ユニー好調の裏側で見えてきた課題…旧ドンキHD大原社長の悩み
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH、旧ドンキホーテホールディングス)は、2月6日に開催した第2四半期決算・事業説明会で、1月に買収が完了したユニーに関する新戦略を発表した。
昨年10月に買収を発表した際、ユニーを「MEGAドン・キホーテに業態転換する店舗」と「既存体制のままの店舗」に分けて運営する方針を示したPPIH。現在、ユニー運営店舗は約200店舗あるが、大原孝治社長は「19年中に約20店舗、5年以内に約100店舗の業態転換を目指す」と語った。19年2月時点でもその方針に変わりはない。
現在、業態転換店舗として営業しているのは6店舗。19年のリニューアルオープン予定としても19店舗を発表しており、すでに目標のクリアはみえてきている。「5年以内に100店舗という目標も前倒しにできるのではないかと考えている」と大原社長は計画が順調に遂行されていることを強調する。
昨年8月に発表した業態転換6店舗の18年3月~7月実績は転換前より売上高が前年同期比90%増、客数70%増、粗利60%増だったが、最新実績でも成長率は落ちていない。18年3月~19年1月実績は売上高90%増、客数70%増、粗利60%増と高水準を維持しており好調だ。
業態転換店舗が早くも結果を出している一方で、時間をかけて収益改善に取り組んでいるのがユニー時代から継続してアピタ・ピアゴの屋号で営業している既存店舗だ。「ドンキの個店主義を導入するか、従来からのチェーン主義を継続するか。さまざまな角度から検証を進めている」(大原社長)。決断の時期については明言を避けたが、方向性が固まり次第、改めて発表するとのことだった。
現場に大幅な権限委譲を行い変化に強い店舗をつくる個店主義はドンキ成長の原動力だが、ユニーをはじめ、大手小売店の主流である本社意向を色濃く反映したチェーン主義とは正反対の運営スタイル。買収時には「組織が融合するのは容易ではない」という声も多く聞かれた。
しかし、大原社長は「人的・組織的融和は難事業ではない」と自信をみせる。「ユニーが成功するには、ドンキとユニー社員間の相互理解が重要。企業カルチャーは異なるが、小売業である以上、顧客に対する思いは変わらない」。そう断言するに足る根拠は、ユニー若手社員との間で実施しているランチミーディングにある。
買収発表後、大原社長は業態転換店・既存店のユニー若手社員を集め、10回の意見交換を行ったという。その中で感じたのは、現場の士気の高さだ。「チャンスとピンチは常に社内にある。ランチミーディングについては今後も継続する予定でルーティーンワークにしたい」(大原社長)。
トップ主導の働きかけでユニーとの距離を縮める一方、ホールディングス内の人材育成には苦労もあるようだ。ドン・キホーテ既存店の上半期売上で28か月振りに増収増益を逃した。原因はさまざまにあるが、経営陣のボトムアップを狙った若手幹部への権限委譲がうまく機能しなかったこともその一因に挙げられた。
「今後の課題がみえたのは大きな収穫だった」と語る大原社長は2月に組織改革に着手。「現場の権限委譲を強化し、本来の姿に回帰する」と語った。ユニーの成長戦略にばかり注目が集まっているが、今年はドン・キホーテでも大きな改革が断行されることになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)
昨年10月に買収を発表した際、ユニーを「MEGAドン・キホーテに業態転換する店舗」と「既存体制のままの店舗」に分けて運営する方針を示したPPIH。現在、ユニー運営店舗は約200店舗あるが、大原孝治社長は「19年中に約20店舗、5年以内に約100店舗の業態転換を目指す」と語った。19年2月時点でもその方針に変わりはない。
現在、業態転換店舗として営業しているのは6店舗。19年のリニューアルオープン予定としても19店舗を発表しており、すでに目標のクリアはみえてきている。「5年以内に100店舗という目標も前倒しにできるのではないかと考えている」と大原社長は計画が順調に遂行されていることを強調する。
昨年8月に発表した業態転換6店舗の18年3月~7月実績は転換前より売上高が前年同期比90%増、客数70%増、粗利60%増だったが、最新実績でも成長率は落ちていない。18年3月~19年1月実績は売上高90%増、客数70%増、粗利60%増と高水準を維持しており好調だ。
業態転換店舗が早くも結果を出している一方で、時間をかけて収益改善に取り組んでいるのがユニー時代から継続してアピタ・ピアゴの屋号で営業している既存店舗だ。「ドンキの個店主義を導入するか、従来からのチェーン主義を継続するか。さまざまな角度から検証を進めている」(大原社長)。決断の時期については明言を避けたが、方向性が固まり次第、改めて発表するとのことだった。
現場に大幅な権限委譲を行い変化に強い店舗をつくる個店主義はドンキ成長の原動力だが、ユニーをはじめ、大手小売店の主流である本社意向を色濃く反映したチェーン主義とは正反対の運営スタイル。買収時には「組織が融合するのは容易ではない」という声も多く聞かれた。
しかし、大原社長は「人的・組織的融和は難事業ではない」と自信をみせる。「ユニーが成功するには、ドンキとユニー社員間の相互理解が重要。企業カルチャーは異なるが、小売業である以上、顧客に対する思いは変わらない」。そう断言するに足る根拠は、ユニー若手社員との間で実施しているランチミーディングにある。
買収発表後、大原社長は業態転換店・既存店のユニー若手社員を集め、10回の意見交換を行ったという。その中で感じたのは、現場の士気の高さだ。「チャンスとピンチは常に社内にある。ランチミーディングについては今後も継続する予定でルーティーンワークにしたい」(大原社長)。
トップ主導の働きかけでユニーとの距離を縮める一方、ホールディングス内の人材育成には苦労もあるようだ。ドン・キホーテ既存店の上半期売上で28か月振りに増収増益を逃した。原因はさまざまにあるが、経営陣のボトムアップを狙った若手幹部への権限委譲がうまく機能しなかったこともその一因に挙げられた。
「今後の課題がみえたのは大きな収穫だった」と語る大原社長は2月に組織改革に着手。「現場の権限委譲を強化し、本来の姿に回帰する」と語った。ユニーの成長戦略にばかり注目が集まっているが、今年はドン・キホーテでも大きな改革が断行されることになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)