「未来の家プロジェクト」を推進するand factoryなどは、報道関係者向けに「IoTスマートホーム」の内覧会を開催した。まずは、横浜市 経済局成長戦略推進部 高木秀昭 新産業創造課長がプロジェクトのコンセプトとこれまでの取り組みを説明。室内の見学の後、「第3回生活モニタリング実証実験」として実際に1週間、IoTスマートホームに住んだ被験者(60代男性)を招き、感想を語ってもらった。
第3回実証実験では、新たにリアルタイムのデータに応じてIoTデバイスが居住者に働きかける、いわゆる「ホームオートメーション(自動化)」機能を実装し、実用性や精度を検証した。例えば、玄関ドアを開けると自動でエアコンがオンになり、室内の照明がついて、スピーカーから「おかえりなさい」とねぎらいの声が届く。照明は気分にあわせて色味を変更でき、帰宅時に限り、香りデバイスからアロマが香る。
被験者の男性は、睡眠時無呼吸症候群ではないかと疑っており、病院に行く前にチェックしたいと思い、応募したという。面倒な設定をすることなく、毎日、ベッドの上で眠るだけで睡眠時間、心拍数、呼吸数などが分かり、血圧など他の測定結果とあわせ、身体をケアする意識が高まったそうだ。
「毎日、血圧の測定結果をみて“今日も高くない”と安心できた」「食事をスマートフォンで撮ってカロリーが分かり、少ない日はうれしかった」「エアコンは時期的にほとんど使わなかったが、テレビとエアコンなど、二つ以上の機器を同時に操作できないのは良しあしだと思った」と、率直な感想を語った。
加齢に伴い、人々の「健康」に対する興味関心は高まり、測定した血圧や睡眠データに異常があると通知や音声でスマホやスピーカーに異常を知らせる機能は、命を守る手段になり得る。横浜市の高木秀昭 新産業創造課長は、物珍しいIoTスマートホームが、高齢化が進む地域のコミュニティ活性化や現状の課題の気づきにつながると期待を寄せる。
未来の家プロジェクトは20年3月まで継続して実施。今後の第5フェーズでは、ドコモの中期計画2020「beyond宣言」に基づき、法人向けに顧客の課題開発を図る取り組み「トップガン」で、ハウスメーカーなどと連携した商用化を目指し、検証を進める。
今回、未来の家プロジェクトのIoTスマートホームに実際に住んでみた被験者は、住みたいかと問われると疑問だが、確かに便利なので「ありだと思った」と話した。エアコンの電源のオン/オフなど、日々欠かせない操作の自動化・省力化から健康状態の把握・管理まで幅広い可能性があるスマートホームは、今後の普及が十分に期待できる分野だろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
帰宅すると「おかえりなさい」 疲れを癒すアロマの香りも
実証実験に用いるIoTスマートホームは単身世帯を想定し、ミニキッチン、食事用カウンター、体重や睡眠データなどを表示するインフォメーション機能を備えたスマートミラー、テレビ、トイレなどを完備。窓は手動開閉だが、ブラインドや天窓の開閉はスマートフォン(スマホ)から操作する。ベッドはロフト部分にあり、下に敷いたIoTマットレス(睡眠センサー)で毎日の睡眠状態を計測する。第3回実証実験では、新たにリアルタイムのデータに応じてIoTデバイスが居住者に働きかける、いわゆる「ホームオートメーション(自動化)」機能を実装し、実用性や精度を検証した。例えば、玄関ドアを開けると自動でエアコンがオンになり、室内の照明がついて、スピーカーから「おかえりなさい」とねぎらいの声が届く。照明は気分にあわせて色味を変更でき、帰宅時に限り、香りデバイスからアロマが香る。
被験者の男性は、睡眠時無呼吸症候群ではないかと疑っており、病院に行く前にチェックしたいと思い、応募したという。面倒な設定をすることなく、毎日、ベッドの上で眠るだけで睡眠時間、心拍数、呼吸数などが分かり、血圧など他の測定結果とあわせ、身体をケアする意識が高まったそうだ。
「毎日、血圧の測定結果をみて“今日も高くない”と安心できた」「食事をスマートフォンで撮ってカロリーが分かり、少ない日はうれしかった」「エアコンは時期的にほとんど使わなかったが、テレビとエアコンなど、二つ以上の機器を同時に操作できないのは良しあしだと思った」と、率直な感想を語った。
IoTスマートホームを沿線活性化の一助にも
2017年6月に開始した未来の家プロジェクトは、「住むことで生活、暮らしをサポートする家」をコンセプトに、スマートホステル「&AND HOSTEL」を展開するand factory、横浜市、NTTドコモが立ち上げた。今年11月30日に新駅「羽沢横浜国大駅」が開業し、JR線と相互直通運転を開始する相模鉄道がプロジェクトに加わった後の実証実験は、全て相鉄線の沿線(旭区・泉区)で実施している。加齢に伴い、人々の「健康」に対する興味関心は高まり、測定した血圧や睡眠データに異常があると通知や音声でスマホやスピーカーに異常を知らせる機能は、命を守る手段になり得る。横浜市の高木秀昭 新産業創造課長は、物珍しいIoTスマートホームが、高齢化が進む地域のコミュニティ活性化や現状の課題の気づきにつながると期待を寄せる。
未来の家プロジェクトは20年3月まで継続して実施。今後の第5フェーズでは、ドコモの中期計画2020「beyond宣言」に基づき、法人向けに顧客の課題開発を図る取り組み「トップガン」で、ハウスメーカーなどと連携した商用化を目指し、検証を進める。
暮らしをより便利に・健康意識を高く
偶然か必然か、未来の家プロジェクトはパナソニックが18年11月に発表した暮らしの統合プラットフォーム「HomeX」と同じ方向性を目指している。積水ハウスもまた、「健康」を軸にしたサービスをメインに揃えた新たなスマートホーム事業「プラットフォームハウス」を立ち上げると発表。グラフや数値による「可視化」によって健康に対する意識を高め、実際に行動を促し、IoT機器が実際の生活をサポートするといったストーリーが描かれている。今回、未来の家プロジェクトのIoTスマートホームに実際に住んでみた被験者は、住みたいかと問われると疑問だが、確かに便利なので「ありだと思った」と話した。エアコンの電源のオン/オフなど、日々欠かせない操作の自動化・省力化から健康状態の把握・管理まで幅広い可能性があるスマートホームは、今後の普及が十分に期待できる分野だろう。(BCN・嵯峨野 芙美)