4月1日に既報した通り、インテル製CPUのひっ迫に起因するAMDのシェア上昇は今も続いている。全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」週次データ(2018年10月1日週~19年4月8日週)によれば、パーツ単体としてのAMD製CPUの販売シェアは、直近の4月8日週では46.9%と、ここ半年では最大値を記録。インテルに肉薄する動きとなっている。
前回
インテルCPUのひっ迫でシェア低下、鈴木社長は「19年中に改善」
https://www.bcnretail.com/market/detail/20190401_112332.html
PCパーツ単体のCPU市場におけるAMDの販売台数シェアは、17年までは5~10%にとどまり、インテルの優位性が際立っていた。当時、PS4などコンソール機へのOEMが中心だったAMDは、17年3月にクロック当たりの処理能力を5割以上向上させた「ZENマイクロアーキテクチャ」を採用したCPUとして、「Ryzen」シリーズを発売。その直後には20%を超えるシェアを獲得し、「CPUといえばインテル」といわれた市場に一石を投じ、自作ユーザーや販売サイドとなるパソコンショップに歓迎されたものだ。インテルによる一社独占の打破に向けてAMDの攻勢は続き、その後も2割前後のシェアを維持してきたが、ここにきてインテル製CPUのひっ迫がAMDのシェア拡大を推し進める思いがけない追い風が吹くことになった。インテルが発表したように、供給が安定し需給バランスが改善するのが今年12月とすれば、今年の夏期商戦でもAMDの躍進が続く可能性は高い。
一方、パーツではなくPCに搭載されるCPUをみていくと、ノートPCではAMD製を採用するメーカーが増加傾向にある。インテル製CPUのひっ迫が取り沙汰された昨年10月時点でのCPUメーカー別シェアは、インテルが98.3%を占有、AMDはわずか1.7%にとどまっていた。しかし、今年に入り様相は徐々に変化し、3月のAMDのシェアは7%にまで上昇した。
ここ1、2カ月、AMD製CPUの搭載率が高まったのがNECだ。この要因は、今年2月に販売を開始した春モデルにある。表は今年2月~3月のNEC製ノートPC春モデルの機種別シェアを示している。赤く表示したのがAMD製CPU搭載の春モデルで、この中で3製品が占める割合は半数を超える。販売価格はインテルの「Core i7」相当スペックを持つ「AMD Ryzen 7」を搭載した「LAVIE Note Standard」シリーズが13万円~13万7000円。一方、「Core i5」搭載の「LAVIE Note Mobile」シリーズは13万4800円~13万9000円で、Standardシリーズとほぼ同一の価格帯。このため、Standardシリーズに人気が集中していることが分かる。
なおMobileシリーズは、モニタ解像度はフルHD、指紋認証機能を搭載し、重さも0.91kgと軽い点にStandardシリーズにはない特徴があるので、CPUのグレードだけでこの2モデルの価値を単純に比較することはできない。ただ、CPUのグレードの違いで処理性能に大きな差が生じるため、Core i7相当のCPUであるRyzen 7搭載モデルをコストパフォーマンスが高いと判断して、消費者が選択する方向にあることは否定できない。
「BCNランキング」における年間販売集計で、ノートPCを最も多く販売し、「BCN AWARD」ノートPC部門を獲得する程のトップメーカーであるNECがスタンダードモデルとして採用したAMD製CPU。引き続き、インテル製CPUのひっ迫が続けば、NECだけでなく競合するメーカーも導入を強める可能性は大きい。当面、両社の攻防が激化することになりそうだ。(BCN・栃木亮範)
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インテルCPUのひっ迫でシェア低下、鈴木社長は「19年中に改善」
https://www.bcnretail.com/market/detail/20190401_112332.html
PCパーツ単体のCPU市場におけるAMDの販売台数シェアは、17年までは5~10%にとどまり、インテルの優位性が際立っていた。当時、PS4などコンソール機へのOEMが中心だったAMDは、17年3月にクロック当たりの処理能力を5割以上向上させた「ZENマイクロアーキテクチャ」を採用したCPUとして、「Ryzen」シリーズを発売。その直後には20%を超えるシェアを獲得し、「CPUといえばインテル」といわれた市場に一石を投じ、自作ユーザーや販売サイドとなるパソコンショップに歓迎されたものだ。インテルによる一社独占の打破に向けてAMDの攻勢は続き、その後も2割前後のシェアを維持してきたが、ここにきてインテル製CPUのひっ迫がAMDのシェア拡大を推し進める思いがけない追い風が吹くことになった。インテルが発表したように、供給が安定し需給バランスが改善するのが今年12月とすれば、今年の夏期商戦でもAMDの躍進が続く可能性は高い。
一方、パーツではなくPCに搭載されるCPUをみていくと、ノートPCではAMD製を採用するメーカーが増加傾向にある。インテル製CPUのひっ迫が取り沙汰された昨年10月時点でのCPUメーカー別シェアは、インテルが98.3%を占有、AMDはわずか1.7%にとどまっていた。しかし、今年に入り様相は徐々に変化し、3月のAMDのシェアは7%にまで上昇した。
ここ1、2カ月、AMD製CPUの搭載率が高まったのがNECだ。この要因は、今年2月に販売を開始した春モデルにある。表は今年2月~3月のNEC製ノートPC春モデルの機種別シェアを示している。赤く表示したのがAMD製CPU搭載の春モデルで、この中で3製品が占める割合は半数を超える。販売価格はインテルの「Core i7」相当スペックを持つ「AMD Ryzen 7」を搭載した「LAVIE Note Standard」シリーズが13万円~13万7000円。一方、「Core i5」搭載の「LAVIE Note Mobile」シリーズは13万4800円~13万9000円で、Standardシリーズとほぼ同一の価格帯。このため、Standardシリーズに人気が集中していることが分かる。
なおMobileシリーズは、モニタ解像度はフルHD、指紋認証機能を搭載し、重さも0.91kgと軽い点にStandardシリーズにはない特徴があるので、CPUのグレードだけでこの2モデルの価値を単純に比較することはできない。ただ、CPUのグレードの違いで処理性能に大きな差が生じるため、Core i7相当のCPUであるRyzen 7搭載モデルをコストパフォーマンスが高いと判断して、消費者が選択する方向にあることは否定できない。
「BCNランキング」における年間販売集計で、ノートPCを最も多く販売し、「BCN AWARD」ノートPC部門を獲得する程のトップメーカーであるNECがスタンダードモデルとして採用したAMD製CPU。引き続き、インテル製CPUのひっ迫が続けば、NECだけでなく競合するメーカーも導入を強める可能性は大きい。当面、両社の攻防が激化することになりそうだ。(BCN・栃木亮範)