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「駅すぱあと」でMaaS Tech Japanと協業、地域モビリティで新サービス開発へ

経営戦略

2019/04/17 17:00

【「駅すぱあと」の今までとこれから・7】 経路検索サービス「駅すぱあと」をベースとして従来の協力関係を維持しながら、これまでとは異なった新たなパートナーシップを模索するヴァル研究所(ヴァル研)。次世代の移動手段が広がる社会の実現を目的に、さまざまなパートナーシップを組むことに力を入れている。2019年2月には、MaaS(Mobility as a Service)関連ビジネスを手掛けるMaaS Tech Japanと地域モビリティのMaaS分野に向けた新たなサービス開発を目的としたプロジェクトを開始した。

MaaS Tech Japanの日高洋祐代表取締役CEO(左)とヴァル研究所の太田信夫社長

 プロジェクトは、ヴァル研が経路検索サービスを生かして開発部分を担当し、MaaS Tech Japanが国内外のMaaSやモビリティサービスのノウハウを駆使して施策の構築部分を担う。人口の減少や高齢者の増加、加えて鉄道やバスなど事業の赤字化や担い手不足を打破するための協業体制を敷く。MaaS Tech Japanの日高洋祐代表取締役CEOは、「MaaSによって、地域で抱える交通や移動に関する課題を解決することにつなげたい」としている。

 MaaS Tech Japanは、MaaS関連の交通や都市に貢献できるプラットフォーム構築、MaaSに関連する交通事業者や都市開発、さまざまな事業会社がMaaS事業を成功に導くためのビジネスコンサルティングを手掛けている。

 「ユーザーがさまざまなモビリティサービスを、あたかも一つのサービスとして自由に使えるMaaSの概念を日本で広めるために設立した」と語る日高代表取締役CEOは、元JR東日本の社員。大手鉄道会社で交通インフラの設計に携わった実績をもとに起業したのだ。
 
「国内でMaaSを広める」と訴えるMaaS Tech Japanの日高代表取締役CEO

 鉄道やバス、タクシー、カーシェア、シェアサイクリングなど、各交通サービスはさまざまな特性を持つ。一方、徐々に交通インフラが連携しつつあるものの、現段階では全てが連携しているとはいい切れない。「さまざまな特性の良さを意識して、プラットフォームビジネスを手掛けるプレイヤーが必要」と、日高代表取締役CEOはいう。

 そのためにMaaS Tech Japanは交通事業者間や都市、ユーザーが連携可能なプラットフォームの開発を進めているわけだが、「単に交通サービスをつなぎ合わせるのではなく、横断的にデータをAIによって最適化して、ユーザーや事業者にとって価値あるものを提供していく」という。

 そこで重要になってくるのは、地図データ、各交通事業者の運賃、運行情報、取引データなど、データ交換を可能にする共通のサービスAPIを提供し、データを統合的に組み合わせる統合サービス事業者(MaaSオペレータ)が、利用者のリクエストに応えることだ。プラットフォームを構築し、MaaSオペレータの役割になることが、MaaS Tech Japanの目指す姿になる。
 
MaaSサービスのイメージ

 ヴァル研とパートナーシップを組んだ理由については、「日本の交通では分単位、1円単位など、情報の正確性が重要になってくる。交通事業者さまが苦労して時間通りに運行しようとする努力をその情報を扱う人が正しく扱わないといけない。その点において、長年にわたってユーザーや経費精算をする企業からの信頼が厚いヴァル研さんと協業することが最適」と、日高代表取締役CEOは判断したという。

 ヴァル研にとっては、「新しいビジネスモデルを展開する上で、MaaSに関する知見やエコシステムを構築する考え方など、MaaS Tech Japanさんしかいないと判断した」(太田社長)とのことだ。

 日高代表取締役CEOは、「MaaSが普及すれば、交通はさまざまな新産業や新技術の導入を促進する土台になる。MaaSによって、新しい交通インフラが構築された際、さらに新しいサービスが生まれる」と確信する。MaaS Tech Japanとヴァル研は、実現に向けて交通ビジネスを手掛ける関連事業者など、さまざまな企業とのパートナーシップ強化を進めていく方針だ。