【記者のひとこと】クルマ業界だけの話題じゃない

コラム

2019/02/18 10:00

 電子部品やICT技術を扱う商社のマクニカは今年1月、AI関連の売上高を今後5年で10倍にする方針を発表しました。AI・IoTソリューションに用いるセンサーやソフトウェアの卸売りを行うだけでなく、AIモデルの開発やメンテナンスといったサービスを合わせて提供することで、顧客のビジネスを変革するとともに、マクニカ自身も売り切りから長期契約型の事業へのシフトを加速します。

 同社がAI関連で既に提供している商材の中で、一定の割合を占めているのが、市販車に各種センサーやデータ分析ツールを搭載した「自動走行開発向け実証車両」だといいます。自動車メーカー各社は、自動運転技術の開発用車両を自社で開発しているはずですが、なぜ電子部品商社であるマクニカが、彼らにクルマを販売する必要があるのでしょうか。理由は二つあります。

 自動車および自動車部品のメーカーは自動運転技術の開発に力を注いでいますが、開発工程の中では、車両位置や道路状況などのデータを大量に取得する必要があり、調達が容易な市販車ベースの開発用車両が求められているというのが一つの理由。もう一つは、保険業界、建設業界、大学など、クルマ業界以外の顧客でも、自動運転技術への関心が高まる中、これまで自らが扱ってきたサービスや技術がどのように変わるかを研究・検証したいというニーズが高まっており、そのようなクルマ業界外の顧客が約半数を占めるといいます。自動運転技術は、自動車だけでなく日本のあらゆる産業の姿を変えていく可能性がありそうです。(日高彰)

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