最先端のカーエレクトロニクス部品を展開するデンソーが、昨年4月に東京・品川に開設した研究開発部門のオフィス「Global R&D Tokyo」をプレスに公開。コネクテッドカーや自動運転の分野に関わる取り組みを紹介した。
デンソーはこれまで研究開発部門を本社のある愛知県・刈谷市に構えていたが、2018年4月にGlobal R&D Tokyoをオープン。次世代のカーエレクトロニクス技術として注目されるADAS(先進運転支援システム)とAD(自動運転)、自動車を移動体通信システムに接続して様々なサービスを実現するコネクテッドカーに注力する新拠点とした。2018年12月時点の従業員数は270名。
「先進モビリティシステムの早期開発とOEMパートナー向けの提案を加速させて、内容の密度も高めていくことが同事業所の大きな使命である」と同社常務役員の隈部肇氏が東京に開発拠点を広げた理由を説明する。そのためには、多くの自動車メーカーがAI・コネクテッド系技術の開発部門を置き、半導体やソフトウェアのメーカーも集まる東京への進出が効果的だったという。
東京は都市型自動運転の実証実験を行う場所にも適している。デンソーでは東京における先行開発拠点拡大の「次のステップ」として、2020年6月に大田区・羽田に試験車両の開発棟とオフィスを新設する計画を立てている。新しいオフィスには実車両によるテスト走行専用の敷地も設けられる予定だ。
東京オフィスはデンソーが成長分野に位置付けるAIや先端IT、ソフトウェア開発の人材を獲得するための重要拠点としても機能しつつあるようだ。隈部氏は「同分野についてはライバルと厳しいエンジニアの獲得競争を闘っている。東京に進出して人材採用は数倍に加速した。一つの案件に対して従来比で数倍の応募があり、良い手応えを感じている」とコメントしている。
Global R&D Tokyoのオフィスには実車両環境を模した自動運転システムのシミュレーターが配備されている。危険運転、事故シーンをシミュレーター上で再現して、得られたデータをEPS(電動パワーステアリング)やMobility IoT Core(エッジコンピューティング端末)の商品化を実現するための糧とする。開発期間・工数の短縮低減にもつながるという。
こちらとは別に、都市型インフラ網における渋滞に事故、工事など多台数の自動運転車による交通トラブルを仮想評価できるシミュレーターも稼働している。デンソーには今後パートナーと連携を図りながら、自動運転車のための交通管理センターに類するプラットフォームビジネスを展開する考えもあるようだ。
自動運転システムはドライバーとシステムのどちらがより多く運転操作のイニシアチブを取るかによって、定義が全5段階のレベルに分けられる。自動運転車がすべてのシステム制御を行う「レベル4」については、テーマパーク内の私道など特定限定域で比較的容易に実現ができ、ニーズも高いだろうと隈部氏は述べている。
ステアリング操作と加減速の連携による運転支援を主とする「レベル2」、あるいは高速道路など特定の場所で自動車がすべての操作を行い、緊急時にはドライバーが操作する自動運転の「レベル3」についても、デンソーは国内で乗用車への普及期が2020年代前半には訪れる見込んでいるようだ。
隈部氏は「デンソーは地球に優しいモビリティ社会のための新たな価値を創造するため、環境・安心という2つの柱を掲げている。今後も誰もが安心、快適かつ自由に移動できる社会をテクノロジーによりサポートしていきたい」と、集まった記者に向けて壇上で考えを述べた。(フリーライター・山本 敦)
デンソーはこれまで研究開発部門を本社のある愛知県・刈谷市に構えていたが、2018年4月にGlobal R&D Tokyoをオープン。次世代のカーエレクトロニクス技術として注目されるADAS(先進運転支援システム)とAD(自動運転)、自動車を移動体通信システムに接続して様々なサービスを実現するコネクテッドカーに注力する新拠点とした。2018年12月時点の従業員数は270名。
「先進モビリティシステムの早期開発とOEMパートナー向けの提案を加速させて、内容の密度も高めていくことが同事業所の大きな使命である」と同社常務役員の隈部肇氏が東京に開発拠点を広げた理由を説明する。そのためには、多くの自動車メーカーがAI・コネクテッド系技術の開発部門を置き、半導体やソフトウェアのメーカーも集まる東京への進出が効果的だったという。
東京は都市型自動運転の実証実験を行う場所にも適している。デンソーでは東京における先行開発拠点拡大の「次のステップ」として、2020年6月に大田区・羽田に試験車両の開発棟とオフィスを新設する計画を立てている。新しいオフィスには実車両によるテスト走行専用の敷地も設けられる予定だ。
東京オフィスはデンソーが成長分野に位置付けるAIや先端IT、ソフトウェア開発の人材を獲得するための重要拠点としても機能しつつあるようだ。隈部氏は「同分野についてはライバルと厳しいエンジニアの獲得競争を闘っている。東京に進出して人材採用は数倍に加速した。一つの案件に対して従来比で数倍の応募があり、良い手応えを感じている」とコメントしている。
Global R&D Tokyoのオフィスには実車両環境を模した自動運転システムのシミュレーターが配備されている。危険運転、事故シーンをシミュレーター上で再現して、得られたデータをEPS(電動パワーステアリング)やMobility IoT Core(エッジコンピューティング端末)の商品化を実現するための糧とする。開発期間・工数の短縮低減にもつながるという。
こちらとは別に、都市型インフラ網における渋滞に事故、工事など多台数の自動運転車による交通トラブルを仮想評価できるシミュレーターも稼働している。デンソーには今後パートナーと連携を図りながら、自動運転車のための交通管理センターに類するプラットフォームビジネスを展開する考えもあるようだ。
自動運転システムはドライバーとシステムのどちらがより多く運転操作のイニシアチブを取るかによって、定義が全5段階のレベルに分けられる。自動運転車がすべてのシステム制御を行う「レベル4」については、テーマパーク内の私道など特定限定域で比較的容易に実現ができ、ニーズも高いだろうと隈部氏は述べている。
ステアリング操作と加減速の連携による運転支援を主とする「レベル2」、あるいは高速道路など特定の場所で自動車がすべての操作を行い、緊急時にはドライバーが操作する自動運転の「レベル3」についても、デンソーは国内で乗用車への普及期が2020年代前半には訪れる見込んでいるようだ。
隈部氏は「デンソーは地球に優しいモビリティ社会のための新たな価値を創造するため、環境・安心という2つの柱を掲げている。今後も誰もが安心、快適かつ自由に移動できる社会をテクノロジーによりサポートしていきたい」と、集まった記者に向けて壇上で考えを述べた。(フリーライター・山本 敦)