【「駅すぱあと」の今までとこれから・5】 全国版の発売、「Yahoo!JAPAN」に対する経路検索サービス機能の提供などによって、1988年の誕生から10年ほどでビジネスが軌道に乗ったヴァル研究所(ヴァル研)の経路検索ソフト「駅すぱあと」。90年代後半からの一般家庭へのPC普及、インターネット時代の到来なども相まって、「駅すぱあと」は順調にユーザーを増やしていった。国内で経路検索ソフトの市場形成も本格化し、その後も「駅すぱあと」は機能の改善・強化によって、進化を遂げていった。
98年に開始となった「駅すぱあと」によるYahoo!JAPANの経路検索サービスでは、経路検索をはじめとして所用時間や運賃などの基本的な機能のみを無料で提供。しかも、ヤフーとのパートナーシップによって他のサービスとの連携も実現した。ユーザーは着実に増えていった。
ただ、この頃には競合メーカーが相次ぎ参入し、すでに自社ホームページ上で検索サービスを提供しているケースもあった。後発ということで、少しでもヴァル研に「追いつき」「追い越す」を果たすため、無料を武器にユーザー確保の先手を打っていたわけだ。
激しい競争が繰り広げられる中、ヴァル研が目を付けたのは「バス路線」だ。ヤフーとパートナーシップを組んだ時点で、すでに東京の都バスをはじめ、大阪や名古屋の市営バスに対応していたが、さらに精度の高い情報をいち早く収集することに力を注いだ。
開発部門の責任者を長く勤め、今はヴァル研の顧問で技術関連アドバイザーでもある宮本雅臣氏は「鉄道だけならば比較的メンテナンスは問題ないが、バスを加えると作業の負担が大きくなる」と前置きした上で、「バス情報の充実という、ひと手間を掛けることによって、お客様に『駅すぱあと』をもっと身近に感じてもらえた」と振り返る。実際、このバス情報が他社との差を広げることにつながったのだ。
この他、DDIポケット(現ソフトバンク)のPHSサービス用の「駅すぱあと」を利用したコンテンツの開発、iモード向けサービスの提供など、携帯電話を使ったモバイル検索にも対応。インターネットサービスの提供を強化していった。
その一つが、「駅すぱあと」のユーザー専用サイト「駅前広場」だ。「駅前広場」は、駅を中心にホテルや病院、企業などを入力すればブラウザーを通じて地図を表示してくれる。地図メーカーとのパートナーシップによって実現した。
また、「駅すぱあと」とインターネットとの連携は、法人が「駅すぱあと」を活用してサービスを拡充することにもつながった。それが、出発駅を入力するだけで目的地までナビゲートするASP連携サービス「ウェルカムナビ」だ。「ウェルカムナビ」の導入企業は、自社ホームページ上に「駅すぱあと」の機能を盛り込むことができる。
その後は、ASP連携サービスで「ウェルカムナビ」だけでなく路線図や所要時間検索、経路探索、駅名データなども提供。加えて、APIによってウェブサービスやスマートフォンアプリに「駅すぱあと」の機能が付与できる「駅すぱあとWebサービス」をはじめとしたシステム連携サービス、クラウドを通じて通勤費の申請や管理が可能な「駅すぱあと 通勤費Web」などの精算業務支援サービスと、経路検索だけにとどまらずサービスの幅が広がっていった。
太田信夫社長は、「ASPやクラウドによって、当社のビジネスモデルが変わった」とかみ締める。宮本氏は、「黒子に徹することで、『駅すぱあと』の機能をさらに多くの方々に使ってもらいたい」との考えを示している。
時代は今、「MaaS(Mobility as a Service)」という観点から、移動手段を通じて多くのサービスが連携する時代に突入しつつある。時代の流れと共に「駅すぱあと」は成長し、そして30周年を迎えて次のステージ進もうとしている。
98年に開始となった「駅すぱあと」によるYahoo!JAPANの経路検索サービスでは、経路検索をはじめとして所用時間や運賃などの基本的な機能のみを無料で提供。しかも、ヤフーとのパートナーシップによって他のサービスとの連携も実現した。ユーザーは着実に増えていった。
ただ、この頃には競合メーカーが相次ぎ参入し、すでに自社ホームページ上で検索サービスを提供しているケースもあった。後発ということで、少しでもヴァル研に「追いつき」「追い越す」を果たすため、無料を武器にユーザー確保の先手を打っていたわけだ。
激しい競争が繰り広げられる中、ヴァル研が目を付けたのは「バス路線」だ。ヤフーとパートナーシップを組んだ時点で、すでに東京の都バスをはじめ、大阪や名古屋の市営バスに対応していたが、さらに精度の高い情報をいち早く収集することに力を注いだ。
開発部門の責任者を長く勤め、今はヴァル研の顧問で技術関連アドバイザーでもある宮本雅臣氏は「鉄道だけならば比較的メンテナンスは問題ないが、バスを加えると作業の負担が大きくなる」と前置きした上で、「バス情報の充実という、ひと手間を掛けることによって、お客様に『駅すぱあと』をもっと身近に感じてもらえた」と振り返る。実際、このバス情報が他社との差を広げることにつながったのだ。
この他、DDIポケット(現ソフトバンク)のPHSサービス用の「駅すぱあと」を利用したコンテンツの開発、iモード向けサービスの提供など、携帯電話を使ったモバイル検索にも対応。インターネットサービスの提供を強化していった。
その一つが、「駅すぱあと」のユーザー専用サイト「駅前広場」だ。「駅前広場」は、駅を中心にホテルや病院、企業などを入力すればブラウザーを通じて地図を表示してくれる。地図メーカーとのパートナーシップによって実現した。
また、「駅すぱあと」とインターネットとの連携は、法人が「駅すぱあと」を活用してサービスを拡充することにもつながった。それが、出発駅を入力するだけで目的地までナビゲートするASP連携サービス「ウェルカムナビ」だ。「ウェルカムナビ」の導入企業は、自社ホームページ上に「駅すぱあと」の機能を盛り込むことができる。
その後は、ASP連携サービスで「ウェルカムナビ」だけでなく路線図や所要時間検索、経路探索、駅名データなども提供。加えて、APIによってウェブサービスやスマートフォンアプリに「駅すぱあと」の機能が付与できる「駅すぱあとWebサービス」をはじめとしたシステム連携サービス、クラウドを通じて通勤費の申請や管理が可能な「駅すぱあと 通勤費Web」などの精算業務支援サービスと、経路検索だけにとどまらずサービスの幅が広がっていった。
太田信夫社長は、「ASPやクラウドによって、当社のビジネスモデルが変わった」とかみ締める。宮本氏は、「黒子に徹することで、『駅すぱあと』の機能をさらに多くの方々に使ってもらいたい」との考えを示している。
時代は今、「MaaS(Mobility as a Service)」という観点から、移動手段を通じて多くのサービスが連携する時代に突入しつつある。時代の流れと共に「駅すぱあと」は成長し、そして30周年を迎えて次のステージ進もうとしている。