2001年に始まったインターネット常時接続サービスが普及して以来、賃貸物件探しの重要ポイントに「インターネット接続環境」が加わった。節約のため、スマートフォンやモバイルWi−Fiルーターのテザリングだけで済ませようと考える人もいるかもしれないが、つなぐ機器によっては無線LAN(Wi-Fi)必須・テザリング不可のケースもあるので、引っ越し後、落ち着いたら固定回線とWi-Fiを導入したい。
とはいえ、無線LAN親機(アクセスポイント)の設置場所には悩むところ。LANケーブルでつなぐため、レンタル提供を受けた回線終端装置またはLANポートが備わったマルチメディアコンセントのそばに親機を置く必要があるが、賃貸物件では、回線終端装置を設置した近くにコンセントがあるとは限らない。
また、従来のWi-Fiネットワークは縦方向に弱く、親機のすぐ前、同じフロアの離れた場所、別のフロアでは、通信速度は大きく異なっていた。特に戸建住宅は、回線終端装置の設置場所にあわせて1階に親機を置くと、2・3階に電波が届かず、届いても不安定で速度が出ないといったトラブルが多発していた。
ユーザーも、インターネット接続のワイヤレス化のデメリットとして、場所によって速度や電波状況は変わって当たり前(遅くなってもやむなし)と、多くの人は思い込んでいる。しかし、都心部では、1階はビルトインガレージ、浴室、納戸、2階はリビング、3階は寝室という縦に長い間取りの3階建て住宅が増え、1階の玄関付近に親機を設置すると、2階や3階でWi-Fiが使えないという状況はもはや看過できない問題になってきた。
従来のWi-Fiを置き換える新型Wi-Fiともいえる、2018年4月発売の「Google Wifi」をはじめとする、メッシュネットワークを搭載した製品(メッシュWi-Fi)なら、フロアを問わず、どこでも同じ体感速度。Wi-Fiにつながらない、つながっているけれど遅いといった不満は解消されるという。
メッシュネットワークとは、複数のWi-Fiアクセスポイントを設置して、その間を「網の目」のように接続し、より広い範囲に最適なWi-Fi環境を提供する技術。従来の親機・Wi-Fi電波を増幅する中継機という仕組みではなく、中継機を兼ねた親機を部屋の広さ・階数にあわせて設置し、ネットワークシステムを構築する。
複数のアクセスポイントのSSIDは共通で、接続先を自動的に切り替える仕組みなので、まずはWi-Fiアクセスポイントを1台設置し、スマホアプリで必要な設定が完了すれば、それ以降、設置するWi-Fiアクセスポイントにはその設定が自動的に反映される。
そこで、リビング、リビング横の洋室、廊下に「VELOP」3台を設置したところ、非メッシュのネットワークでは電子レンジや他のPCを使うと電波が途切れ、止まってしまう事態が多発していたAndroid TV搭載テレビでスムーズにYouTubeやAmazon プライム・ビデオの4K動画が見られるようになった。
自動的に通信環境を最適化するため、Wi-Fi利用時、どのアクセスポイントにつながっているかを意識することはなく、一度設置すれば従来と同じ感覚で使える。特に何も気にしないでOKだ。
「VELOP」は小規模住宅向けの2個セットと、3階建て住宅や部屋数の多いマンション向けの3個セットがあり、1台をコンセントと回線終端装置または室内LANポートに接続し、残りは1台目を設置した部屋に隣接した部屋などのコンセントにつなぐだけ。初期設定時に光回線の接続ID・パスワードを入力する必要があるため、1台目は少々手こずったが、2台目以降はとても手軽だった。
販売中の「VELOP」トライバンドモデルは、IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz)、802.11n/ac(5GHz)、Bluetooth 4.0LEに対応し、最大2200Mbps(867+867+400Mbps)で通信可能。税込みの実勢価格は、1個1万9970円、2個セットが3万4254円、3個セットが5万918円前後(Amazon.co.jp参照)と、無線LAN機器としてはかなり高額だが、今後ますますコンテンツが増えそうな、ストリーミング型の4K動画配信サービスを視聴するなら導入しても損はないだろう。
さらに最近は、エアコン、冷蔵庫、ロボット掃除機など、Wi-Fi経由でインターネットに接続して遠隔操作などが可能なAI・IoT家電が登場し、推奨接続台数10台程度の無線LAN親機ではまかないきれなくなっている。「VELOP」も1台あたり推奨接続台数は10台(推奨範囲は550m2)だが、機器ごとにオフライン/オンラインをアプリ上で確認できるので、各機器の接続状況は把握しやすい。
とはいえ、70m2程度のマンションではメッシュWi-Fiの真価は発揮されないとも感じた。家づくりブログの定番コンテンツ、新居の間取り・仕様・住宅設備、実際に住んで良かった点・悪かった点などを紹介する「Web内覧会」では、最新の高気密・高断熱仕様ゆえに、Wi-Fiの電波が届きにくく、以前住んでいた住宅に比べ、電波が悪くなったという書き込みが多く見られる。こうした新築マンション・戸建住宅に住む人こそ、メッシュネットワーク製品を試してレポートしてほしいところだ。
賃貸・持ち家など居住形態を問わず、自宅で快適に過ごすための豆知識として、家族の人数、Wi-Fi接続機器の台数が増える場合は、必ず無線LAN環境を見直したい。特に、接続台数が多い場合、車庫や庭、ルーフバルコニーなどを含め、自宅がかなり広い場合、1台で2・3階もまとめて接続したい場合などは、各社が展開しているメッシュネットワーク製品に目を向けよう。(BCN・嵯峨野 芙美)
とはいえ、無線LAN親機(アクセスポイント)の設置場所には悩むところ。LANケーブルでつなぐため、レンタル提供を受けた回線終端装置またはLANポートが備わったマルチメディアコンセントのそばに親機を置く必要があるが、賃貸物件では、回線終端装置を設置した近くにコンセントがあるとは限らない。
また、従来のWi-Fiネットワークは縦方向に弱く、親機のすぐ前、同じフロアの離れた場所、別のフロアでは、通信速度は大きく異なっていた。特に戸建住宅は、回線終端装置の設置場所にあわせて1階に親機を置くと、2・3階に電波が届かず、届いても不安定で速度が出ないといったトラブルが多発していた。
ユーザーも、インターネット接続のワイヤレス化のデメリットとして、場所によって速度や電波状況は変わって当たり前(遅くなってもやむなし)と、多くの人は思い込んでいる。しかし、都心部では、1階はビルトインガレージ、浴室、納戸、2階はリビング、3階は寝室という縦に長い間取りの3階建て住宅が増え、1階の玄関付近に親機を設置すると、2階や3階でWi-Fiが使えないという状況はもはや看過できない問題になってきた。
従来のWi-Fiを置き換える新型Wi-Fiともいえる、2018年4月発売の「Google Wifi」をはじめとする、メッシュネットワークを搭載した製品(メッシュWi-Fi)なら、フロアを問わず、どこでも同じ体感速度。Wi-Fiにつながらない、つながっているけれど遅いといった不満は解消されるという。
約70m2の3LDKで「VELOP」を試してみた
メッシュネットワーク搭載製品は、現在、TP-LINK 、バッファロー、ASUS、Linksysなどが販売しているが、一般層の認知はまだまだだろう。そこで、専有面積が約70m2、縦長リビングの3LDKの自宅(マンション)に、18年11月に一般販売を開始したLinksysのメッシュネットワークのWi-Fiシステム「VELOP(ヴェロップ)」を設置し、つながりやすさと、スマートフォン向けアプリで各機器の接続状況を一元管理する新しいスタイルを試してみた。メッシュネットワークとは、複数のWi-Fiアクセスポイントを設置して、その間を「網の目」のように接続し、より広い範囲に最適なWi-Fi環境を提供する技術。従来の親機・Wi-Fi電波を増幅する中継機という仕組みではなく、中継機を兼ねた親機を部屋の広さ・階数にあわせて設置し、ネットワークシステムを構築する。
複数のアクセスポイントのSSIDは共通で、接続先を自動的に切り替える仕組みなので、まずはWi-Fiアクセスポイントを1台設置し、スマホアプリで必要な設定が完了すれば、それ以降、設置するWi-Fiアクセスポイントにはその設定が自動的に反映される。
そこで、リビング、リビング横の洋室、廊下に「VELOP」3台を設置したところ、非メッシュのネットワークでは電子レンジや他のPCを使うと電波が途切れ、止まってしまう事態が多発していたAndroid TV搭載テレビでスムーズにYouTubeやAmazon プライム・ビデオの4K動画が見られるようになった。
自動的に通信環境を最適化するため、Wi-Fi利用時、どのアクセスポイントにつながっているかを意識することはなく、一度設置すれば従来と同じ感覚で使える。特に何も気にしないでOKだ。
「VELOP」は小規模住宅向けの2個セットと、3階建て住宅や部屋数の多いマンション向けの3個セットがあり、1台をコンセントと回線終端装置または室内LANポートに接続し、残りは1台目を設置した部屋に隣接した部屋などのコンセントにつなぐだけ。初期設定時に光回線の接続ID・パスワードを入力する必要があるため、1台目は少々手こずったが、2台目以降はとても手軽だった。
販売中の「VELOP」トライバンドモデルは、IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz)、802.11n/ac(5GHz)、Bluetooth 4.0LEに対応し、最大2200Mbps(867+867+400Mbps)で通信可能。税込みの実勢価格は、1個1万9970円、2個セットが3万4254円、3個セットが5万918円前後(Amazon.co.jp参照)と、無線LAN機器としてはかなり高額だが、今後ますますコンテンツが増えそうな、ストリーミング型の4K動画配信サービスを視聴するなら導入しても損はないだろう。
つながらない、重いと思ったらWi-Fi環境の見直しを
数年前から自宅に常に待機状態のスマートフォン・タブレットが複数台あり、ノートPCを使用して重いデータをダウンロード/アップロードすると、明らかに無線LANのキャパシティを超えていた。とはいえ、デザイン上、MacやWindowsの薄型コンパクトノートに有線接続用のLANポートが復活するとは考えにくく、デジタル製品のワイヤレス接続は絶対的なトレンドだ。さらに最近は、エアコン、冷蔵庫、ロボット掃除機など、Wi-Fi経由でインターネットに接続して遠隔操作などが可能なAI・IoT家電が登場し、推奨接続台数10台程度の無線LAN親機ではまかないきれなくなっている。「VELOP」も1台あたり推奨接続台数は10台(推奨範囲は550m2)だが、機器ごとにオフライン/オンラインをアプリ上で確認できるので、各機器の接続状況は把握しやすい。
とはいえ、70m2程度のマンションではメッシュWi-Fiの真価は発揮されないとも感じた。家づくりブログの定番コンテンツ、新居の間取り・仕様・住宅設備、実際に住んで良かった点・悪かった点などを紹介する「Web内覧会」では、最新の高気密・高断熱仕様ゆえに、Wi-Fiの電波が届きにくく、以前住んでいた住宅に比べ、電波が悪くなったという書き込みが多く見られる。こうした新築マンション・戸建住宅に住む人こそ、メッシュネットワーク製品を試してレポートしてほしいところだ。
賃貸・持ち家など居住形態を問わず、自宅で快適に過ごすための豆知識として、家族の人数、Wi-Fi接続機器の台数が増える場合は、必ず無線LAN環境を見直したい。特に、接続台数が多い場合、車庫や庭、ルーフバルコニーなどを含め、自宅がかなり広い場合、1台で2・3階もまとめて接続したい場合などは、各社が展開しているメッシュネットワーク製品に目を向けよう。(BCN・嵯峨野 芙美)