家電量販各社がボーナス商戦に突入し、今年も7月第3週にエアコン売り場が来店客であふれ返ることが予想される。エアコンを購入する予定なら、できるだけ早めに店舗に行くのが得策だ。実際に都市部の家電量販の売り場では、既にエアコンの設置工事の予約が2週間先や、それ以降まで埋まっている店舗も少なくない。家電量販のエディオンでは、こうした問題を解消するために、エアコンの即日もしくは翌日設置の取り組みにチャレンジしている。
エアコンの即日・翌日設置は、6月7日にオープンした同社にとって最大規模の店舗となるエディオンなんば本店でスタートした。記者会見で久保允誉会長兼社長執行役員は、「お客様は暑いからエアコンを買いに来ているわけで、(設置工事が1カ月も先という状況で)お客様に喜んでもらえますか?」と語りながら、5月下旬に北海道の観測史上初となる39.5度を記録した際に店舗対応が悪かった点を指摘した。
東北や北海道で急に暑くなり、エアコン売り場に顧客が殺到し、同エリアの店舗売り上げは前年比200%に急増した。しかし、肝心のエアコンの取り付け工事は1カ月先の7月という店舗が多かったのだ。
もともとエアコン設置業者の数が少ないエリアで即日・翌日設置が難しいという事情はあったものの、久保会長の言葉からは暑い時に設置できない不便を少しでも解消したいという気持ちがにじんでいた。
まずはスクール形式で番号のついた約30脚の椅子を並べて、顧客が接客を受けるまで座って待てるようになっている。その間、「エアコン設置確認書」に自宅住所や取り付ける部屋の間取り、住宅構造、リサイクル対象品の有無、化粧カバーの有無などチェック項目を記入してもらうことで時間を有効活用している。
また、近くに上位機種と普及機の気流の違いや湿度コントロール、空気清浄機能などの違いが体感できる「第一研究室」と「第二研究室」を設置して、上位機種のポイントを訴求している。
さらに、20年前と最新のエアコンを展示して、最新機種の省エネ性能の高さをアピール。年間電気代は、旧型のエアコンが3万2300円なのに対し、最新機種が2万200円。1年間で1万2100円の差は、15年で18万1500円もの開きになる。電気代の節約分を考慮すれば、新型モデルは決して高くない買い物であることを訴求している。
顧客がこうした知識を持った上で、スタンドタイプのテーブルでエアコンの商談が進む。顧客が売り場に来てから購入するまでの全体的な流れに、無駄な時間が生じないように工夫されている。
エアコン販売のピーク時は、店舗に行っても商談テーブルが埋まっていて、しかも1件当たりの接客時間が長いため、手持ち無沙汰にする顧客や、中にはしびれを切らして帰ってしまう顧客の姿を目にする。普段はゆっくり接客できる時間があっても、需要のピーク時にどうしても対応しきれない「漏れ」が生じてしまう。
顧客にとっては、不満足な体験にしかならない。エディオンなんば本店の取り組みは、いかに需要ピーク時の顧客の不満を減らすかという取り組みの参考になるだろう。また、そう頻繁に買い替えないエアコンをじっくり選びたい人は、暑くなる前にできるだけ早く、平日の昼など空いてる時間を狙うのがいいだろう。(BCN・細田 立圭志)
エアコンの即日・翌日設置は、6月7日にオープンした同社にとって最大規模の店舗となるエディオンなんば本店でスタートした。記者会見で久保允誉会長兼社長執行役員は、「お客様は暑いからエアコンを買いに来ているわけで、(設置工事が1カ月も先という状況で)お客様に喜んでもらえますか?」と語りながら、5月下旬に北海道の観測史上初となる39.5度を記録した際に店舗対応が悪かった点を指摘した。
東北や北海道で急に暑くなり、エアコン売り場に顧客が殺到し、同エリアの店舗売り上げは前年比200%に急増した。しかし、肝心のエアコンの取り付け工事は1カ月先の7月という店舗が多かったのだ。
もともとエアコン設置業者の数が少ないエリアで即日・翌日設置が難しいという事情はあったものの、久保会長の言葉からは暑い時に設置できない不便を少しでも解消したいという気持ちがにじんでいた。
売り場は「エアコン商戦シフト」
なんば本店のエアコン売り場では「エアコン夏商戦シフト」が組まれており、いかに顧客を待たせることなくスムーズに接客できるかの工夫が施されていた。まずはスクール形式で番号のついた約30脚の椅子を並べて、顧客が接客を受けるまで座って待てるようになっている。その間、「エアコン設置確認書」に自宅住所や取り付ける部屋の間取り、住宅構造、リサイクル対象品の有無、化粧カバーの有無などチェック項目を記入してもらうことで時間を有効活用している。
また、近くに上位機種と普及機の気流の違いや湿度コントロール、空気清浄機能などの違いが体感できる「第一研究室」と「第二研究室」を設置して、上位機種のポイントを訴求している。
さらに、20年前と最新のエアコンを展示して、最新機種の省エネ性能の高さをアピール。年間電気代は、旧型のエアコンが3万2300円なのに対し、最新機種が2万200円。1年間で1万2100円の差は、15年で18万1500円もの開きになる。電気代の節約分を考慮すれば、新型モデルは決して高くない買い物であることを訴求している。
顧客がこうした知識を持った上で、スタンドタイプのテーブルでエアコンの商談が進む。顧客が売り場に来てから購入するまでの全体的な流れに、無駄な時間が生じないように工夫されている。
エアコン販売のピーク時は、店舗に行っても商談テーブルが埋まっていて、しかも1件当たりの接客時間が長いため、手持ち無沙汰にする顧客や、中にはしびれを切らして帰ってしまう顧客の姿を目にする。普段はゆっくり接客できる時間があっても、需要のピーク時にどうしても対応しきれない「漏れ」が生じてしまう。
顧客にとっては、不満足な体験にしかならない。エディオンなんば本店の取り組みは、いかに需要ピーク時の顧客の不満を減らすかという取り組みの参考になるだろう。また、そう頻繁に買い替えないエアコンをじっくり選びたい人は、暑くなる前にできるだけ早く、平日の昼など空いてる時間を狙うのがいいだろう。(BCN・細田 立圭志)