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家電量販に広がる「電子棚札」、エディオンなんば本店も全面導入

 インターネット通販にリアル店舗が対抗する手段として、価格変動に俊敏に反応できる「電子棚札」の導入が家電量販店でも広がっている。6月7日にオープンしたエディオンなんば本店でもデジタル家電や白物家電、サプライ品など積極的に採用した。「2018年8月から導入を開始し、新店を中心に効果が見込める一部店舗に導入している」という。上新電機やビックカメラなども導入を進める。

エディオンなんば本店の電子棚札

 電子棚札は、本部のPCで価格を変えるとサーバーを通じ店舗のプライスカードの表示が一斉に変わる。手書きなどによるミスが防げるだけでなく、プライスカードの張替え作業がなくなった分の労力を接客にあてることができる。

 過去に家電量販で勤務していた経験のある家電流通関係者は、「店舗裏の作業場で価格表示を変えて、何枚も一斉に並べて両面テープを一気に張ったり。プライスカードの張替え作業は地獄だった」と語る。

 とくに、ネット通販が広がるにつれて、ネットの価格が変動するたびに店舗のプライスカードを手作業で変更するには限界があった。

 PC専門店や中古スマートフォン(スマホ)の販売店などでは、SSDやHDD、スマホの価格変動の追随が死活問題なので部分的に比較的早くから導入されていた。ドスパラを展開するサードウェーブもそんな1社だ。
 
ドスパラの電子棚札(ドスパラ札幌店)

 家電量販では2016年ごろから上新電機が導入。「店員1人あたり30分かかっていた作業が、まるまる減って、その時間を接客にあてることができる」と、ジョーシン西宮今津店の店長はその効果について語る。

 エディオンなんば本店がオープンした6月7日、近くの上新電機の日本橋1ばん館でも、電子棚札が全面的に導入していた。
 
上新電機の電子棚札(ジョーシン西宮今津店)

 ビックカメラでは、18年12月にオープンした「ビックカメラセレクト京都四条河原町店」から実験的に採用。商品構成の半分以上が非家電の小物商品ということもあり、販売員の作業負担の軽減効果は大きかった。

 その後、導入店舗を急ピッチで増やし、19年2月にオープンしたビックカメラ 町田店では電子棚札を全面的に導入。宮嶋宏幸社長は、「小型店舗では導入していたが、中規模の店舗では初めて。導入にコストはかかるが、接客時間の増加につながるはず」と語っている。

 同店ではネット直販と連動させて、注文が入るとLEDライトが点滅する仕掛けを取り入れた。販売員がそれを目印に商品をピックアップすることで、「ネット取り置きサービス」に生かしている。
 
ビックカメラ町田店のネット直販と連動する電子棚札

 いわばリアル店舗をネット向けの物流センターに見立てて両立させることで、販売効率を相乗的に高めることができるわけだ。

 導入コストとの兼ね合いもあるが、人手不足の課題を抱える家電量販の現場にも電子棚札の導入が確実に広がってきている。(BCN・細田 立圭志)