【パリ発】世界最大のスポーツ用品店「デカトロン(Decathlon)」が3月29日、いよいよ日本に上陸する。世界51カ国に約1500店舗を展開、2018年度の売上高は1兆3000億円。低価格かつ高機能を売りとする業態は、作業着を販売するワークマンが立ち上げた「ワークマンプラス」が記憶に新しいが、デカトロンは世界規模でそのビジネスモデルを推進してきた黒船といえる。店舗の雰囲気を知るために、一足先にパリ市街にある「デカトロン パリ マドレーヌ店」を視察してきた。
デカトロンの特徴はメジャーからマイナーまで幅広いスポーツの専門用品を安価で揃えていること。そして、その多くがデカトロン自らが製造するオリジナルブランドであることだ。SPA(製造小売り)として成長してきた同社の商品は、細分化されたそれぞれのブランドでヒット商品を生み出しており、高い支持を得る理由となっている。
現在、イスラム教徒の女性向けにランニング用ヒジャブ(頭を隠す布)を発表し、フランス国内で物議をかもしたが(2月26日に「中傷の波と前例のない脅迫を受けたため」という理由で販売の取り止めを決定)、こうしたセンセーショナルな商品が出てくるのは、デカトロンの企画力の高さを証明しているといえるだろう。
「デカトロン パリ マドレーヌ店」は、パリ中心街のマドレーヌ広場からほど近い好立地に位置する(Metro Madeleine, 23 Boulevard de la Madeleine, Paris)。アクセスがよいので、観光客でも訪れやすい。
店内はスポーツやアウトドアのアクティビティごとにコーナーが細分化されている。サッカーやゴルフ、柔道などはもちろん、聞いたことのないようなマイナースポーツ(ゲーム?)の用具も多種多様に揃っていた。
日本で注目を集めるであろうカジュアル服の種類も豊富だった。子供服も充実しており、来店客は家族連れも多かった。このほか、トラッキングやヘルスケア機能などを搭載するスマートウォッチやプロテインなどのコーナーも大きく構えている。
リテールテックの観点からも注目すべきポイントがあった。それが、店内の各所に設けられたスマートディスプレイだ。デカトロンの商品はそれぞれRFIDタグが備わっており、商品をディスプレイ下の読み取り部にかざすと、同一商品のカラーラインアップ、ユーザー評価、詳細な性能、他店舗の在庫状況など、さまざまな情報にアクセスできる。
フランス語がほとんど理解できない記者でも、商品名の入力などが発生しないので、簡単に使いこなすことができた。接客頻度が下がるため、販売員は品出しに集中できる。実際、同店は売り場面積の割りに、販売員の数がずいぶんと少ないように感じた。“激安”の裏には、表に出ていないものも含めてこうした省人化の取り組みがありそうだ。
日本第1号店となる店舗は兵庫県西宮市の商業施設「阪急西宮ガーデンズ」にオープンする。同店では30種類以上のスポーツ用品、アウトドア用品の売り場を展開するほか、キャンプ用テントの展示スペースやヨガ・フィットネスの体験ゾーン、シュノーケリングマスクの体験コーナーなどを設置。定期的にスポーツイベントやワークショップを開催する予定だという。
実は競合にあたるワークマンは3月21日に同市に関西1号店となる「ワークマンプラス」をオープンしたばかり。真っ向からデカトロンを迎え撃つ姿勢を見せていることも興味深い。市場が拡大し始めたばかりの低価格・高機能というアパレルトレンドは、早くも業界の今後を占う重要局面を迎えることになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)
デカトロンの特徴はメジャーからマイナーまで幅広いスポーツの専門用品を安価で揃えていること。そして、その多くがデカトロン自らが製造するオリジナルブランドであることだ。SPA(製造小売り)として成長してきた同社の商品は、細分化されたそれぞれのブランドでヒット商品を生み出しており、高い支持を得る理由となっている。
現在、イスラム教徒の女性向けにランニング用ヒジャブ(頭を隠す布)を発表し、フランス国内で物議をかもしたが(2月26日に「中傷の波と前例のない脅迫を受けたため」という理由で販売の取り止めを決定)、こうしたセンセーショナルな商品が出てくるのは、デカトロンの企画力の高さを証明しているといえるだろう。
「デカトロン パリ マドレーヌ店」は、パリ中心街のマドレーヌ広場からほど近い好立地に位置する(Metro Madeleine, 23 Boulevard de la Madeleine, Paris)。アクセスがよいので、観光客でも訪れやすい。
店内はスポーツやアウトドアのアクティビティごとにコーナーが細分化されている。サッカーやゴルフ、柔道などはもちろん、聞いたことのないようなマイナースポーツ(ゲーム?)の用具も多種多様に揃っていた。
日本で注目を集めるであろうカジュアル服の種類も豊富だった。子供服も充実しており、来店客は家族連れも多かった。このほか、トラッキングやヘルスケア機能などを搭載するスマートウォッチやプロテインなどのコーナーも大きく構えている。
リテールテックの観点からも注目すべきポイントがあった。それが、店内の各所に設けられたスマートディスプレイだ。デカトロンの商品はそれぞれRFIDタグが備わっており、商品をディスプレイ下の読み取り部にかざすと、同一商品のカラーラインアップ、ユーザー評価、詳細な性能、他店舗の在庫状況など、さまざまな情報にアクセスできる。
フランス語がほとんど理解できない記者でも、商品名の入力などが発生しないので、簡単に使いこなすことができた。接客頻度が下がるため、販売員は品出しに集中できる。実際、同店は売り場面積の割りに、販売員の数がずいぶんと少ないように感じた。“激安”の裏には、表に出ていないものも含めてこうした省人化の取り組みがありそうだ。
日本第1号店となる店舗は兵庫県西宮市の商業施設「阪急西宮ガーデンズ」にオープンする。同店では30種類以上のスポーツ用品、アウトドア用品の売り場を展開するほか、キャンプ用テントの展示スペースやヨガ・フィットネスの体験ゾーン、シュノーケリングマスクの体験コーナーなどを設置。定期的にスポーツイベントやワークショップを開催する予定だという。
実は競合にあたるワークマンは3月21日に同市に関西1号店となる「ワークマンプラス」をオープンしたばかり。真っ向からデカトロンを迎え撃つ姿勢を見せていることも興味深い。市場が拡大し始めたばかりの低価格・高機能というアパレルトレンドは、早くも業界の今後を占う重要局面を迎えることになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)