【家電コンサルのリテールマーケティング 特別編】 今年のボーナス商戦は秋に予定されている消費増税も視野に入れた9月末までの長い商戦になる。6月にスタートする商戦直前のチェック項目について考えてみた。
夏のボーナス商戦のポイントは(1)販売の効率化、(2)ついで買いの想起――の二つが挙げられる。
まず販売の効率化であるが、消費増税の実施が10月1日に予定となっていることから、秋の駆け込み需要に入る前の夏場に、エアコンと冷蔵庫は早期刈り取りをするために重点的に取り組むケースが多いだろう。
特に、エアコンは工事が伴うため注意が必要で、例年通り、最短工事日の把握やスケジュール状況の店頭訴求を行うことが大切だ。これに加えて、エアコンの売り逃しを減らすために物流在庫を小まめに確認し、ボトムや主力機種の在庫が切れた場合の「次の機種」を考えておこう。すると、現場でも展示の応急措置がしやすく、メンバー全員が情報を共有できる。
見逃しやすいのが「扇風機の販売の効率化」である。多くの売り場では、エアコンと扇風機を近くに展示している。そのため、扇風機について顧客から呼び止められると、エアコン販売に人が回せなくなる。
思い切って扇風機をエアコンの売り場から離し、レジ前や入口付近でカゴ台車に山積みする手法も考える必要がある。
また、来店客数が増えれば、担当商品以外の接客も増えるため、各カテゴリーでカタログを切らさないようチェックしよう。加えて、低単価商品は全てズバリ価格の表示を行い、接客時間の短縮を図ることも大切である。
さて、来店客数が増える商戦期は客単価をアップするチャンスでもある。特に、今回は消費増税という駆け込み需要が発生することが予想されるため、「増税前のこの機会に…」という訴求が効果的である。
例えば、冷蔵庫コーナーに炊飯器を山積みすれば、商品から関連する商品の必要性を想起させることができる。各カテゴリーにおいて、関連性の高いセット展開(TV+BD、電子レンジ+炊飯器など)を考えながら展開することが望まれる。
また、「ついで買い」を想起させて成約に持っていくには、クレジット訴求で「買いやすさを演出する」ことも効果的である。特に、価格の高い拡販指定機種については単品でクレジット訴求がついているかどうかもチェックポイントだと言える。
最後に、来店客数の増加を利用して「Windows 7サポート終了」に加え、「プログラミング教育」の訴求を強化すれば、その先の年末商戦への意識付けや前倒し需要の獲得も期待できる。
今回の夏期商戦は、消費増税前の特需を想定した異常値を狙う商戦でもある。ぜひ、効率化と単価アップを図り、成功を収めてもらいたい。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
夏のボーナス商戦のポイントは(1)販売の効率化、(2)ついで買いの想起――の二つが挙げられる。
まず販売の効率化であるが、消費増税の実施が10月1日に予定となっていることから、秋の駆け込み需要に入る前の夏場に、エアコンと冷蔵庫は早期刈り取りをするために重点的に取り組むケースが多いだろう。
特に、エアコンは工事が伴うため注意が必要で、例年通り、最短工事日の把握やスケジュール状況の店頭訴求を行うことが大切だ。これに加えて、エアコンの売り逃しを減らすために物流在庫を小まめに確認し、ボトムや主力機種の在庫が切れた場合の「次の機種」を考えておこう。すると、現場でも展示の応急措置がしやすく、メンバー全員が情報を共有できる。
見逃しやすいのが「扇風機の販売の効率化」である。多くの売り場では、エアコンと扇風機を近くに展示している。そのため、扇風機について顧客から呼び止められると、エアコン販売に人が回せなくなる。
思い切って扇風機をエアコンの売り場から離し、レジ前や入口付近でカゴ台車に山積みする手法も考える必要がある。
また、来店客数が増えれば、担当商品以外の接客も増えるため、各カテゴリーでカタログを切らさないようチェックしよう。加えて、低単価商品は全てズバリ価格の表示を行い、接客時間の短縮を図ることも大切である。
さて、来店客数が増える商戦期は客単価をアップするチャンスでもある。特に、今回は消費増税という駆け込み需要が発生することが予想されるため、「増税前のこの機会に…」という訴求が効果的である。
例えば、冷蔵庫コーナーに炊飯器を山積みすれば、商品から関連する商品の必要性を想起させることができる。各カテゴリーにおいて、関連性の高いセット展開(TV+BD、電子レンジ+炊飯器など)を考えながら展開することが望まれる。
また、「ついで買い」を想起させて成約に持っていくには、クレジット訴求で「買いやすさを演出する」ことも効果的である。特に、価格の高い拡販指定機種については単品でクレジット訴求がついているかどうかもチェックポイントだと言える。
最後に、来店客数の増加を利用して「Windows 7サポート終了」に加え、「プログラミング教育」の訴求を強化すれば、その先の年末商戦への意識付けや前倒し需要の獲得も期待できる。
今回の夏期商戦は、消費増税前の特需を想定した異常値を狙う商戦でもある。ぜひ、効率化と単価アップを図り、成功を収めてもらいたい。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。