したり、相次いで各社が連携を発表。スマホ決済サービスは第2ステージに移行しつつある。
日本のキャッシュレス比率を上げていく点では「みんなで盛り上げていきたい」との考えは一致する。また、Tポイントのように1業種1社などの縛りはなく、むしろ小売自身がより多くのキャッシュレス決済サービスに対応しようという動きがあるのも事実で「少なくとも店側でどこかを締め出すという動きはない」ようだ。
一方で少し先を見据えると、違った見方が生まれてくる。「日本に来た外国人がよく言うのは、店舗に何十個も決済手段のシールが貼っているのは見たことがないと。海外ではだいたい三つか四つに収れんされている」。座談会参加者からは外部から見たときの違和感が紹介された。「サービスが多くて加盟店側が迷惑するようであれば、競争は必要。統合という形になるかはわからないが、連携していければいい」といった意見も出た。
キャンペーン合戦については「原資は誰が持つのかという問題もある」という本音もポロリ。実際、家電量販などが一気にスマホ決済対応を進めた背景には「値引きの原資を負担してくれるのだから、使わない手はない」という思惑も見え隠れする。
もちろん各社は現状のように、キャンペーン原資の持ち出しがずっと続くとは考えておらず、新しい枠組みが必要との意見もあった。今振り返ると、まさにその後の各サービスの合従連衡が一つの解として示されたことになる。
キャッシュレス化の推進は、ユーザーである消費者への普及と同時に、対応する中小事業者数を増やす両輪が必要になる。スマホ決済事業者にとって、個店ごとの開拓は営業効率が悪いこともありネックになっている。そこで国が支援するというわけだ。
導入する中小事業者にとってネックとなっている端末コストと手数料は国が補助する。手数料率は期間中、3.25%以下になるようにし、しかもその3分の1を国が負担する。また、端末費用の3分の2を国が補助し、残り3分の1をキャッシュレス決済事業者が負担するため、中小事業者は無償で導入できる。
経営をデジタルで見える化することで「キャッシュレス化が店舗の売り上げに貢献する」ことを訴求するのも重要なミッション。中小企業に普及を促すには、大手企業以上に啓蒙活動に力を入れていく必要がありそうだ。(BCN・細田 立圭志)
参加者一覧(順不同):Origami PRコミュニケーション部 古見幸生 PRコミュニケーションディレクター、KDDI(au) ライフデザイン事業本部・新規ビジネス推進本部・金融決済ビジネス推進部 長野敦史 部長、LINE Pay 営業統括本部 Direct sales事業部 大清水康徳 事業部長、NTTドコモ パートナー推進室 田原務 担当部長、PayPay 事業推進室 柳瀬将良 室長、メルペイ 杉水流智之 Head of Enterprise Sales、楽天ペイメント 楽天ペイ事業本部・加盟店営業第一部 土田智之 エリア営業開発第三グループマネージャー。特別参加:経済産業省 商務・サービスグループ 小暮千賀明係長。司会進行:BCN+R編集長 細田立圭志、BCN+R記者 大蔵大輔、写真:BCN 松嶋優子
※参加者の写真は順不同で掲載。本文のコメントと必ずしも一致しない
キャンペーンの原資で思わず本音も
7月1日からセブン-イレブンが「7pay」、ファミリーマートが「ファミペイ」を開始したことで、スマホ決済事業者にとってこまれでパートナーだった小売事業者のコンビニエンスストアが、新たなライバルとして出現した。率直な意見を聞いてみたところ「敵か味方か。なかなかうまく話しにくいですね」と、やはりコメントはしにくかったようだ。日本のキャッシュレス比率を上げていく点では「みんなで盛り上げていきたい」との考えは一致する。また、Tポイントのように1業種1社などの縛りはなく、むしろ小売自身がより多くのキャッシュレス決済サービスに対応しようという動きがあるのも事実で「少なくとも店側でどこかを締め出すという動きはない」ようだ。
一方で少し先を見据えると、違った見方が生まれてくる。「日本に来た外国人がよく言うのは、店舗に何十個も決済手段のシールが貼っているのは見たことがないと。海外ではだいたい三つか四つに収れんされている」。座談会参加者からは外部から見たときの違和感が紹介された。「サービスが多くて加盟店側が迷惑するようであれば、競争は必要。統合という形になるかはわからないが、連携していければいい」といった意見も出た。
キャンペーン合戦については「原資は誰が持つのかという問題もある」という本音もポロリ。実際、家電量販などが一気にスマホ決済対応を進めた背景には「値引きの原資を負担してくれるのだから、使わない手はない」という思惑も見え隠れする。
もちろん各社は現状のように、キャンペーン原資の持ち出しがずっと続くとは考えておらず、新しい枠組みが必要との意見もあった。今振り返ると、まさにその後の各サービスの合従連衡が一つの解として示されたことになる。
10月の増税対策に期待
大きな転換点になると期待を寄せるのが、10月に予定される増税以降に国が中小企業対策に推進する「キャッシュレス・消費者還元事業」だ。同事業は消費税率の引き上げに伴う需要の平準化を狙ったもので、キャッシュレス決済を導入した中小規模事業者で19年10月から2020年6月まで買い物する際、消費者に購入金額の最大5%(大手コンビニチェーンなどは2%)のポイントを還元する。キャッシュレス化の推進は、ユーザーである消費者への普及と同時に、対応する中小事業者数を増やす両輪が必要になる。スマホ決済事業者にとって、個店ごとの開拓は営業効率が悪いこともありネックになっている。そこで国が支援するというわけだ。
導入する中小事業者にとってネックとなっている端末コストと手数料は国が補助する。手数料率は期間中、3.25%以下になるようにし、しかもその3分の1を国が負担する。また、端末費用の3分の2を国が補助し、残り3分の1をキャッシュレス決済事業者が負担するため、中小事業者は無償で導入できる。
経営をデジタルで見える化することで「キャッシュレス化が店舗の売り上げに貢献する」ことを訴求するのも重要なミッション。中小企業に普及を促すには、大手企業以上に啓蒙活動に力を入れていく必要がありそうだ。(BCN・細田 立圭志)
参加者一覧(順不同):Origami PRコミュニケーション部 古見幸生 PRコミュニケーションディレクター、KDDI(au) ライフデザイン事業本部・新規ビジネス推進本部・金融決済ビジネス推進部 長野敦史 部長、LINE Pay 営業統括本部 Direct sales事業部 大清水康徳 事業部長、NTTドコモ パートナー推進室 田原務 担当部長、PayPay 事業推進室 柳瀬将良 室長、メルペイ 杉水流智之 Head of Enterprise Sales、楽天ペイメント 楽天ペイ事業本部・加盟店営業第一部 土田智之 エリア営業開発第三グループマネージャー。特別参加:経済産業省 商務・サービスグループ 小暮千賀明係長。司会進行:BCN+R編集長 細田立圭志、BCN+R記者 大蔵大輔、写真:BCN 松嶋優子
※参加者の写真は順不同で掲載。本文のコメントと必ずしも一致しない