NEC・富士通・レノボ・Dynabook……最新のPCメーカー上位4社
今から5年前、2014年の春は、5%から8%への消費税率引き上げと「Windows XP」のサポート終了が重なり、PCの販売はかなりの活況を呈した。XP特需後、業界再編が再び始まり、ブランド名こそ以前と変わっていないが、親会社の資本関係で「国内/海外」に分類すると、上位に純然たる国内メーカーは皆無だ。
Windows XP特需以降の動きを振り返ると、14年7月にソニーのPC事業を分社化した新会社VAIOが発足し、いち早く小回りのきくオンライン直販中心に移行した。16年には、東芝のPC事業(dynabook事業)を継承した東芝情報機器が社名変更した東芝クライアントソリューション、同様に富士通のPC事業を継承した富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が発足。17年11月、レノボと富士通の提携によって、FCCLはレノボグループに入った。
一方、東芝のdynabook事業は、不正会計問題に端を発した組織再編のため、売却検討中と報じられ、18年6月、ついに売却が決まった。買収に名乗りを上げたのは、鴻海グループ入りしたシャープ。今年1月には東芝クライアントソリューションからブランド名と同じ読みのDynabookに社名を変更し、新たなスタートを切った。
18年のノートPCのメーカー別販売台数トップ3は、NEC(20.0%)、富士通(16.4%)、東芝クライアントソリューション(現Dynabook、16.4%)。しかし、直近の19年1月~3月の累計では、NEC(22.2%)、富士通(18.7%)に続き、レノボ・ジャパン(13.5%)、Dynabook(11.0%)が僅差で並び、シェア15%超の2強と、それを追う3位グループという状況だ。さらに、タブレットでも高いシェアをもつApple(9.7%)、ASUS(9.3)が続き、この6社が現在の主要ノートPCメーカーといえる。
Dynabookのシェアは、社名変更の直前から落ち込んでおり、富士通やNECが取った、長年ユーザーに親しまれた企業名・ブランド名を継続する戦略のほうが立て直し策として正解だったかもしれない。
以前はPCの主な用途だったインターネット検索・オンラインショッピング、年賀状作成がスマホ・タブレットに流れ、Amazonからディスプレイ付きスマートスピーカーが登場している今、Windows搭載PCがもっと多く売れるためには、Appleに倣い、「スマホと同じメーカーで揃えるメリット」のアピールが最も効果的ではないだろうか。
新生Dynabookの第一弾となるモデルは、シャープのスマホ「AQUOS」でおなじみ、省電力・高精細な「IGZO液晶ディスプレイ」を搭載した製品だった。しかし、Appleのように深部まで連携してこそ、買収によるシナジー効果といえる。今後、シャープ製スマホ+PC「dynabook」といった連携が密になるのか、他のメーカーの動向も含めて注視したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
販売不振下で再び始まったメーカー再編 東芝はシャープ傘下へ
家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、集計対象店舗で販売されたタブレット端末、ノートPC、デスクトップPCを合算した18年のPC全体の年間販売台数は、前年比97.1%の微減だった(※マイクロソフトのSurfaceシリーズ、Amazon Kindleシリーズは含まない)。平均単価がやや上昇した結果、販売金額は101.3%と前年をわずかに上回り、AppleのiPadに限ると、台数ベースで前年比120.9%・金額ベースで124.5%と大幅増だった。Windows XP特需以降の動きを振り返ると、14年7月にソニーのPC事業を分社化した新会社VAIOが発足し、いち早く小回りのきくオンライン直販中心に移行した。16年には、東芝のPC事業(dynabook事業)を継承した東芝情報機器が社名変更した東芝クライアントソリューション、同様に富士通のPC事業を継承した富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が発足。17年11月、レノボと富士通の提携によって、FCCLはレノボグループに入った。
一方、東芝のdynabook事業は、不正会計問題に端を発した組織再編のため、売却検討中と報じられ、18年6月、ついに売却が決まった。買収に名乗りを上げたのは、鴻海グループ入りしたシャープ。今年1月には東芝クライアントソリューションからブランド名と同じ読みのDynabookに社名を変更し、新たなスタートを切った。
18年のノートPCのメーカー別販売台数トップ3は、NEC(20.0%)、富士通(16.4%)、東芝クライアントソリューション(現Dynabook、16.4%)。しかし、直近の19年1月~3月の累計では、NEC(22.2%)、富士通(18.7%)に続き、レノボ・ジャパン(13.5%)、Dynabook(11.0%)が僅差で並び、シェア15%超の2強と、それを追う3位グループという状況だ。さらに、タブレットでも高いシェアをもつApple(9.7%)、ASUS(9.3)が続き、この6社が現在の主要ノートPCメーカーといえる。
Dynabookのシェアは、社名変更の直前から落ち込んでおり、富士通やNECが取った、長年ユーザーに親しまれた企業名・ブランド名を継続する戦略のほうが立て直し策として正解だったかもしれない。
個人向けにWindows PCがもっと売れるには
日本の個人向けPC市場は、ハードとOSを一貫して手掛け、独自路線を貫くAppleの存在感も大きい。「BCNランキング」によると、Appleは、15年、17年、18年と、タブレットを含むPC全体の年間販売台数1位を獲得。最新版は18年9月配信開始の「macOS Mojave」となるmacOSは、iOSのアプリや連携機能を取り入れ、進化している。以前はPCの主な用途だったインターネット検索・オンラインショッピング、年賀状作成がスマホ・タブレットに流れ、Amazonからディスプレイ付きスマートスピーカーが登場している今、Windows搭載PCがもっと多く売れるためには、Appleに倣い、「スマホと同じメーカーで揃えるメリット」のアピールが最も効果的ではないだろうか。
新生Dynabookの第一弾となるモデルは、シャープのスマホ「AQUOS」でおなじみ、省電力・高精細な「IGZO液晶ディスプレイ」を搭載した製品だった。しかし、Appleのように深部まで連携してこそ、買収によるシナジー効果といえる。今後、シャープ製スマホ+PC「dynabook」といった連携が密になるのか、他のメーカーの動向も含めて注視したい。(BCN・嵯峨野 芙美)