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本日オープンの「エディオンなんば本店」、久保会長の一問一答

 6月7日にオープンしたエディオンなんば本店は、最新家電とアミューズメントを融合させた新しい家電量販店のスタイルを提案している。大阪・なんばで話題のスポットとなるために、5年前から構想を温めてきた。記者会見でエディオンの久保允誉会長兼社長執行役員が語った言葉から、この店舗に込めた思いが伝わる。冒頭の挨拶と一問一答は次の通り。

エディオンの久保允誉会長兼社長執行役員

家電とアミューズメントをミックスした店舗

【記者会見の言葉】

久保会長兼社長(以下、敬称略) 5年前に話を受けて、大阪でわれわれが思うような旗艦店がつくりたいということからはじまり、3年前に契約して今日に至る。どんなお客様が来るのかと、平日と土、日、始発から終電までカメラ6台をまわし続けた。そのお客様に合わせた店にするのか、それ以外のお客様も呼び込む店にするかですごく悩んだ。

 結論は今までにない店をつくっていくことだった。最近、(リアルの)小売業がネット通販に食われていると言われるが、それならネットにはないリアル店舗の良さを出していこうということで体験、体感をキーワードにした。

 そして、われわれが得意とする客層(40代以上)のほかにも、なんばや心斎橋に来られるお客様を呼び込んでいこうということで、家電とアミューズメントをミックスしたわくわく感や「楽しいからまた行ってみたい」と思っていただけるような店にした。

 また従来のお客様には、より高いサービスを提供していく。例えば、夏場のエアコンの即日取付ができるようにしたり、年配の方が帰宅される時間を見計らって炊飯器などをお届けする「エディオンバイク便」というサービスも提供していきたい。

 この店では、各コーナーにコンシェルジュを配置した。コーヒーコーナーには一級のバリスタがいるし、カメラコーナーも専門知識の豊富なスタッフがいる。われわれは商品を売るのではない。商品の価値を売っていくことがわれわれのテーマだ。テレビを買っていただくのではなく、テレビから映るコンテンツや楽しさを提供する。こうしたことが随所に出ている。

 先ほどのカメラで撮影した結果、なんばの交差点には年間2000万人が通ることが分かったので、2000万人の来店を目指したい。来店客数と売り上げが比例することは、広島のエディオン蔦屋家電でも実証されている。

 この店舗には世界初が三つ、日本初が四つ、業界初が七つあるので、ゆっくりとみていただきたい。

 また、最上階のラーメン一座には2時間並ぶ行列店の3店舗を含めた日本有数の人気店が9店舗入っているので、ぜひ食べていただきたい。
 
「楽しいからまた行ってみたい」と思う店にしたと語る久保会長

【質疑応答】

――相当の投資金額だと思うが、それでもこの店をここにつくりたいと思った狙いをあらためて聞きたい。

久保 本社機能がある大阪に旗艦店をつくってエディオンのイメージを上げていきたい。広島でもそうだが、核になる店舗があると全体の相乗効果が上がる。そういう経験は何度もしてきた。大阪の中心地でずっと4000坪から5000坪の店舗を探していた。タイミングよく縁があって出店することができた。この店舗を起点に大阪でのシェアを上げていきたい。

 大阪は(東京五輪後も)2025年の万博があり賑わっていく。そうしたことからも、早くこのような店舗をつくりたかった。

――年間2000万人の来店が達成すれば採算が取れるということか。

久保 いろんな出店を経験してきて、採算が取れないような店はつくらない。計画はあるが、やってみないとどこまでいくかは分からない。

――もともとは精華小学校の跡地でなんば駅前の好立地でオープンできたことについて。

久保 土地は縁。先ほど話したように6カ所でカメラを回した。来店客数はどれぐらいか、価格層はどうか、ベビーカーをひいてる家族はどれぐらいいるのかなどを調べて、「なんとしてもこの土地がほしい」と交渉を続けた。

 また、精華小学校の近隣の商店街の方が雰囲気を残してほしいということで工夫しているところもみていただきたい。
 
「ネットに勝てる店は、五感で楽しんでもらう店」

――都市型店舗を運営する上で広島のエディオン蔦屋家電のノウハウを反映した点はあるのか。もしくは、まったく新しいコンセプトを取り入れたのか。

久保 5年前にアマゾンが台頭して米国の小売業が衰退したときに、私は米国の小売店を回ってみてきた。そしたら、価格だけで、店のメンテナンスがまったくできていない店もたくさんあった。これではネット企業に負けるなぁと思った。

 ネットに勝てる店舗をつくっていかなければ、お客様にお店に来てもらえない。その一つが家電の良さを体感、体験でき、五感で楽しんでもらう店。もちろんエディオン蔦屋家電のアイデアもあるし、ただ家電を並べているだけではなく、次の新しい家電、アミューズメント性のある店舗にした。

 同時にテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの買い替え需要にもしっかりと対応できる店にしたい。東北や北海道で急に気候が暑くなり、売り上げで前年比200%の店舗も多い。ところがエアコンの取り付けは7月という店舗も多い。

 お客様は暑いからエアコンを買いに来ているわけで、これでお客様が喜んでもらえますか? この店舗では即日、翌日取り付けがしっかりできるようにしていきたい。またエディオンバイク便を走らせたり、いろんなことをこの店でトライしていきたい。

売上構成比は3割がインバウンド

――ビックカメラやヤマダ電機などの競合は、どのように意識していくのか。

久保 相手を知ることは大切。だけど、お客様にどうかということを常に考えなさいと社員に伝えている。いいものをいかに安く提供するかは小売業の基本。もうひとつは、常にお客様が望むサービスを提供する。お客様の困っていることを解決していくのが、われわれが掲げるお客様第一主義だ。

 だからヤマダ電機やビックカメラ、ヨドバシカメラではなく、われわれの強みをもっと出していこうと。それは配達、工事、接客をさらに磨いていくこと。あまり競合を意識するのではなく、われわれの強みを店や商品、人で出していくことを考えている。

――新しく取り込む客はどういう客か。

久保 キャッシュレスやポイントなどの新しい施策を打っている。エディオンは40代以上の方が多い。そういうお客様をしっかりと取り込むと同時に、20代、30代のニューファミリーの方々が子どもを連れて来店したくなるような店にしたい。今までエディオンが弱かった若いファミリー層を取り込むような商品構成や売り場づくりを意識した。

――インバウンド(訪日外国人旅行客)の比率はどうみているのか。

久保 マーケティングはどういう流れになっているかをしっかり調べて対応するものだと、私は考えている。ずっとカメラを回した結果、3割のお客様がインバウンドであることがわかった。売り上げの3割をインバウンドで出すために、8階はインバウンドを意識した売り場にした。

 インバウンド専門の120坪のエディオン道頓堀店は、1000坪のレギュラー店舗と同じ売り上げ。48坪のエディオン心斎橋店は、500坪の店と同じ売り上げ。(なんば本店の売上高の)3割ぐらいはインバウンドでとれるのではないか。